8月記〈第3週〉
8月△日
ことしの梅雨は長くつづいた。
長かったけれど、この時期いつもやってくる友だちに一度も会わぬまま梅雨が終わった。
……さびしい。
このことは、地球のさびしさにつながっているかもしれない。
もう少し待ってみよう。
カタツムリ。
8月△△日
東京からしずしずとひとり、埼玉県熊谷市へ。
墓掃除のためお寺の墓地に出かける。
すると、ちょっとした木のようにも見える大アザミが墓のなかに生い茂っている。こんなになるまで、わたしは墓掃除をしないでいたのだ……。
「ご先祖さま方、申しわけありません。でも、わたしが来たからには、ご安心ください。草も抜きに抜きますし、垣根も刈りに刈りますから」
ぞわぞわと、気配が足元から伝わる。これはご先祖さま方からの期待、そして笑い声だ。
「苗字のちがう、いつもの嫁がやってきた」
「やってきた、やってきた」
「ガショウキ(*)なところは、この7月に亡くなった大きい嫁とそっくりだな」
「少しばかり乱暴だが、この小さいほうの嫁も、墓の掃除はやるからな」
「やり過ぎるのが心配じゃ。クワバラクワバラ」
「危ない、植木ばさみをふりまわして……」
*ガショウキ 埼玉県以北のあたりの方言。こうと決めたら、途中乱暴なほどの勢い、方法で突き進む性格を指す。
8月△△△日
散歩を兼ねて遠くの店まで歩いていたら、道の端の茂みから黒猫がひょい、と顔を出した。
子どもの黒猫。首輪をしていない黒猫。
びっくりした。この日の朝、17年間ともに暮らした黒猫のいちごの写真に向かって、声に出してこう頼んでみたからだ。
「ねえ、いち、ときどきメッセージを送って、叱咤激励してください」
ありがとう、ありがとう。
ところで、また、猫と暮らそうかな。そう思って、帰り道、同じ茂みを覗きこんで、「ニー、ニー」呼んでみたけれど、黒猫はもういなくなっていた。
今生でもう一度、猫と暮らす日がめぐってきますように。
8月△△△△日
友だち(これは人間の友だち)から太った封筒が届く。
うれしい。カタツムリや猫の友だちからは、こういうものは届かない。届かなくても少しもかまわないけれど、人間の友だちから届く便りはうれしいものだ。
この友だちは岩手県盛岡市に住んでいる。
封筒のなかから、便りのほかにマンガ本1冊と、DVDひとつが出てきた。
「ふんちゃん、東京はかなり暑いようですが、お元気ですか?
(中略)親孝行したいなと。これまで一切そんなことおもえなかったのに。アラフィフになり、ようやく大人になってきたのかな。漫画と映画の感想きかせてくださいね。K 」
読んでいるうち、こみ上げるものと押し合いへし合いがはじまる。やっとのことで押しもどしたが。
「Kちゃん、Kちゃんがいるだけで親孝行なんだよ。
文士のKちゃん、ひたすら書いてちょうだいね。その道中を祈っています。ふんちゃんより」
熊谷の家のブルーベリーす。
雨が多かったので、実が割れやすかったそうですが、
夫ひとりで実を摘んで、少し出荷もできました。
……お疲れさん。
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コメント
ふんちゃん皆様こんにちは。
8月の思い出が溜まってきて嬉しい日々です。
さて、ここで報告です。
私義母に伝えたました。今まで4年間辛かった思い。(もちろん楽しいこともありました)
ざっくり言うと、このまま小姑2人もいると
子供も見ながらで心が壊れてしまう。
子供を産んで余裕をなくした自分が悪いのかと責めてしまう。
どうか、独立させてほしいと。
義母はなぜ、小姑がいて心が壊れるのか
理解不能なようでしたが
小姑に独立しろと言えないらしいので
将来的に私達が独立することに。
誤解のないように言っておきますが
義母はよく気が回るし家族思い。
独立するときも円満に独立してほしいと言ってくれました。
ただやはり、実の娘と私を同じ娘として
扱わず距離をおくべきでした。
小姑2人も独立する気は薄いようです。
若かった私がこうなることを確認して
暮らすべきであり、一番は私の心問題です。
ただ、我慢ばかりして貯め込みがちな私に
よく全て言えた!よく状況を前進させた!と
褒めてやりたいです
投稿: たまこ | 2020年8月18日 (火) 13時42分
ふみこさま
こんにちは~。
ブルーベリーの爽やかな色涼しそうな鈴の音がきこえてきそうですね。
だんなさまとブルーベリーの会話きいてみたいです~。ふふ。
鈴の音といえば。。
庄野英二さんの「星の牧場」の鈴も素敵ですが。。
実はこの夏休みねかせてあった「スラブ幻想曲」のラストの場面
空からシャワーのように流星がふりだしてきた。。。
とありこれだ~とひらめき「星の牧場」にはまってます。
一番好きなのはアンコロン(竹楽器)の音色があるときは
渚に打ち寄せる波の音に。。あるときはカニさんが小石に触れる音に。。
あるときは浜辺を歩く足音に。。。のところです~。
こんな状況ですが師匠とその仲間たちで秋にミニ演奏会
八角形のおうちでやることになりはりきってます。
また中止になったとしても幻想曲のこの世界でこんなに
遊べていい夏なり。ピアノ伴奏の娘とも(お出かけないので)
この場面はなんだろうね~なんてうれしい時間になりました。
(もう少しテンポしっかりしてほしい~なんていってます~)
ふみこさんも「星の牧場」のツキスミ好きですか??
