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2019年11月 5日 (火)

コトバを橋とするために

 人生行路にはいろいろな「びっくり」、さまざまな「経験のタネ」が置かれている。「びっくり」と「経験のタネ」をヒトの人生上に置いてゆく主(ぬし)というのは、企画力、発想力、実行力、想像力とユーモアに満ちあふれている(それぞれの力、ちょっと過ぎやしないか、と思うことがあるほどだ)。

 あのときも「置かれた」と感じた。
 東京都武蔵野市の教育委員を拝命したときだ。
 これまで置かれたどんな仕事、どんな恋愛、どんな結婚、離婚よりも、「びっくり」で、超の字のつく「経験のタネ」だった。この11月、教育委員8年目に突入したことに気がついて……、しみじみと自分を褒めている。
 自らの活動を褒めているのではなく、この「びっくり」と「経験のタネ」を置かれた運命を褒めようとしている。
 8年前、「へ?」と思った。
 市役所から打診の電話がかかったとき、教育部長のコトバが飲みこめず、「へ?」に次いで胸にひろがったのは、市民として何か落ち度があり、それに対して注意を受けているのではないかという疑念だった。
 以来、役所、そして学校の、独特のコトバと文章に戸惑い、そうして学んでもきた。どんな活動にあたるときも、どんな役割を受けるときも、それからどんな会議、研修会に臨むときも、できるかぎり、コトバで説明できるようにしておこう、と努めた。
 たとえば、教育委員会について尋ねられたら、こんなふうに答よう。
「武蔵野市の教育現場において、こうしよう、ということがあるとします。しようと思ってできないことはない、と考えて活動していますが、それが、理にかなったものとして、多くの皆さんに受け入れられるかが問題になります。この兼ね合いを考えてゆくのが教育委員会の行政です」
 ある意味においては、外国語を学ぶような気持ちで8年過ごしていたように思う。知ったかぶりはしなかったつもりだ。
 8年前には、「教育指導要領って何だろうかなあ」と思って調べたりしていた。「条例と要綱って、どうちがうんですか?」と質問して憚(はばか)らなかった。

 いちばん心を砕いたのは、教育委員となってから出会ったあたらしい友人たちと、話すことだった。
 学校のせんせいたちの立場を窮屈過ぎやしないかと思いそうになるのを、戒め戒め(なぜと云って、「せんせいとはこうだ!」というどんな決めつけも、ともすると誤解系統に運ぶからだ)、相手のコトバをそのまま受けとめ、わたし自身も自分のコトバを手渡すように心がけた。
「自由に、好きなようにやってください、応援しますから」
 もっとも伝えたいのは、これだ。
 自由にやってもらったらどんな結果になるかわからない、好きなようにやられたら困る、というような教職員には(ほとんど)めぐり逢わなかった。応援できない人物には、ただのひとりもめぐり逢わなかった。

 8年間のあいだに得た友人知人は数知れない。
 コトバをして、お互いのあいだに橋としたいと希ってきたのである。

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8年のあいだに、親しくしていただき、
いろいろなことをおしえていただいた
飯田信夫せんせい(元東京都公立小学校教員、
武蔵野市立井之頭小学校、千川小学校校長を歴任。
現在は、武蔵野大学非常勤講師、
武蔵野市教育委員会教育推進室・教育アドバイザーほか)
の本を、ふみ虫舎でつくりました。

『ブダペスト日誌』

編集を担当するのは久しぶりのことで、
ときめいたり、こんがらかったり。
やさしい飯田信夫せんせいの声の
聞こえてくるような1冊ができました。

〈お知らせ〉
『ブダペスト日誌』(飯田信夫・著)

第1章 ブタペスト日誌
1988−1991年まで文部省(現・文部科学省)から
ハンガリー共和国ブダペストに派遣。
補習校教員として赴任した日日の記録。

第2章 教師のひとりごと

第3章 子どもの周囲(まわり)

