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2017年12月19日 (火)

道はどこにつづくのか

 12月14日、新宿に向かっている。
 朝起きたとき、寒い日になりそうな予感がした。その上テレビのなかの天気予報士のお姉さんが「……です」と、一桁の気温を口にし、寒さを確約した。
 この日はこれ、と決めていた拵(こしら)えで出てきた。
 グレーのジャンバースカートに白いブラウスを着ているように見えるが、じつはワンピースという拵え。カフス仕様の袖口も、前開きのコンシールファスナーも、きりっとしていてこの日にふさわしい気がした。ワンピースの上にカーディガンのようなものははおらず、コートを重ねている。
 寒くたって、平気さ。

 この日。

 朝日カルチャーセンターでつづけてきた「エッセイを書いてみよう」の講座の最終回の日。
 気がつけば月2回の講座を5年半近くつづけていた。
 それをどうして辞めることにしたかというと、来年から2年間、教育委員会関係のあたらしい役目を受けることとなり、月2回、決まった曜日の午前中に時間をつくれなくなったから……。が、それは表向きの理由であり、ほんとうは胸のなかにつよく芽生えた「新」がわたしを動かした。
 これまでしてきたことを、別のかたちで実現できるのではないか、という思いが湧いている。
 わたしのなかに芽生えた「新」をまな板の上にそっとのせて、包丁の先をあて、すーっと動かしてみると、あたらしい展開を待つものがあふれ出すだろう。泡のように、魚卵のように、それはぐじぐじと膜をつき破る。

 2012
年に12人ほどではじまった講座だったが、すぐと2025人の所帯となり、入れ替わりはあったが、常にほどよい距離感のある研究仲間があったのだ。エッセイを研究する仲間である。
 講座の内容(なかみ)というと、こんなであった。
 午前10時半、それはわたしのどうでもいいようなはなしからはじまる。
「目の前をふたりの女(ひと)が歩いていました。おそらく同じくらいの年齢のふたりです。50歳代かと思われます。ひとりは若若しく見え、もうひとりはそれとは反対です。なぜか。観察しました。若子さんは両手両腕をからだに添わせて前後に軽く振っています。老子(ふけこ)さんは、からだから離れたところで両手両腕を振っています。あ、これだ、と思いました。ちっちゃな違いですが、印象がうんと異なるのでした。皆さんも、帰り道観察してみてください。男性の場合はどうでしょうね。そうして、わが身をふり返りながら帰りましょうよ。ね」
 というような。
 それから前もって用意しておいた刷りものを配る。
 わたしが自分の書棚から1冊選び、そのなかの数ページをコピーし、切り貼りしてつくる刷りもので、皆で「オミヤゲ」と呼んでいる。
 この「オミヤゲ」は、エッセイばかりでなく、小説あり、詩あり、評論、漫画、商品のラベルあり、新聞記事あり、いろいろなのだ。これを、ひとり数行ずつまわし読み(音読です)する。教室内の誰もが、声を出さずに終わるということがない、というわけだ。
 そうして皆さんの作品の発表だ。
 2025人もの皆さん全員の作品は読んでいただけない。1時間半のなかで、7人ほどの発表となる。傑作? まあ、そうも云えるが、そのなかにも陥りやすい具合のわるさ、失敗に近いものが隠れていて、それを共通の学びとする。研究である。
 作品を目で読むのでなく、耳で受けとめようというのは、文章のリズムの大切さをおぼえるためだ。
 これを5年のあいだ、つづけてきた。
 よその文章講座がどのように行なわれているか気にしたこともなかったし、参考にしたいと思ったこともなかった。

 この日、夜になって、わたしは深いため息をついた。

 しあわせな5年を想って、甘く。感謝のため息を。

 さて、道はどこにつづくのか。

3w

3w_2
講座最終回の日に、
講座の文集第3弾
『小窓 』を皆に渡すことができました。
読み返すと、自分たちの歩いてきた道が
仄見えてくるのでした。
わたしたち、はるかな道のりを
共にきたのだなあ……

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「日記」カテゴリの記事

コメント

かえるのしっぽ さん

おいもさんの大好きな可愛い〈彼〉と、
わたしもイメージのなかで遊びました。
たのしいなあ。

ありがとう……。
かえるのしっぽ さん。

明年も、よろしくお願いします。
お互い飛ばされたり、
転んだりしないように、
2018年を迎えましょう。

投稿: ふみ虫。 | 2017年12月25日 (月) 23時19分

ふみこさま みなさま こんばんは

お天気荒れ模様~すごいです!飛ばされそう!(飛ばないけど~たぶん(笑))
同じようなお天気の街のみなさま、どうぞご無事で!

