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2014年10月 7日 (火)

河童と小松菜

 くたびれた。
 こんな予定くらいこなすのなんかは「屁の河童」と自分を励まし励まし家を出たけれど、1日外で過ごし、過ごしてみたら「屁」でも「河童」でもなかった。やはりわたしには、力量が不足している。

 家に戻ると、でも、安心した。

 さ、ごはんをつくろう。
 冷蔵庫の野菜室を引きだすと、小松菜が横たわっていた。よし、これでよみがえれる。……わたしはうれしかった。小松菜をざっと洗い、ボウルに張った水のなかで根元をよくよく洗う。水を切ってざるに上げ、小松菜を3株ほど持って……。
 手で半分に千切る。ねじ切るのだ。
 台所での所作にはいろいろあるが、包丁を使わず、まな板も使わず、小松菜を空(くう)でねじ切るのは、なかでも好きな部類。小松菜に合うと、どうしてもねじ切ってしまう。このちょっぴり野蛮な所作に、胸に余った時時(ときどき)の感情をのせる。
 ねじ切った。小松菜はざくっとかすかな音を立てて半分になり、半分がまた半分になった。根元も、指先でつねるようにして落とした。きゃべつやレタスを千切ったり、ほうれんそうの葉先を千切るときとはちがい、腕まで使う思いきった動作となる。ざくっ、ざくっと、小松菜は扱いやすい寸法になり、わたしはこれをまた、ちょっと野蛮つづきに炒め煮しようとしている。
 油揚げを油抜きせず六等分にする。熱した鍋にこれをならべる。油揚げから油が出てじゅうじゅうと音をたてて焼ける。そこへ、今し方ねじ切った小松菜をのせて混ぜる。だし汁を注ぐ。味つけは砂糖、酒、しょうゆ、塩少し。小松菜がしんなりして、全体に調味料の皆さんがまわったら、もう出来上がり。
 これが完成するころには、わたしはよみがえっている。外での勤めにくたびれ、縮こまった神経がゆるみ、この日のこと全部が「屁の河童」になって、自分のなかに納めなおされる。
 ところで「屁の河童」って何だろうか。とるに足らないことを意味するのはわかるけれど、屁も河童もとるに足らなくなんかない。大事も大事。調べてみたら、「木っ端(こっぱ)の火」と呼んだのがはじまりで、江戸時代の後期、ことばをさかさまに唱えるのが流行って、「火の木っ端(ひのこっぱ)」になった。それが訛って「屁の河童(へのかっぱ)」。
「屁」も「河童」も「小松菜」も、わたしには大事。大事なものはみんな、とるに足らないものから成り立っているのだと、知った日、きょう。


パソコンのキーボードが、とつぜん、

病に倒れ、重篤に陥りました。
 )」「O」「;」「/」という斜めの文字列が
打てなくなってしまったのです。
仕方がないので、これらを用いるときは、
「コピーし」、「貼りつけて」しのぎました。
O」は母音の「O」でもあるので、使用頻度も高く、
ちょっと苦心しました。
原稿書きにパソコン、キーボードの世話になって25年。
その道筋をふり返り、考えさせられた数日間でした。
そしてやってきたあたらしいキーボード。

Photo
これはわたしの、ひとつの小窓です。

ことばを生じさせ、受けとめる小窓です。

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「日記」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。
どうぞよろしくお願いします。
梨木香歩さんの『雪と珊瑚と』という小説の中に、青菜と油揚げの煮浸しが登場します。主人公にとっては天使のような存在の登場人物が作ってくれるのですが、おいしそうで、私も作ってみたところ、娘(10歳)の大好物となりました。こんなことなら、もっと早く作ればよかったです。献立に詰まったときでも、「私にはこれがある」と思うと、勇気がわいてきます。もっと早く、仲良くなりたかったです。

投稿: cohata | 2014年10月 7日 (火) 16時56分

ふんちゃん皆様こんにちは。
うまくいくかな〜
屁の河童かな〜っと思っていたことが
そうではないことよくあります笑

そしてそれを屁の河童にすることも
できるんですね(^○^)