100冊限定で、お頒けします。
お名前/冊数/住所/電話番号
を明記の上、下記へご注文ください。

yfumimushi@gmail.com

定価1,500円+送料100円=1,600円は、
本到着ののち、お振込みください。

ふみ虫舎

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「日記」カテゴリの記事

コメント

ふみこさま。おはようございます。

「自由に好きなように。。応援しますから。。」
なんてなんて温かい力強い応援なんでしょう。
ちょっと弱気になってもそんな応援もらえたらどこまでも
いけそうです。

外国語を学ぶような気持ちでというところにもはっとしました。
私もそんな感じで室内楽やってます。
言葉と違って意味が多様に取れるのでお互いを尊重するような
作曲者と対話するような。。体で感じる事を大切にしていると
浮かび上がってくるものって好きです。
他の生き物とも通じるような言葉以前の大切な音みたいな。。
あいまいなものの先に広がる共感みたいな。。
そんなコトバ私も大切にして橋いろいろかけたいです。

ふみこさんの応援にはげまされながら
そしてこの活動をやりたいと言った時あきれないでいつも
寄り添って下さるバイオリンの師匠にも感謝感謝。この方
二児の父になり子供の言葉って「おー」「あ~」とかの音の
使い分けって面白いなんて話したばかり。。ふふ。

ではふみこさんみなさんいい一日おすごしくださいね。

投稿: 真砂 | 2019年11月 5日 (火) 11時03分

ふんちゃん 皆様こんにちは。
知ったかぶりをせずいいですね。

まるで異国の交流かのように
慎重に丁寧に過ごしてきたんですね。

私も8年前驚ましたよ
ふんちゃん すごい!こんなすごい仕事まで依頼が来るのか、と。


私も異国の交流だと思って接しなきゃですね
何才になっても母親は子供は小さい子供なんですものね

投稿: たまこ | 2019年11月 6日 (水) 05時54分

ふみこさま

こんばんは。
私も8年前から小学校で読み聞かせを始めました。
ことば。
大事にしたいと思います。
司書の先生が、こぐまさんは穏やかに読み聞かせをされるので、子どもたちがゆったりとお話の世界を味わえています、と言ってくださって、うれしくなりました🎵
ことばを、丁寧にゆったり話すことも気をつけていきたいです。

投稿: こぐまです | 2019年11月 7日 (木) 17時32分

真砂 さん

わかったような気になっている、
という状態もわるくないですが、
もう一歩踏みこんで、
わかろうとする。
これは、学びと表現の領域だろうと
感じます。

お互いに。
外国語を、愛しながら……ね。

投稿: ふみ虫。 | 2019年11月 7日 (木) 22時32分

たまこ さん

ひとは誰も、小さな子どもから
出発し、行きつ戻りつ……。

ときに、次世代の存在が追い越すことも。

そんなときには、そっと耳を傾けよう。
と、思います。

風邪に気をつけてね。

投稿: ふみ虫。 | 2019年11月 7日 (木) 22時35分

こぐま さん

こぐまさんの世界が、子どもたちに
沁みてゆく。
ゆっくり静かに。

ほんとうに、いいことと出会いましたね。

投稿: ふみ虫。 | 2019年11月 7日 (木) 22時37分

ふんちゃん

 「教育委員」ってなにをするヒトなのだろう?と
 実は、思っていました。
 なんだか、大変そうだぞ…と思ってはいても、
 実際にどんなことをするのか知らなかったのです。
 札幌にもいるのかなぁ…。

 というので、今回、そうなのか〜。
 と改めて…。

 夫が教育関係の仕事であることと、
 PTA会長をさせていただいていたことがあることのおかげで、
 学校の先生というものが、
 どれほど大変なのか…と垣間みることができた気がしています。
 表に見える仕事以外に、なんとなんと仕事が多いことか!
 「そんなことまでしなくったって、放り出しちゃいなよ〜」
 って思うことまで、頑張ってくれていたり…。
 一度に何十人もの子どもにモノゴトを教え、
 氣を配るなんて…。
 それだけでも、わたしには…ううううう。
 と思っていただけに、驚きました。

 発達がデコボコしている子たちと一緒に過ごす仕事をしていた時、
 それぞれの保育園、幼稚園、小学校、中学校に
 訪問にいくことが何度もありました。
 そのたびに…、私たちは、担当している子を
 「個別的に」見ているので、
 どうしても、「もう少しこうして欲しいなぁ〜」
 などという思いがもやもやすることもあったのですが、
 わたしが、児童発達支援事業所を立ち上げをした時、
 いろんな書類に目がまわり、この時にも、
 学校の先生の大変さのほんの少しを体験し、
 「ダメだ、こりゃ」(もちろん、いかりや長介のアレみたいに…)
 でした。