投稿: 真砂 | 2020年8月18日 (火) 14時48分
たまこ さん
長く、むずかしい問題と向き合いつづけてきて、
たまこさんは、ひととしての学びも
深めてきたのですね。
ちょっとはずれたことを云うかもしれないけれど、
許してね。
こういうとき、わたしは
ちょっと損しちゃおうっと
考えます。
自分で自分が生きやすい道を選ぶためには、
自腹を切ろう……、
損しちゃおうっと、と。
それで好きなように生きてきたんです。
よしよし、たまこさん。
いつの間にか、大きくなって。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2020年8月18日 (火) 21時58分
真砂 さん
『星の牧場』大好きです。
もっといま、読まれていいと
思います。ね。
ツキスミは憧れ。
モミイチにはひとの
核をおしえられ、慰められます……。
いいなあ、素敵だなあ。
「星の牧場」に
ひらめきを得ている演奏家の真砂さん。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2020年8月18日 (火) 22時04分
ふみこさま、皆さま
日中は変わらず厳しい暑さが続いていますが、
今朝は早朝、少し空気が涼しく感じられました。
陸上の試合に出かける次男に合わせて
最近、早起きしています。
休校期間も、毎日公園に
トレーニングに出かけてました。
同じ穴のムジナが三々五々集まり
密にならないように
それなりにやっていたようです。
満を持しての試合、
高校のユニホーム
嬉しさがひしひしと。
ふみこさん
現れた黒猫、何かメッセージを
届けに来てくれたんじゃないでしょうか?
母の末期、
実家の庭にも
首輪をしていない黒猫が
遊びに来てくれていたのです。
雨宿りしながら寝ている姿、
バッタを追いかけている姿、
心がゆるむひと時でした。
思わぬところで
叱咤激励されていますね。
今しばらく暑さとともに。
投稿: 円 | 2020年8月20日 (木) 08時34分
ふみこさま
お墓掃除のお話、思わず笑っちゃいました‼️ご先祖さまの呟きが楽しい😃💕
私は、暑さで、だれだれです。
庭の草も見ないようにしています。
だめだなぁ。
今日は、娘が仕事が休みだったので、プールと温泉に行ってきました。
はるくん大喜び。
もうすぐ夏休みも終わります。
思い出 いっぱい作りたいです🎵
投稿: こぐま | 2020年8月20日 (木) 15時01分
円 さん
あの世とこの世のあいだには、
橋がかかっていますね。
ときどき、橋の向こうが
ちらっと見えます。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2020年8月20日 (木) 22時38分
こぐま さん
夏らしい夏が、
こぐまさんを包んでいる!
東京も、
いろんなことが厳しい状況ですが、
夏らしい夏が、立ち上がっています。
夏休み、さいごまで
目一杯たのしんでね、はるくん!
(宿題はダイジョウブー?)
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2020年8月20日 (木) 22時41分
ふみさまみなさまこんばんは~~~
世間がまだわちゃわちゃしているというのに、ふみこさんの8月はかわりなく暑くも楽しいわくわくの8月で、なんだかとても嬉しいし、安心させてもらっております。
9月の末に行う予定の今年のおきょうさんの教室のフェスティバル(別名・発表会(笑))は、いつもよりも規模を小さくして、また、生徒さんの楽しみにしているアンサンブルも舞台の配置上不可能とのホールの方のお話をいただいてしまったので、泣く泣くそれはカットで準備を進めているのでいつもより時間にはゆとりがあるのですが、ちょっと寂しくもあります。でも、今やれることをね。あきらめずに少しでも。なので会は中止にはしないでやっちまいます。コロナなんてぶっとばしちゃいます。(笑)
そして10月には生徒さんの結婚式にお呼ばれされました。(今度はネックレス忘れないようにしよう(笑))綺麗な綺麗な幸せなお嫁様を眺めながら、ひたすら美味しいお酒とお料理をいただけるのは最高なのですが、なんと今回は生徒さんのご希望で私と連弾をしたいと・・・。ゾゾゾ・・・。上手に弾けない口だけ達者の先生なもので、
「え~~~~やだ~~~~」
と駄々をこねましたが(なんて先生だ!(笑))押しきられてしまったので、久しぶりに真剣こいて毎日ピアノを弾いております。熱い夏です。( ´艸`)
ふみさまもみなさまもそれぞれに暑い、熱い、厚い、夏をいましばらく楽しみましょう。みなさまのお話楽しみにさせていただいてます。
そして・・・・
ねこねこねこ~~~❤❤❤
もしふみさまが、また、ねこと暮らし始めてくださったらうれしいな~~
母が暮らせなくなって引き取った茶トラ、『ちゃちゃまる』はおきょうさんのもとでマイペースで暮らしています。先住のハチワレにゃんこ『ジゲン』、昨年庭に半年間遊びにきていてその後保護させてもらったサバトラの『さばちゃん』、3人ともかけがえのない家族でございます。毎日癒しをもらっております。いちごちゃ~~んふみさまに素敵な出会いをさせてあげて~~~!!
