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2019年6月 4日 (火)

「趣味は歩くことです」

 このところ、歩いてばかりいる。
 もともと、歩くのは好きだが、このところの「歩き」は度を越しているようでもある。

「おかあさーん」
 これが合図だ。
 末娘の、声。
「わかった、歩こう」
 これはわたし、「おかあ」である。
「え、いいの?」
 いいのです、と答える代わりに運動靴を履く。

 末娘は現在、「就職活動(以下、就活)」のただなかにあって、一喜一憂の日日を過ごしている。こういうとき、あまり深入りしないように、気をつけている。深入りしたところで、余計なことを口にして神経を逆撫(さかな)でするのが落ちだし、そうでなくても昨今の就職事情は複雑で、とらえどころがない。
(なんとかがんばっておくれよ)
 という心持ちで、いる。
 しかし娘を一喜一憂させる就活をめぐるあれやこれやについて、名称くらいは聞きとっている。
 エントリーシート。webテスト。グループディスカッション。お祈りメール。

 こういった事ごとに追い詰められるたび、このひとは何となく「おかあさーん」と小さく叫ぶのだ。
 もしかしたら、ただそう云ってみているだけで、「わかった、歩こう」なんて応じなくていいのかもしれない。けれど、娘たちとわたしは、これまで何かがあるとき、何もないときも、とにかくならんで歩いてきた。
 このたびも、何とはなしに、ふたりで歩きに歩いている。就活のなかみについて、問い質(ただ)すような真似はしないでいるけれど、これだけは尋ねた。
「ね、ときどき云ってる『お祈りメール』ってのは、何?」
「不合格のメールのことなんだけどね、不合格なんてことばは使われないの。『残念ながら、ヤマモトサマのご希望に添いかねる結果となりました』とくる。さいごに『ヤマモトサマの就職活動の成功と、今後のご活躍をお祈り申し上げます』がついてくるの。これが、お祈りメール」
「ほお……」
「そういうときは、友だち同士で、『〇〇会社に祈られたー』って報告し合うのー」

 本日も、夜の散歩をした。
 ならんで歩きながら、まったくもって、誰かのために何かしたいと思っても、できることなんてのは、わずかばかりのことだ、と考えていた。しかし……、できることがわずかでもあるというのは幸せだ。わずかなことでも最善を尽くせば、扉はあくのではないか。

「面接で、趣味は何ですか?って質問されたとき、何と答えると思う?」
 と、隣を歩く娘。

「趣味は歩くことです」
 ふたり同時に云って、あはは、と笑う。

Photo_6
ことし、3年ぶりに庭の梅に実がなりました。
実は2キロ半ありました。
早速、梅シロップを漬けました。
シロップができたら、漬けたあとの実で
ジャムをつくろうと思います。
梅しごと、梅しごと!

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「日記」カテゴリの記事

コメント

ふみ虫さま

お祈りメール
そんな風によぶのかぁ。
知らなかった(*^^*)

赤ちゃんから幼児へ
小学校、中学、高校、大学
そして就職

親はいつでも祈らずには
いられませんね〜。

それぞれの道があるけれど
辿りついて、またまわり道に
なったりで
なにがいいのかなんて
ほんとうにわかりませんね。

並んで歩くって
いいです!とっても。
話がしやすくて。
同じ方向を見てるからかな

三女さんの
相応しい道が拓けることを
心よりお祈りしております。

投稿: 寧楽 | 2019年6月 4日 (火) 10時24分

ふみこさま。おはようございます。

娘さんからの合図いいですね。
私も去年の今頃のこと思い出します。
私の方も運営でたいへんだったので「やってられないなぁ、もうー。」
なんていうのがかえってよかったのかもしれないです。
そっちもそうか。なんてね。

さて2日ですがおかげさまで喜びあふれる一日になりました。
前日はもうにげるという手もあるなんてドキドキしてたのですが
国分寺崖線の一角の森の中の一軒家に助けられましたー。
湧水の音、葉っぱのささやき。。木漏れ日。。そして
天井、床、壁面すべて杉に囲まれた部屋。ひきはじめると
自分の音じゃない柔らかな響きにつつまれて
なんだかそれだけで満足でした。
どんな音がでてもあたたかくうけいれられてもらえる
感じ。こんなのはじめてでした。
娘との掛け合いも。。。親子ならではの躍動感あふれる
楽しそうな感じがすてきでした。といっていただけて
これまで親子ならではのドタバタがあってこそかなと思い
うれしくまだぼーっとしてます。