 その立場に立ってみる、想像してみる。
 そうして、知ったかぶりをしない。
 これは、わたしもどっしりと実感した記憶があります。

 ふんちゃんみたいな方が、
 先生のうしろにいて、応援してくれていたら…、
 救われる先生がたくさんいるだろうなぁ〜と思います。

 もちろん…、先生だってヒトだもの。
 あんなヒトやこんなヒトもいます。
 あっちゃ〜という先生だって…。
 今、4番目ちゃんの先生が、怒りベタで「学校行きたくない子」続出です。
 でもね、でもね…
 その先生、子どもたちのことは、よ〜く見てくれているんです。
 ただね…怒り方が「お母ちゃん」でイヤミっぽくなっちゃうだけ…。
 (人によっては、それは致命傷でしょうという人もいますが…)
 ここでね、ふんちゃんが教えてくれた
 「みんなの学校」の本を思い出したんです。
 子どもたちだけじゃない。
 オトナたちだって、同じだなぁって。
 社会は、大きな学校と思うと…そうですよね。
 私たちは、その4番目ちゃんの先生から学ぶこともたくさんあるはずなのです。
 実はこの先生、3番目ちゃんの担任をしてくださったこともあったのですが、
 3番目ちゃんは、2番目ちゃん同様、かなり繊細なので、
 あっという間に「学校行きたくない病」にかかりました。
 毎週月曜日になると、ちゃんと微熱が出て頭痛もするのです。
 しばら〜くかかりましたが、
 3番目ちゃん。強くなったと思います。
 ヒトとヒトが一緒にいると、どうしてもストレスというものがあるもの。
 それをちゃんと受け止めて、自分なりに処理していくチカラも
 大切だなぁと思うのです。
 とっても不器用だし、嫌われちゃっている先生だけれども、
 きもちはいっぱいの先生。
 ね?勉強にもなったよね…って話をしていました。
 ただね…、家では、こっそり「くそばばあ」って呼んで、
 グチをいっぱい言ってもいいよ…はしました。
 こっそり、ひっそりと…(^^)。

 今日は、その小学校の和太鼓発表会でした。
 毎年、涙がにじむ感動をくれる場です。
 かっこよかったです。
 これを支えてくれているのも先生。
 ありがたいなぁと思います。

 わたしは、親としてのかかわりしかないけれど、
 仕事としての関係は、いろいろ気をつかうものだろうなぁと
 想像します。
 「共通語」みたいなものが見つかるまで、難しく感じたり…。 
 わたしが、仕事をしているときは、そんなことも感じました。
 ふんちゃんは、コトバを仕事としている人だと思った時、
 「そうか〜、ふんちゃんは、ヒトとヒトをつなぐ橋でもあるんだなぁ」
 と思いました。
 また、いろいろ教えてください。

 追伸:
 2番目ちゃん。また背が伸びて、体重が増えていました。
 ココロの中の、健康的な部分も、ずいぶんと広がってきた気がしています(^^)。
 

投稿: もも(^_^) | 2019年11月 9日 (土) 14時29分

ふみこ様 おはようございます。

ふみこさんのお話を聞き
ももちゃんのコメントを読んで
「良くなっていくに違いない」と ワクワクとしてきました。

ふみこさんの様な 教育委員さんがいて
発達がデコボコしている子たちを
優しく しっかり受け止めてくれようとする
ももちゃんのような方がいてくれると

先生も そして おかあさんやおとうさんも 
どんなに 安心するか。

そして 私の様な 普通のおばさんは
そういうことを もっと もっと
知ろうと思う 目や耳やが必要だと思いました。

森の花や 葉っぱばかり 見ていては いけない!(笑)

