ハラタさん
実家でとりおこなった父の四十九日の法要から、黒い服のまま自転車でもどると、午後5時だった。
おもしろい法要のひとときだった。
母が古いアルバムを出してきて、父との結婚式の写真を見せてくれたり、わたしと弟が生まれたころのはなしをしてくれたのも、よかった。弟のお嫁のしげちゃんがつくってきてくれた新潟の郷土料理「のっぺ」(鶏肉、里芋、にんじん、ごぼう、かまぼこ、いくら、うずらの卵、銀杏などの煮もの)とプリンもおいしかった。仕出し弁当だけでなしに。
仏事をおもしろい、と表現するのがふさわしいかどうかはわからないが、おもしろいことが好きだった父はきっとよろこんでいると思う。
ほっとしながら着替えをし、食卓準備にとりかかる。
本日2ページめ、うちにお客を迎えることになっている。
昨晩つくっておいたドライカレーがあるから、あとは、焼き野菜をという心づもりだ。きゃべつ、インゲン、茄子、かぼちゃを切っては、漬け汁に浸してゆく。薄切りにしたにんにく、オリーブオイル、塩こしょう、酢、の漬け汁だ。
午後7時、ハラタさんはやってきた。
ハラタさんの顔をまじまじと見て、深くお辞儀する。初対面だが、わたしの新しいブログのデザインをし、カスタマイズ(とかいうものを)してくれたのがハラタさんだ。
「やっとお会いできました。このたびは大変、大変お世話になりました」
ハラタさんと仲間である長女を通じてブログの製作を依頼したとき、ハラタさんは名古屋にいたから、やりとりはすべてメールでおこなった。そのやりとりも、コンピュータのこと、ブログの成り立ち、用語に不案内なわたしに代わって、夫がしてくれたのだった。
ハラタさん、原田康平さんは建築関係の仕事をする一方で、IT(インフォメーション・テクノロジー)の勉強もした。「肩書きは……?」と尋ねてみると。25秒くらい考えて「旅するデザイナーかな」と云った。
これもできる、あれもできるというハラタさんとワインを飲みながら、弱点をみつけたくなった。
気が弱く、思いきったことができない、とか……?
人づきあいが苦手である、とか……?
方向オンチである、とか……?
食べられないものが多い、とか……?
逆上がりができない、とか……?
いろいろ尋ねてみるのだが、弱点は一向にみつからない。
目の前でもりもり食べたり、飲んだりしている感じのいいうつくしい青年に弱点がみつからないことにわたしは弱りきっている。大きなお世話である。まったくもって大きなお世話なのだが、弱点があってこそ、ひとというのはおもしろいと信じているのだもの。
夫がわたしにそっと云う。
「弱点がない、というのがハラタさんのいまの弱点」
ハラタさん、
ブログの設営、デザインほか、何もかもお世話になり、ありがとうございました。
ハラタさんのおかげで、あたらしい「一歩」を踏み出すことができました。
これは、わたしにとって大事な一歩になるだろうと思います。
ふ
鯛の切り身で「鯛ご飯」を炊きました。
鯛は焼いてから米にのせて
炊きました。
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