今年もあと1週間足らずになってしまいました。今年いちねんありがとうございました!

1回1回を丁寧に積み重ねてのこの日なのだという清々しさが伝わってくるような気がしました。だから、寒くたって平気ですよね♪
それに、節目ではあるかもしれないけれど終わりではないのだろうと道の先に続いている景色を楽しみにしています!

ところで、この週末、ちいさいお客さん(2歳)がありました。ちいさいお客さんは本当に久しぶりなので、ずいぶん前から私は楽しみで楽しみで(笑)。そして、やってきた彼はとてもかわいくて~たくさん遊んでもらいました。アレコレ考えていたおやつは焼き芋に決定!保育園で芋ほりしたことも覚えていたらしく「おいも、スキ!」と。眠くてたまらないのに「お芋のにおいがしてきました!」と焼けるまで頑張って、「いい感じです!」と大人びたことを言いながらたくさん食べてくれました。ちいさいお客さんとのひとときが今年のクリスマスの最高のプレゼントでした。

投稿: かえるのしっぽ | 2017年12月25日 (月) 18時50分

えぞももんが さん

ありがとうございます。
決断というのは、突如として
自らの内部の土に芽生えます、ね。

タネは気づかぬうちにも
蒔いているのかもしれないけれど。

投稿: ふみ虫。 | 2017年12月25日 (月) 12時00分

ふみこ様

きりっとした服装と、 
新しいことへ向かってゆく ふみこさんの決断と。
気持ちがいいなぁと思いながら聞いていました。

5年半の間の講座の生徒さんは
「常にほどよい距離感のある研究仲間」
そう思ってもらえる中に 私も入りたかったと
羨ましくなりました
嬉しい言葉です。

そして 「オミヤゲ」も 楽しそう
少し前に見た NHKのテレビドラマに
「朗読会」のお話がありました
それを連想させる ふみこさんの「オミヤゲ」です

胸のなかにつよく芽生えた「新」を 遠くから 応援しています!

投稿: えぞももんが | 2017年12月24日 (日) 14時16分

真砂 さん

自分以外の力を受け容れるには、
やさしさも勇気も要るんですよね。

そういういいもんを、
いっぱい身につけたことし。
おめでとう、真砂さん。

おやすみなさい。
じゃなかった。

ほんならな。

投稿: ふみ虫。 | 2017年12月21日 (木) 23時34分

もも(^_^)ちゃん

しっかり自分を持っている。
たしかにね、ももちゃん。

しっかり自分を持っている、
というときにありがちな「頑固」は
なくて、ももちゃんは、
いつも柔軟、しなやか、たおやかです。

固いより、対応が確実。
な、気がします。

投稿: ふみ虫。 | 2017年12月21日 (木) 23時32分

佐々木広治 さん

円をぐるぐると……。
なんてね。

でも、そういうことも多多ありますね。
あれ、戻っちゃったかな?って。

いずれにしても「未知」ですね。
「みち」。

投稿: ふみ虫。 | 2017年12月21日 (木) 23時30分

ふみこさま。

ただいまー。まだ早すぎだからクリスマスにもどってきましたー。
今年の分の仕事をおえて。。ふふ。

このホッとしてリラックスしたり
感動したり思いがけずに何かと出会えた時って
自分以外の力[無意識の層からみたいな」
も加わって上手くいくんじゃないかなあ―と思えた一年でした。

「ふわっと」とか「一体化」とかわけのわからないこと
いっぱいかいてきましたが。。そんなこと伝えてたくて。。
受け取って下さって。。ふみこさん。心から感謝です。

もうすぐ。クリスマスですね。ふふ。
スノーマンのダンスの曲とどくといいな。
クリスマスの曲。いっぱい弾きます。with感謝&歓びいっぱい。

投稿: 真砂 | 2017年12月21日 (木) 17時44分

ふんちゃん

 おめでとう…ございます…。
 新しいことへの変化は、いつも私をドキドキさせ、
 落ち着かず、時に後悔なんて面倒なものを置いて行ったりします。
 けれど、ふんちゃんのことを聞いてから、
 変化は、愉しみでもあるなぁということを、
 自分にも噛みしめるように言ってみました。
 分かってはいるんだけれどね、
 けど、いつも変化に落ち着かなくなる…のです…(苦笑)