ここを予約してくださったバイオリンの先生いわく
「いつものところがとれなくてここしかあいてなかったんです」
どなたさまからのプレゼントなんでしょうね。
ふみこさーん。いつもそっと応援して下さって本当に
ありがとうございます。杉の部屋みたいにあたたかくうけいれて
くださって。。ふふ。

投稿: 真砂 | 2019年6月 4日 (火) 10時31分

ふんちゃんへ

「趣味は歩くことです」とキッパリとこたえる三女さん素敵です。
並んで歩いてるふんちゃんたち楽しそうだし、
お互いに必要とされてるんだなぁ~と感じます。
ほほえましいです。
「できることがわずかでもあるというのは幸せだ」この言葉
いいですね!

私も就活中の娘を持つ身。離れていてもそれなりにほどほどに
気にしてました。色々聞き出すのは嫌がられるのも分かって
あえて干渉しませんでした。息子の時と違い見えない所で闘ってる
娘はどんなんだろう......。そんな思いで迎えた6月。
世の中的には面接解禁の6月1日なんの音沙汰も無く次の日
「昨日って面接行ったりしたの?」とイタキレから尋ねたら
「前に話した会社から内定もらいました。」との返信。
直ぐに「おめでとう!!」と返したかったけど何故 知らせてくれないのか
残念な気持ちが私の心の中の大部分をしめてしまいました。
そんな自分にガッカリです。ちょっぴり複雑な心持ちです。
素直に「頑張ったね、良かったね、おめでとう!!」と言えない母でした。

見守ってなかったからですかね。
お天気なのに心はモヤモヤしてます。

投稿: ハチミツ | 2019年6月 4日 (火) 10時56分

ふみこさん、みなさまこんにちは。
ふみこさんと娘さんとの会話がとてもいいなあ…と思いながら読ませていただきました。きっと私も娘が大きくなったら、こんな内容の会話があるのかなあ…!
ふみこさんの娘さんの「おかあさーん」という言葉には、きっとふみこさんへの信頼、親子の繋がりがあるのですよね。そんな親子関係、とてもいいですよね。
歩きながらの時間は大切な時間…わづかなことでも扉は開く…!
私も子供たちに充分なことはしてあげられていないけれども、 些細なことでも寄り添ってあげられたらなあ…と思いました。
ふみこさん、梅仕事の季節ですね!梅のあの美しい香りが楽しみですね〜。

投稿: みゅー | 2019年6月 4日 (火) 11時52分


ふんちゃん 皆様こんにちは。

どうかお嬢様にぴったりな
縁のある所に就職できますように。
(これもお祈り?笑)


最近坊やと実家にお泊まりをしました。
最近はおんぶで寝かしつけたり
おっぱい で寝たらと大変だったけれど

実家にて二晩寝たふり作戦やトントンでしたら
おうちに帰ってもそのように寝るように
なりました。

もうおっぱいないの、ねる時間だよ
と伝えると特にぐずることもなく寝ます。

こんな小さい子でも
ちゃんとわかるんですね。

投稿: たまこ | 2019年6月 4日 (火) 20時44分

寧楽 さん

祈らずにいられないし、
でも何をどう祈ったらいいかも、
わからない感じです。

いちばんよい道がひらかれる。
それを信じられますように、
ということでしょうか。

うれしいおたより、
どうもありがとうございます。

本物の、お祈りメールが届いたよ!
と、伝えます。

投稿: ふみ虫。 | 2019年6月 4日 (火) 21時28分

真砂 さん

「いつものところがとれなくて」
からの、そりゃ、ステキ過ぎです。

おめでとうございます!
と云いたいです。

すばらしい時間があふれて、
ここにまで染みてきている……みたい。

あたらしい音がやさしく、
生まれますね。

投稿: ふみ虫。 | 2019年6月 4日 (火) 21時31分

ハチミツ さん

お嬢さん、おめでとうございます。

お嬢さんが、
すぐお知らせにならなかった気持ち、
わかるような気がします。
「就活」って、わけのわからないことが
いっぱいだし、「なぜ?」の連続だし、
お母さまからはなれた場で
耐えてこられたんですよね。

ほっとして、ちょっぴり当たりたいような……?
甘えたいような……?

