じゃがいもの皮
年に3回は会って、ごはんを食べながらふたりで喋りまくる友だち、ポテコさん(仮名)。
32年前、ポテコさんとわたしがそれぞれの第二子(どちらも女児)を出産したとき、病院で同室だったという縁(えにし)である。
仕事を持っていること、北海道出身であること、という共通項もあって……、いや、共通項がどうでも、気が合ったからだと思うが、交流を長くつづけてきた。赤ん坊だった娘たちも32歳になって、それぞれの人生を、自分の足で歩いている。
毎年、ポテコさんは北海道産のじゃがいもをくれる。
「だんなさんのうちでもじゃがいもを作っているでしょう? それでも、もらってくれる?」
と訊かれるから、そのたび、
「もらうもらう。いただきます」
と答える。
ポテコさんさんのくれる北海道産のじゃがいもは育ちがよく、保存状態もいい(日に当てるとエグ味が出るから、冷暗所に保存)。これをもらうと、わたしは皮ごとごしごしタワシで洗う。そうしてぺろんぺろんと、ひとくちサイズに皮を剥(む)く。ピーラーが得意なひとは、きっとピーラーでこれをやる。
布巾で水気をとって、からりと揚げる。塩をひと振り。
そう、じゃがいもの皮のポテトチップスなのである。
11月に会ってじゃがいもを受けとったとき、ポテコさんが云う。
「若い友人から、揚げないコロッケの作り方をおそわったの。じゃがいもを茹でてマッシュしたら(若いひとは電子レンジでチンするらしい)、缶詰のコーン、塩、マヨネーズを混ぜてまるめます」
「うんうん」
「そしたらパン粉をね、サラダ油をひいて中火で熱したフライパンで、きつね色になるまで炒るの」
「中火で炒るのね」
「このパン粉を火から下ろして、まるめたじゃがいもにまぶしつけます」
「はい。……それから?」
「これで、出来上がり」
びっくりしたー。
「若いひとのアイデアって素敵よね。『何それ。コロッケは小麦粉つけて卵をくぐらせ、パン粉をまぶして揚げるもの!』なんて決めつけないで、やってみる。そうありたいと思ってるの」
ポテコさんのこのときのことばも、レシピといっしょに大事にしまう。

〈お知らせ②〉
どくしょかい
朝日カルチャイセンター新宿にてはじまった講座、とてもいい雰囲気です。
つぎの3回は『貝がらと海の音』(庄野潤三/新潮文庫)をとりあげます——各自でご用意いただき、読んできていただきます。
1期ごとの参加も大歓迎です。ご参加お待ちしております。
日時2020年1月27日(月)、2月24日(月)、3月23日(月)3回
13:00〜14:30
受講料 会員 10,560円(入会金は5,500円。70歳以上は入会無料)
一般 12,540円
お問合せ・申しこみは下記へ
朝日カルチャーセンター 朝日JTB・交流文化塾 新宿
https://www.asahiculture.jp/shinjuku
でんわ 03-3344 -1945
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コメント
ふみこさま
ジャガイモの皮のポテトチップス。。おいしそうですね。
コロッケのアイディアも素敵!
決めつけないでどうなるかやてみるって
なかなか勇気もいりますよね。ふふ。
私たちのおとぎオペラも子供たち風邪多数なので
1月に延期になりクリスマスの聴き合い会に変更。
会場キャンセルしないででそれなりに楽しむ事に決めました。
(もうびっくりしなくなった~かな)
楽しみはあたためておくと天使はもっとふえてたりして。。
私も今年出会えた人に感謝です。秋に突然遊びに来てくれた方が
このオペラ子供たちと作っているからってなんだか私への
クリスマスプレゼントのようです。ふふ。
そしてこの広場でいつもふみこさんや皆さんから温かいもの
いただいてます。ありがとうございます。ではいい一日を!