ふみこさん 初雪が降りました。

投稿: えぞももんが | 2019年11月10日 (日) 05時29分

えぞももんが さん

どれだけえぞももんがさんを倣って
きたかしれません。

「学ぶ」のはじまりは「まねる」であるということが
納得できるお手本です。

これからもよろしくお願いします。

東京は、静かな秋です。
しばらく秋がつづきますように。
と思いながら、過ごしています。

投稿: ふみ虫。 | 2019年11月10日 (日) 09時36分

ふみこさま。みなさま。
ふみこさんが教育委員を拝命されたと知った時、「すごい!」と拍手したくなりました。
山本ふみ子さんを選んでくださった武蔵野市にもすごいです。
長年、幼児教育の現場で働いてきました。
入園式、卒園式には必ず、来賓としてきてくださった教育委員の方からのお祝いのおことばをいただきました。
入園式では優しい言葉で、わかりやすく、
卒園式では
「〇〇の時はこうだったね。〇〇の時も見てきましたよ」。
「元気をいっぱいもらいましたよ。ありがとう」。
難しいお話ではなく。立派なおことばでもなく、子ども達の目線になって
話してくださったお祝いのことばを思い出します。
子どもになって、ちょっと緊張して教育委員、山本ふみ子さんのお話を学校で聞いてみたくなりました。
毎日新聞「山本さんちのあっ!?」タイトル「きょう一日が奇蹟」
抱きしめたくなるような文章でした。
ふみこさん、ありがとう!ありがとう!の思いでした。
これからも、先生や子どもたちの応援団でいてください。

この場をお借りして。
ももちゃんへ。
温かなメッセージをありがとうございます。
私の方こそ、モモちゃんの頑張りを知り力をもらっているのです。
いつも、うろたえたり、悩んだり、立ち止まったりの連続であります。
でも、自分なりに精いっぱい,真摯に向き合っていくことで答えが見えてくる思いでいます。
今はわからなくても、人は生きてみなければわからないことがいっぱいあって、乗り越えている、ももちゃんも2番目ちゃんも本当の強さを知っている明るく、できるだけ楽しく行こうね!

えぞももんがさんへ
やさしい文章、静かな時間が流れているような気持にいつもなります。
かさこそと舞っている色づいた木の葉を座って、じーと、じーと眺めているような時間を一瞬もらっている思いがします。

投稿: ユリの木の花子 | 2019年11月11日 (月) 10時36分

ふみさまみなさまこんにちは~~

先週から今週にかけて、またまたちょっと大変な事態にまきこまれておったもので、
今週もみなさまとの広場におじゃまできないかな・・・
と思っておりましたが、本日、いつもは3時間待ち覚悟の皮膚科受診がナント15分で終わってしまったのでこのように訪れ言葉を残させていただけることとなりました。よかった~~

まずは8年もの間(そしてこれからもなのですよね)
教育委員、お疲れさまでした。そして未来を担う子供たちのためにありがとうございました。8年といいますと、あと1年続けられると義務教育は始まり、おわるまでの9年間をまるまるともにされたお子様もいらっしゃるのですね。素晴らしい。たくさんの言葉の橋をかけていただいて、すくすく成長されていったのでしょう。この先もその子供たちがどんな未来を築いていってくれるのか、楽しみですね。

私もこの1週間さまざまに私の周りの方たちと語り合ってすごしていました。
その間に
こりゃ大変だ、この先が見えてこない・・・と思っていたことが、
案外
なんとかなるかね。たいしたことないかもね。
に変化していったような気がします。

ふみさま、みなさまのお言葉の橋からも勇気をいただいて。

自由に好きなように。がんばってみよう、自分が今まで過ごしてきて学んできたちっぽけではあるけれど知識や、経験をてがかりに。

そんな気持ちになりました。

追~

再来週次女の部活動の応援に大阪に向かう予定です。
今年は晴れて部活動が全国の大会に上がれたので純粋に応援の旅となり、去年のような奈良京都を満喫する旅にはならないのですが、それでもみなさまが住まわれている地面をすこし辿りながら旅できるのを楽しみにしております。
去年だんなさんと手をあわせた長谷寺にもも(^_^)ちゃんファミリーも同じ参道をめぐっていらっしゃった事実がなんだかとても嬉しく、また去年の旅を思い起こす時間をいただきました。

投稿: おきょうさん | 2019年11月11日 (月) 12時16分

ユリの木の花子 さん

もったいないようなおことば、
どうもありがとうございました。

わたしのは、応援しているようで、
応援されている……。
支えているようで、
支えられている……。

その連続です。

でも、そこからはじまる、と
信じても、います。

投稿: ふみ虫。 | 2019年11月12日 (火) 01時06分

おきょうさん さん

二女さん、おめでとうございます。
……がんばりましたね。

大阪、いいないいな。
佳い旅をしていらしてください。
昨年の旅の「つづき」、第2章ですね。

お土産話、たのしみにしています。


投稿: ふみ虫。 | 2019年11月12日 (火) 01時09分

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