最近、母の体の調子が悪く落ち着かないこの頃。
母に反抗したりついていけないときもあるけれど、

やっぱりこうなるとやはり
とても心配してしまう私。


母には幸せになってもらいたいんです。
なれるはずの幸せを置いてきたように感じてしまうんです。

なにもないといいのですが。
なんて当事者の母のほうがしっかりしてる始末です笑

投稿: たまこ | 2014年10月 7日 (火) 18時42分

cohata さん

いらっしゃいませ。
よくいらしてくださいました。
うれしいニュースとともに。

油揚げと小松菜の……は、
母の母からおそわりました。
長いこと、真似してつくってみようなどとは思わず、
こしらえたのは近年のことです。

そんなふうに、
おいしいものとの出合いにもタイミングが
あるのかもしれません。ね。

何にしても素敵です。
「私にはこれがある」


投稿: ふみ虫 | 2014年10月 7日 (火) 21時46分

たまこ さん

なれるはずの幸せを置いてきたように、と
あなたが考えるのを、お母さまはよろこばれないと
思います。

いま、幸せを集めている最中なのに。

それからね、
たとえ、お母さまであっても、
ほしい幸せは、お母さまにしかわからないし
(選べないし)、つかめないんです。

たまこさんが、好きなように、
のびのび生きてることは、まちがいなく、
お母さまにとっての幸せです。


投稿: ふみ虫 | 2014年10月 7日 (火) 21時49分

ふみこ様
無事に一日終わりました。
どうもありがとうございました。

投稿: ゆきたん | 2014年10月 7日 (火) 23時35分

ゆきたん さん

おはようございます。

積み重ね。
一歩一歩ですね。

わたしも、これから3日間は、
山登り、それも縦走のような期間となります。
たのしんで、過ごしたいと思います。

投稿: ふみ虫 | 2014年10月 8日 (水) 08時53分

ふみこ様

このくらいのことはできるだろうとか、
ゆうるい計画を立てたつもりが、
どっと疲れた割にはこなせなかった・・・
こんな日が一週間続いて
生活が楽しくなくなってドキッ。
体力とか体調が変化の時期にいるんです。
なのに、それを受けとめず、自分を責めてました。
できたことを数えることにしました。
今できていること、
さらっとこなして特別に感じていないことも
いつかはその能力を手放す時が来るんだと
鮮明に何かが見えてきました。

小松菜をザクッとさばくのやってみたい、やろう。

新しいキーボード、
知り合ったばかりのお友だちのようで、
嬉しそうだけど少し緊張しているような、
照れくさそうに写ってますね。

投稿: ゆるりんりん | 2014年10月 8日 (水) 09時44分

ゆるりんりん さん

ああ、わたしもわたしも。

若いときとは体力も、持久力も
ちがっているのに、
そのことに気づかないことにして
(積極的にそうしているのではないにしても)、
自分を酷使すると、すぐへたばります。
あたりまえだよね、と思います。
労らないとね、自分を。

変化してゆくことの「マイナス」面ばかり
見ているから、気づかないふりなどすることになる……。

1日のあいだにあれもこれも、それもこれも
こなせていた時代には見えなかったものが、
いまは見えるはずなのだし。

投稿: ふみ虫 | 2014年10月 8日 (水) 21時28分

ふみこさま。

おはようございます。昨日、小松菜の料理、真似してみました。
美味しかったです。とっても簡単だし・・・。なんだかうれしくなりました。
それから、昨日、孫がはじめて、つかまり立ちをしました!
孫の成長には驚かされます。三度目の子育てしている気分です。

では、またぁ。

投稿: こぐま | 2014年10月 9日 (木) 09時33分

ふみこさま こんにちは

昨夜の皆既日食はとても幻想的でした。ずっと見ていたわけではないのですが、欠けはじめ、全て欠けた時、戻り始めを見て月の光はなんて美しいのだろうと思いました。

屁の河童と思えることは少ないのですが、そう思うことで進めることもあるような気がします。
河童といえば西遊記の沙悟浄を思い出して、テレビで見ていた岸部シローさんの沙悟浄をイメージして、なんとなく飄々とそんな風に乗り越えられたらと思います。現実はうまくは行きませんが…。
前に夜中にラジオでどこかの大学の先生が西遊記の話をされていて、沙悟浄は河童ではないと言っていて、うつらうつら聞いていたのですが目が覚めました。河童は日本の妖怪なんですって。言われてみたらそうなのですが…。子どもの頃からの刷り込みっておそろしいなぁと、夜中に一人で笑ってしまいました。