投稿: 真砂 | 2019年12月10日 (火) 12時04分
ふんちゃん 皆様こんにちは
ポテコさん柔軟な方ですね。
人間関係のトラブルにおける
自分が正しいと頑なになる部分を
なだめてくれるようですね。
して、お腹の子ですが
またしても坊やちゃんだと言うことが発覚しました笑
長男くんに教えたら
うん、とあたかも知っていたかのような
リアクションでとっても心強いと
思いました
投稿: たまこ | 2019年12月10日 (火) 12時24分
真砂 さん
おとぎオペラ。
その世界が年を超えて、つづくということですね。
それは素敵。
クリスマスも、年末も、
年始も、おとぎオペラ。
あなたもわたしも、おとぎオペラ。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2019年12月12日 (木) 00時12分
たまこ さん
男の子。
……うん。
坊やちゃんの真似です。
たのしみ。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2019年12月12日 (木) 00時13分
ふみこさま。
じゃがいもの皮のフライドポテト、今度つくってみます!
はるくんは、今日、保育園で大原美術館に行き、国際ホテルで
テーブルマナーを学んできました。
ランチを食べたらしいです。
来年は1年生ですが、保育園でいろんな経験をさせていただき、ありがたいです。
明日は、お餅つきだそうです。
私は、健康診断で、悪玉コレステロール値が高いと言われ、
今、何年も前に買ったルームランナーをひっぱりだしてきて、運動しています。
散歩にいけばいいんですが、寒くてくじけるので、ルームランナーでがんばってみます。
ちょっとは元気になれたらいいんですが。
12月になると、やっぱり気持ちがあせってきます。
ぼちぼち、ゆるゆると家の仕事をこなしていきたいです。
では、またぁ。
投稿: こぐま | 2019年12月13日 (金) 17時12分
ポテトチップスでした‼️
すみません。
投稿: こぐま | 2019年12月13日 (金) 21時05分
ふみこ様 おはようござういます
ふみこさんから「北海道」と言う言葉が出ると
嬉しくてたまらなくなります
3月ぐらいになると 店先に
「よくねたいも」とラベルが貼られた
ジャガイモが 出てきます。
新じゃがも もちろんおいしいのですが
芽が出ないように 3か月ほど 長期保存すると
旨みが増して「よくねたいも」と、名付けらお店に出てきます。
このいもを見ると 三年寝太郎を 思い出します。
「揚げないコロッケ」は 若いひとの
作ってみたぞ!の 元気が感じられますね
私も 作ってみます。
数か月に一度
ずいぶん前の暮しの手帖に載っている
「わが家のコロッケ」がどうしても作りたくなります
そんな時は
気持ちに余裕のある時か・・・無い時のどちらかです(笑)
追伸・・・・『貝がらと海の音』(庄野潤三/新潮文庫)の読書会
あ・あ・・羨ましい!!!!
投稿: えぞももんが | 2019年12月14日 (土) 07時49分
ふんちゃん
毎日、ここへお邪魔しているのですが(笑)、
今朝、見てみたら、えぞももんがさん。
「あ〜、同じ思いだ〜」と、
北海道を話題にしていただいて、
うれしくて、ウキウキしていたきもちが
繋がっていて、
しごとの合間に、またお邪魔しにきました。
ポテコさん。
いいなぁ〜。
すてきな縁。
わたしも皮を揚げてみよ〜っと。
揚げないコロッケは、インターネットで何度か見ていたのですが、
まだ手を出していませんでした。
やってみようかなぁ〜。
ふんちゃんが、東京に居て、時々、北海道を思い出す。
ということが、なんだかつながりを感じてうれしく感じます。
昨日、月1の仕事の前に、いつも寄り道しているカフェで、
大好きなホーリーバジルティーに出合いました。
こんなところで飲めるなんて!
とってもカラダが温まって、ちょっとした冷えからくる頭痛なら
治っちゃうようなハーブです。
その前には、買い物で、ずーっと探していた冬のコートに出合いました。
運命的な出合いをするまでは、買わないぞと思って待っていたので、
うれしくて、うれしくて…。
高かったのですが、えいっと買っちゃいました。
出合いの一日。
2番目ちゃんが、帰りだけは自信がなくってお迎えだったのが、
バスで帰ってくるようになりました。
おお〜っ。こんなに早くここまで回復するとは思わなかった。
すごいなぁ〜、です。
毎日、生意気盛りですが、それもまたうれし。
元気な証拠です(^^)
わたしは、今日から、4、5日。
遠出する毎日が続きます。
車の中で、リラックスしすぎて
運転がおろそかにならないように気をつけます(^^;)
対談に、読書会。
魅惑的なものが、たくさん。
わたしは、北海道で、ふんちゃんの本を読みながら、
ここへお邪魔しながら、過ごしま〜す。
おきょうさん さんのおことばを、
ニヤニヤしながら受け止めて…、
今年の大掃除は、テキトーにすることにしました!