 ふんちゃんの決意のようなお話を読んで、
 これは、おめでとう!なんだなぁと思って、
 おめでとうございます…ということばにしました。

 今日は、5番目ちゃんのアトピーの病院でした。
 最初の5回は、食事や生活の指導があって、
 今日は、その最終回だったのですが、
 私は、忍耐強くて、自分をもっていらっしゃる方だから…
 と言われました。
 時々、「しっかりと自分をもっている」ということを言われます。
 そうなのかなぁ…。
 いつも、フラフラ…。
 あれがいいと思えば、それに、はまり。
 これがいいと思えば、それに、かたむき。
 ふと気付くと、自分って何だろう?って思う。
 自分では、こんなことを繰り返している気がしているのですが…。

 4人の子育てをして、それなりにうまくいっているような気がしていたら、
 5番目ちゃんが来て、今までに感じなかったうまくいかなさを感じていたり、
 最近、自分って何なんだろうなぁ?って思いめぐらすことが増えました。
 母との同居が、またはじまったということも影響しているのかもしれません。
 読書の時間が増えたということもあるのかなぁ…。
 こんなことを考えられるなんて、贅沢な時間をもらってるのかもなぁとも思ったり…(^^)

 「道はどこにつづくのか」
 ということばは、そんな私にとっても、
 とってもとっても心に響きました。

 もうすぐ冬至ですね。
 ゆずを買いました。
 かぼちゃのいとこ煮も作る予定です。
 日々のこういうモノゴトたちに、支えられているということを
 ちゃんと思い出しながら、
 てくてく、てくてく…
 行こう!と思います。

 ふんちゃん!今週も、ありがとうございます!

 

投稿: もも(^_^) | 2017年12月21日 (木) 14時25分

ふみ虫さま、みなさま、こんにちは。

新たな門出、おめでとうございます。
おもったこと。
道は、未知なのかなということ。
毎日が出会いであり、別れなのかなということ。
また、毎日が終わりであり、門出なのかなということ。
死と生がセットのように、こんにちはとさよならもセット。
対極でも対立でもなく、セット。
対極だとか対立なようにみえることが、本当はセットなものなのかもしれない。
それは複雑でもあり、単純でもあり。
すべてがつながり、円を成しているような。
円という縁。

投稿: 佐々木広治 | 2017年12月21日 (木) 13時58分

花吹雪 さん

講座の最終回の日、
走りきったという思いがつよく、
自分には涙がありませんでした。

泣き虫なのにね。

〈これから〉への展望が
わたしを支えてくれています。

待っていてくださいね。

投稿: ふみ虫。 | 2017年12月21日 (木) 12時47分

KZのツマ さん

がんばっておられるんだなあと、
頼もしく、うれしく思っています。
おたより、どうもありがとうございます。

ほんとうに、
わたしにはもったいないような、
奇跡の教室だったなと、
思い返しています。
KZのツマさんとの出会いも
運んでくれました!

投稿: ふみ虫。 | 2017年12月21日 (木) 12時45分

ふみこ様
五年間のエッセイ教室を終えられ、ほっとされていることと思います。『よその文章講座がどのように行なわれているか気にしたこともなかったし、参考にしたいと思ったこともなかった。』、いさぎよいお言葉です。
常に在籍していた20人もの受講生は、ふみこ先生のやり方に賛同し、共感していたことでしょう。明るく楽しいお人柄も人気の要因だったに違いありません。しかし、なにごとにも変化はつきもの、いつかは終わってしまいます。
教室を終えるにあたって、表向きの理由のほかに『ほんとうは胸のなかにつよく芽生えた「新」がわたしを動かした。これまでしてきたことを、別のかたちで実現できるのではないか、という思いが湧いている』とのこと。
「別のかたち」がどんなものか、胸をときめかして待っています。ながい間おつかれさまでした。

投稿: 花吹雪 | 2017年12月21日 (木) 10時36分

ふみこ先生

皆さんとのエッセイ講座の完走、おめでとうございます!