そうして、圧力鍋の錘、無事に見つかりました。なんと冷蔵庫の野菜室から…。二日遅れで牛すじと大根の炊いたんが食べられました。お騒がせいたしました。

投稿: あすちるべ | 2014年10月 9日 (木) 11時34分

ふんちゃん

 前回、ありがとうございます。(いつもですけれども、特に…)
 私が、うまく言葉にできないあたりを書いていただいて、背中をそっと支えてもらった気がしました(^^)

 そして…、
 この頃、やけに目まぐるしいスケジュールな気がしていました。
 私は、いつからこんなにいろいろなことをしようとしだしていたのか?と、ちょっと立ち止まって考えるようになりました。
 自ら進んでやっていることよりも、舞い込んできたことをこなしていることが多いのだけれど、それにしても、このペースでやっていけるはずはない…。
 このままだと、友だちと会う時間も、聞いて聞いてと相談してくれる友だちのところにも行けない…。
 なんだか、そうやって焦ってみたりもして…。
 もう少し、どうにかペースを落とすことを考えなくては…。
 もう少しゆっくり、周囲のことに気持ちを向けていたいなぁと思って。
 子どもたちが家に帰ってきた時の顔や、甘えてくる時の顔を見て、ホッとすることも増えました。
 少し疲れているみたいです(^^;)
 明日は、ちょっと丁寧にお味噌汁と作ろうと思います(^^♪

投稿: もも(^-^) | 2014年10月 9日 (木) 20時59分

こぐま さん

「つかまり立ち」おめでとう!ございます。
どんなにかうれしかったことでしょう。
お孫さん自身も、こぐまさんも。

こぐまさん、生まれ変わっているみたい。


投稿: ふみ虫 | 2014年10月 9日 (木) 23時15分

あすちるべ さん

昨夜わたしも、皆既月食をゆっくり、ぼんやり
観察しました。
夜の散歩の「行き」にすでにはじまっていたのが、
「帰り」には終わりにむかっていて、
ありがたく眺めたのです。
いい夜でした。

ああ、圧力鍋の錘、みつかってよかった。
牛筋と大根の炊いたん、おめでとうさん。

投稿: ふみ虫 | 2014年10月 9日 (木) 23時20分

もも(^-^)さん

じっくり考えて、
手放せること、休む事柄、
みつけてください。

ももさん、
働き盛りではあっても、
たのしいこと、無駄なこと、
休息など、必要なことはたくさんありますものね。
元気でいるために、どう自分を労るか。
(なんて、云えた義理ではないのですが、
労る方法を探りましょう)。

応援してます。

ふんちゃんより

投稿: ふみ虫 | 2014年10月 9日 (木) 23時23分

ふみこさま みなさまこんにちは

いつも、火曜日が待ち遠しくて……
なのにそっと訪ねるだけが続きました。
言葉を残して、ふみこさまの思いがきいてみたいなあ
そんな思いに引きずられながらも
すべきことに果敢に(?)アタックしておりました。

そして、新しい環境のもと仕事が再スタートです。
夫と二人のんびりと(夫は結構きりきりと……)仕事をしていたのに
すっかり様変わりです。
そんな中、私ってできないことが沢山あるなあ……
とつくづく思い知らされております。
もちろん、今までしたことのない仕事に、50歳で挑戦した自分は結構偉いと思うのですが、
みんなちゃっちゃっと仕事をこなしているのを見ると、がっかりしてしまいます。
経験は力なんだとつくづく思うこのごろです。

「そんなこと屁の河童よ‼」と豪語してみたい!
でも、人様が聞けばとるに足らないことだと思うのです。
大事なことは、とるに足らないことからできている。
ふみこさま「うんうん」と大きくうなずきながら言葉を残してゆきます。