ばんざーい!と
わたしがお母さまの気持ちを、
夜空に向かって、叫んできました(いま)。

投稿: ふみ虫。 | 2019年6月 4日 (火) 21時45分

みゅー さん

場面を変えながら、
親子も、夫婦も、友人同士も、
その他の人間関係も、
つづいてゆくんだなあと、実感しています。

そうしてついには、
あの世とこの世に分かれるわけですが、
そうなってなお、つづくんだなあ。

お互い、「いま」を尽くそうね。


投稿: ふみ虫。 | 2019年6月 4日 (火) 22時36分

たまこ さん

お母さんのことばを
噛みしめている坊やちゃん。

えらいねー。

わたしも、
ひとのはなしを、
もっともっとよく聞かなくては。

たまこさん、
肝の据わったお母さんになりましたね。


投稿: ふみ虫。 | 2019年6月 4日 (火) 22時40分

ふみこさん、みなさん、こんにちは。

娘さんとの散歩、とってもいいですね。
就職活動をする年齢になっても、一緒に歩いて色々話せて。
そんな関係に憧れます。

できるだけ深入りしないこと、なかなか難しいです。
息子は中学生になり、なんとか少しずつ慣れてきたようです。
部活のあと帰ってくるのが19時半とかなので、
最初のうちは、私が心配しすぎて疲れました(笑)

色々と口に出したいことはあるのですが、
ぐっと胸におさめて、
今はとりあえず
ただただ祈ってます。
「無事で元気に帰ってきますように」
(部活が少し特殊なスポーツなので、特に思います)

結局、幼稚園の頃と変わらないです(笑)
親として願うことはずっと一緒なのかもしれませんね。

三女さんの就活、どの道になっても、
最後はこの道でよかった!って思えるように。
そんな就職活動になりますように!

投稿: さゆ | 2019年6月 7日 (金) 13時51分

ふんちゃん

 おさんぽ。
 いいなぁ〜。
 就活…。
 その最中に、おかあさんとお散歩したくなるって、
 いいなぁ〜。
 とても、すてきなふんちゃんと娘さん。
 私は、家にいると、なかなかお散歩ってならないのですが、
 ここのところは、娘のところへ行く時に、
 大学構内をお散歩しています。
 イチョウ並木がとてもきれいで、
 私が大学の時には、このステキさを知らず、
 めったに通らなかったことを残念に思うほどです。
 今は、本当にキレイな緑のトンネルとなっています。

 そして、私たちの「大冒険」のお話です。
 ついに、この「大冒険」で主人公の娘と、同行するわたしが、
 はぐれるという事態になりました。
 これも、「大冒険」では必要な場面だなぁと思いながら、
 今は、じっとなりゆきを見ている感じです。
 ずっと付き添っていたわたしですが、
 「ママと一緒にいても、さみしい」
 「結局、ママは役に立たない」
 ということになり、
 離れています。
 中学生というのは、そういう時期だなぁと思って見ています。
 本人は、そういう自分の気持ちに戸惑っているようでしたが、
 そういう年齢じゃないの?と、わたしが言うと、
 黙って聞いていました。
 「ママといると腹が立つ」のだそうです。
 1人となり、不安を言える人がいなくなって、
 追いつめられてか、ちょっと不安定な発言もあり、
 先生たちは、心配もしてくれているのですが、
 安心できる舞台に立たせていただいているので、
 思いきって、離れてみているといったところです。
 これまた、どうなっていくのやら…。

 中学生って、激しい時期でもあるよね…と
 院内の分校の先生は言ってくださいました。
 この「大冒険」
 あとになり、振り返って、笑い話になれるように、
 まずは、わたしが、その結末を、娘を信じて、
 いい方向へ向かっていく場面を想像して過ごそうと思っています。
 乞うご期待!です。

投稿: もも(^_^) | 2019年6月 8日 (土) 15時48分

ふみこ様 こんにちは

わたしもです
趣味は 歩くこと。

緑の色が濃くなり 
バトンを繋ぐように
次々と花が咲くこの季節を歩くのが 
一番と思うのですが
実は 真冬も けっこういいものです。

少し 吹雪もようの中
「まけるもんか まけるもんか」と
歩くと なんとなく 
大丈夫なような気がしてきます
そういう時は なにか 抱えている時なので(笑)

ふみこさん 
今の 就職活動は 本当に複雑になりましたね。
長男の時も 次男の時も
私は 何のアドバイスもできず
ただ傍で見ているだけでした

がんばれ!三女さん!


たぶん 札幌にいらっしゃる おきょうさんへ
ひと言いいでしょうか?