途中、わき道へそれてしまったわたしですが、
ほのぼのしながらも、熱のこもったクラスの雰囲気は
いまでも心に強く残っています。
それから、文章を書くときの、余白というか、
息づかいのようなものの大切さも学びました。

いまは、あのクラスに通えていたのが夢かと思うほど、
余裕なくがむしゃらに走りまくっています。
きっとそういう時期も人生には必要だと思うのですが、
ふみこ先生の授業を思い出して、すこしは自分にも優しくなりたいです。

とにもかくにも、ほんとうにおめでとうございました!

投稿: KZのツマ | 2017年12月20日 (水) 20時00分

こぐま さん

おばんです。

こぐまさんは、
いつも明るくて前向き。
ほんとうに素敵です。

はるくんとの競争(?)も素敵。

ほんならな。

投稿: ふみ虫。 | 2017年12月20日 (水) 01時28分

たまこ さん

わたしもいまでも、
それだけを希って、祈っています。

どうかどうか、元気に過ごしてください、と。

「3人の娘たちも、縁ある子どもたちも、
世界中の子どもたちも、
苦労することがあっても、
事件や事故に巻きこまれることなく、
自分の人生を生き生きと生き抜く事ができますように」
という気持ち。
(実際、こう唱えています)。

たまこさん、お母さんになりましたね。


投稿: ふみ虫。 | 2017年12月20日 (水) 01時26分

真砂 さん

そうですか、もう新年へ。
わたしも、飛びます。

29日まで仕事が入ってしまっていますが、
飛んじゃえ!
飛ぶようにかろやかに、機嫌よく
ゆきたいと思います。

投稿: ふみ虫。 | 2017年12月19日 (火) 22時04分

ふみこさま。

長い間、楽しく続けてこられてよかったですね。
これからの「新」の道、楽しみにしています。
私も、いろんな道がひらけてきた一年でした。
ボランティアで、紙芝居をしてみたり、オカリナを吹いていたら、ウクレレを弾かれる方との出会いもあって、この金曜日は、保育園のクリスマス会によばれました。思いっきり素人の私ですが、いろんな方に助けられて楽しい毎日です。クリスマス会では、「もろびとこぞりて」・「ジングルベル」を吹きます。練習しなくちゃ。
はるくんも、昨日、保育園でお誕生日会をしてもらっていました。
日々、成長するはるくんに負けないように、私も成長していきたいです。

ほんならな。

投稿: こぐま | 2017年12月19日 (火) 15時48分

ふんちゃん皆様こんにちは。
長いあいだお疲れ様でした。ふんちゃんの軌跡、足跡がしっかり形成されているんですね。
きっと皆様にもふんちゃんにもステキな人生の糧に
なることでしょうね。

さて、自宅に戻ってペースをつかみつかみ
坊やと過ごしています。
私は人手も多いくせに、それでも余裕がなくなってしまいます。
でも、親が子供を健やかに過ごしてほしくて
過保護気味になってしまう気持ちがわかりました。

どうかどうか、元気に過ごしてくれるだけでいいから、と
毎日祈っています。

投稿: たまこ | 2017年12月19日 (火) 10時03分

ふみこさま。

おはようございます。
5年半のエッセイ教室お疲れさまでした。
「小窓」の絵の広場へ続く道みたいなかんじいいですね。

ふみこさんの胸に芽生えた「新」わくわくします。
私もいつの間にか芽生えた「新」を今年いろいろ実現できて不思議です。

日曜日にも新年演奏会(娘ピアノ&私バイオリン)のリハーサル
終えてもう新年気分ですー。(もう終わった事にしたい気も。。)
先生も喜んで下さってほっとしたところです。
クリスマスの世界に入った瞬間このドビュッシーの「パスピエ」
と「スノーマン」の世界がふわっと重なりました。
ふわっと飛びあがってスノーマンたちのダンスパーティー
のあの奇跡のような場面を楽しく弾ききろうと決めました。
途中迷走飛行だろうと低空飛行だろうと。。高速飛行だろうとかまわない。

「飛びます!」
夢から覚めたらふふっと笑ってまた歌いながらやっていけばいい
って思えるような音つくりたいですー。ドビュッシーさんいいでしょ。

練習でうるさい我が家の玄関の外のところに
クリスマスの飾りつけてベランダの花たちのアレンジ
飾ってみました。さっそく今朝「これ見るたびにこころふわっと
します」って若い方いってくださって嬉しい一日のはじまりはじまりー。
ふみこさーん。いつも応援して下さったり書きなおして下さったり
ありがとうございます。いっしょにとんでくださーいね。ふふ。

投稿: 真砂 | 2017年12月19日 (火) 09時29分

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