投稿: みーこ | 2014年10月10日 (金) 12時51分

みーこ さん

おんなじ、おんなじ。

「わたしってできないことがたくさんあるなあ」
「わたしって知らないことがたくさんあるなあ」
と始終思います。
その情けない感覚が、
あるとき、ぐるっと変化しました。
「そこまで」(できるようになるまで。
わかるようになるまで)まだまだはるかな道をゆける……、
ゆっくり歩いてゆこう!と思えるようになったのです。

いまも、その道をてくてく、
たまにとぼとぼ歩いています。
遠い道を、みーこさんもわたしも、行こう行こう。
みーこさんもわたしも「風景」をつくる一面も
持っているので、たのしく行こう。
同じような決心をして歩きはじめる後輩たちに
たのしい背中を見せよう。


投稿: ふみ虫 | 2014年10月10日 (金) 17時38分

ふみこさま

毎週食材を頼んでいるのですが、小松菜は欠かさないようにしています。
小松菜を食べていると安心するのは、なぜでしょうかね?

もっぱら、小松菜と豆腐と油揚げの味噌汁(娘が大好き)と
ナムルばかりでしたが、煮浸しのおいしい季節になってきましたね。
早速やってみます!

投稿: 焼き海苔の の | 2014年10月10日 (金) 18時50分

焼き海苔の の さん

わたしも、小松菜を
うんと頼りにしています。
葉ものの仲間だけど、
しっかりしていて、ね。
しゃきっとしていて、ね。

わたしは、ナムルに挑戦します。
塩と、にんにくとごま油だけでいいのかな。


投稿: ふみ虫 | 2014年10月10日 (金) 21時54分

ふみこさま

はい!ナムルは、塩と少しのにんにく、ごま油で作ります。
それにたっぷりのすりごまがオススメです。

今日は、おむすびと、簡単なおかず…小松菜とにんじんのナムル、
煮玉子を持って、出かけてきました!

投稿: 焼き海苔の の | 2014年10月11日 (土) 16時07分

焼き海苔の の さん

おお、おいしそう!
おむすび、小松菜とにんじんのナムル、
煮玉子!

小松菜のナムル、早速つくってみます。
どうもありがとう!ございました。

投稿: ふみ虫 | 2014年10月11日 (土) 17時53分

ふみ虫さま

今週はいつもより
予定がたて込んで、ちょっと
疲れました。

そんなときも厨しごとに
助けられます。
ふだんのご飯にと
サッと作れるものはありがたいです。

間引き菜を刻んでるうちに
なんだか、気持ちがスーっとする
次は手でちぎろう!(笑)

お揚げさん、油ぬきはいつも省略!

投稿: 寧楽 | 2014年10月12日 (日) 19時49分

寧楽さん

とくに、気疲れが消えますね。
台所のおかげで。

台所に立つときみたいな気持ちで
「外」でもいられたらいいのにね。

寧楽さんがお揚げさん(この呼び名、いいね)、
油抜きなしだというのは、うれしい。
堂堂といこうっと。

がんばり過ぎずに、お願いしますね。

投稿: ふみ虫 | 2014年10月12日 (日) 22時43分

ふみ虫さん
こんにちわ。
わかります。。ほんとに私も何も屁の河童ではないのです。なんでもないふりをして傷ついているのです。

ふみ虫さんのまねをして、私も小松菜を手でちぎってゆでています。ほんの少し心が柔らかくなります。

みんなが同じように包丁を使わなくてもよいのだ、と励まされているようです。

ちくちくと人の言葉が心にささるとき
手で小松菜をちぎってはやさしい気持ちになります。

ふみ虫さんはそのままのふみ虫さんでいてくださいね。
今日はいろいろ台所で作業をして少し元気になりました。

投稿: まみちゃん | 2014年10月13日 (月) 10時30分

まみちゃん さん

こんばんは。

小松菜を手でちぎるとき、
そのちょっと乱暴な仕草、思い切りのよさが、
自分を励まします。
「あははは」って、悲しみを笑い飛ばす感じ……。

細部に宿るんですよね、大事なこと。
やさしいこと、ほっとさせてもらえるもの。ね。

投稿: ふみ虫 | 2014年10月13日 (月) 21時46分

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