おきょうさん 佳い旅を!
高いところに登ったら
遠くの方に ぽつんと 百年記念塔が見える思います
私は そこにいま~~す。
 

投稿: えぞももんが | 2019年6月 8日 (土) 15時58分

ふみこさま。みなさま。
梅雨入りしましたね。
朝方まで降っていた雨がやみ、ひんやりとした空気の中,アジサイの花が色を染めています。
海を前に波の音を聞きながらの暮らし、海は季節によっていろんな景色をみせてくれます。夏に向かう前の六月の海はとても静かです。
私の散歩はいつも海辺です。
娘の大学受験、高校の卒業式までも決まってなかった。
次があるからと海辺を散歩した日を思いだしました。
お母さんとの散歩はきっと三女さんの心の安心になって、ふさわしい場所が必ず用意されていると信じてます。

王子の入院、再度の手術が来月に。
本音をなかなか語ってはくれなくて、数年前までは並んで散歩に行っていた距離は今は歩けなくなりました。
でも本音を語るようになり、手術に向かう前にサッカー観戦に行きたいと会場に座れたら勇気が湧いてくるって。大好きなサッカー。
戦うのは自分だけれど、乗り越える羽になれたらいいな。
皆で協力してサッカー観戦に行こうとチケットを予約しました。
楽しみを持ち前に進む。
ベストをつくそう。、ふさわしい結果を信じて待ちたいと思ってます。

投稿: ユリの木の花子 | 2019年6月 9日 (日) 10時27分

ふみこさま

こんにちは。
就職活動、ほんとに大変ですよね。
今の若い人たちは、がんばっているなぁと思います。
きっと自分にぴったりの場所がみつかることと思います。

昨日は、じいちゃんの49日の法事でした。
じいちゃんに恥じないように、人生を楽しみながら生きていきたいなぁ
と思っています。

では、またぁ。

投稿: こぐま | 2019年6月 9日 (日) 11時22分

さゆ さん

「最初のうちは、
わたしが心配し過ぎて疲れました」

わかりますー。
わたしも、3人の娘でそれをくり返して
きたなー。

でも、そのめんどうで、ひりひりする「最初」からは
逃れられない……。
すばらくすると、
本人もえを持って堂堂と行動するようになり、
こちらもわかってきて、心配「し過ぎ」はなくなってゆく。

こういうのは、すべて人生上の学習なんでしょうね。
学習は一生つづくのでしょうね。

さゆさん、
おやさしいことば、どうもありがとう!ございました。


投稿: ふみ虫。 | 2019年6月 9日 (日) 15時29分

もも(^_^)ちゃん

いいおはなしだなあと、
思って読ませていただき、
そうして気がついたら、涙の筋が……。

「ママといると腹が立つ」
この気持ち、よくわかります。
ときどきわたしは、
「夫といると腹が立ち」ます。

それは、(相手に)
甘えている自分が許せない、とか、
(相手に)対して感謝せずについ腹をたてる本性を
認めたくない、という意味だったりします。

ただ、お嬢さんもわたしも、
「相手を選んで」腹を立てていて、
その相手はまちがいがない、と思います。
もっとも気を許せる相手という意味で。
相手をまちがうと、大変なことになる場合もありますしね。

それから。
中学校の副校長をしている友人が、
ついこのあいだ、こんなことを云いました。
「中学時代って、不安定で、揺れてて、
わけわからなくて……、わたしはそこが好き!」
なんて素敵なことばを贈られたことか。

ももちゃんにも、贈ります。
おすそ分けです。


投稿: ふみ虫。 | 2019年6月 9日 (日) 15時39分

えぞももんが さん

「まけるもんか まけるもんか」
おまじないみたい。
(えぞももんがさんがとなえるからかもしれませんが)

で、わたしは午前中、庭の草むしりをしながら、
ちょっとやってみました。

「まけるもんか まけるもんか」

すると、草のほうでも、云うのです。

「まけるもんか まけるもんか」

お互いに、まけずにゆこうね。
という気持ちになったのでした。


投稿: ふみ虫。 | 2019年6月 9日 (日) 15時42分

ユリの木の花子 さん

入院と再手術のことを
お知らせくださり、ありがとうございます。

知らせてくださると、
皆で「祈る」ことができますもの。

わたしね、このごろ、
「ことを知り、
わかろうとし、
祈る」
このことはかなり大きいことだ、と
感じています。

祈らせてください。


投稿: ふみ虫。 | 2019年6月 9日 (日) 15時45分

こぐま さん

ほんとうにね。

あの世のじいちゃんに、
おもしろみ、たのしみ、笑いを届ける。
これは、大事業ですね。

この世で生きるわたしたちの、
支えでもあります。ね。

投稿: ふみ虫。 | 2019年6月 9日 (日) 15時47分

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