投稿: もも(^_^) | 2019年12月14日 (土) 10時02分
こぐま さん
ルームランナーでがんばっている
こぐまさんを想像して、ほっこりしています。
歩きはじめると、ぽかぽかしてくるのが
わかってるのに、
こちらも、スタートできない日があります。
木枯らしが邪魔するんです。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2019年12月14日 (土) 20時05分
えぞももんが さん
北海道。北海道。
……でも、北海道といえば、
えぞももんが さんだな。
わたしには。
そして えぞももんが さんの北海道は、
「生田」にもつながっています。
「よくねたいも」。
「よくねたひと」に、
なりたいね。
機嫌のいいひとのこと、かな。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2019年12月14日 (土) 20時09分
もも(^_^)ちゃん
ももちゃんの「北海道」は、
わたしには、隣町。
なんだか、そんな気がしています。
ね、ホーリーバジルティーって、
何、何?
飲んでみたい。
うそっこホーリーバジルティーでもいい、
淹れてみたい。
2番目ちゃんのバス世界が、
やさしいページになりますように。
祈っています。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2019年12月14日 (土) 20時13分
私はストーブを焚く季節になると朝食がパンからお芋に代わります。主人が畑(貸農園)で育てたお芋がたくさんあるからです。さつま芋は寒さに弱いので新聞にくるんで発泡スチロールの箱に入れ保管してます。それでも 2月頃になったら傷んできます。孫達も芋ほりはやたらと喜びますが そんなには食べません。主人も孫を喜ばそうと頑張って育てるのに あまり好きではないようです。でも 私も市の健診で糖尿予備軍と言われ続けており あまり食べてはいけないのですが、、、、、それで今年はお芋の季節が来る前に健診を終わらせました。主人はそういう問題ではないといいますが???
もちろん 皮ごと焼きますよ。
ジャガイモもほとんど皮ごと使いますが 皮のチップスとてもおいしそうなので 厚めにむいてぜひ作ってみたいです。ビールおいしそう!!!!
投稿: ann | 2019年12月15日 (日) 16時19分
ふみこさま。みなさま。
北海道の帯広に住む友達から20年近く、毎年決まったころに、ジャガイモが届きます。そして、年末近くになると、新豆が。小豆やとら豆など。
ありがたい、うれしい贈り物。
ジャガイモが届くと、コロッケを必ず作ってきました。
大きなコロッケ。手作りのコロッケはご馳走です。
何より北海道のお芋だもの。
今時、コロッケなんて作る?コロッケは作るものではなく買うものよと話している人がいました。
友からの友情のジャガイモだからこそ、コロッケを作ってます。
いいことを教わりました。皮をチップに揚げる。食べられたんだ。
これも、お芋愛です。
えぞもももんがさん、モモちゃん、北海道の暮らしに憧れています。
1度、ジャガイモの花が一面に咲く雄大な十勝の畑に行ってみたいです。
いつの頃からか、庄野潤三さんの作品を読み続けてます。
「貝殻と海の音」は3回は読んだと思います。
作品の中で夫婦が結婚50年を迎えるお祝いに子どもたちがお金を出し合い
新しい絨毯を買ってくれます。
「この絨毯が古びてしまうまで、二人とも元気で機嫌よく暮らせるように祈りたい」というところ、いつもじーんときています。
庄野潤三さんのどくしょかいのお知らせ。夢のようです。
一期でも歓迎なんてありがたいなぁ。
花の咲く春の便りが聞こえる三月の日。みなさんとご一緒したいなぁ。
投稿: ユリの木の花子 | 2019年12月16日 (月) 12時16分
ann さん
じゃがいもの、
やさしい物語をありがとうございました。
なんだか、無性にじゃがいも、
それも、まるのまま焼いたり蒸したり、
のじゃがいもが食べたくなりました。
早速……。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2019年12月17日 (火) 11時21分
ユリの木の花子 さん
じゃがいも愛。
ほんとうに大事。
食材に対する、
道具に対する、
消耗品に対する……。
ひとはじめ生き物への愛はそりゃあ大事ですが、
それだけじゃ足りない! と思わされるこのごろ。
どくしょかい、是非に!
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2019年12月17日 (火) 11時23分