~おきょうさんのあさがおにっき~~~~
ふみこせんせ~~~い!くらすのみなさ~~~ん!
ついについにすかーれっとがまっかなおはなをさかせました!
あさおきて、かーてんをあけて、おはなをみつけて
「やった~~~~!!」とさけびました。
おもってたとおりのきれいでぷらいどがたかそうなおはなでした。
きねんしゃしんをとっていんすたぐらむにのせてみました。(『#朝顔スカーレット』でふみこせんせいやくらすのみなさんもみてもらえるはずです!)
そうしたらここのくらすのおともだちといんすたぐらむでおはなしができるようになって、すごくすごくうれしかったです。すかーれっとがごほうびをくれたんだとおもいます。
ふみこせんせい、すてきななつやすみのしゅくだいをだしてくれてほんとうにありがとうございました。まだまだまいあさのかんさつはつづけようとおもいます。そしてすかーれっとのたねがとれたらとてもうれしいなとおもいます
投稿: おきょうさん | 2020年8月21日 (金) 19時24分
おきょうさん さん
なんていいんだろう。
9月のフェスティバル、
10月の結婚式、
たのしみに声援を送ります。
ネックレスのほか、
マジックインキをお忘れなく。
いざとなったら、マジックで
首にネックレスの絵を描くというのを、
以前おきょうさんさんと、笑って計画したからです。
たのしい日日を紡ごう!
とあらためて思わされました。
たのしい日日を紡ぎましょう!
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2020年8月22日 (土) 04時38分
ふんちゃん
少しずつ涼しくなってきた北海道です。
かたつむり。
そういえば、わたしも今年、出会っていません。
そのかわり…、畑に大葉を採りに行ったら、
でっか〜いカミキリムシが居て、
「ひゃ〜あ〜あ」と
早朝から、ひとり大声を出してしまいました。
最近、家の周りの虫たちは、
大きさが、大きくて大きくて、本当にびっくりします。
わたしが子どもの頃に比べると、
気候が、本州のように暑くなったりするからなのでしょうか…。
小さなコトかもしれませんが、
環境の変化を、身近に感じるようになりました。
今日は、天気も良く、例年より遅くなってしまったのですが、
梅干しを干しています。
今年は、梅シロップはたくさ〜ん作ったのですが、
梅干しは、ちょっとにしました…。
出来上がりがたのしみです(^^)
病院のお母さんに送るはがきにも、
畑の野菜たちのことを書いています。
今は、ピーマン真っ盛り。
そうそう、ブルーベリーもあって、
5番目ちゃんが採る係です。
たくさん採れた日は、スムージーにします。
これがおいしい!
お母さんは、どうやら精神的なものが大きく影響しているようで、
カラダそのものは、まだ大丈夫なのかもしれない…ということが
わかりました。
病状が進んでいることに代わりはありませんが、
急に…ということはないようです。
外で強くて、大きなお母さんでしたが、
本当は、不安で弱いお母さんでもありました。
少しでも穏やかで過ごせるように…と毎日祈っています。
えぞももんがさんが書いてくださったような
しっかりと受け止める…ということができているのか
わかりません…。
ただ、じっとそこにいるということは、
2番目ちゃんの2人の主治医の先生に学んだのです。
けれど、そんな風にできているのかどうか…。
わたしがどうやっていても、どう感じていても、
時は静かに進んでゆきます。
それなら…と、わたしもゆっくりいようと思っています。
これから、お母さん宛のハガキを出しに、
近くのポストまで散歩に行ってきま〜す。
いつも…、
ふんちゃん、みなさま、ありがとうございます。
投稿: もも(^_^) | 2020年8月23日 (日) 14時41分
昨日は待ちに待った夕立が降りました。雨を見るのは1ヶ月ぶりくらいです。これが私の仕事、、、と 朝に夕に庭の水やりに頑張ってきました。それでも 日照りと熱風にやられ枯らしてしまった物もあります。でも朝顔は強かったです。お花はだんだん小さくなってきましたが まだ咲いています。種もたくさん採りました。来年は朝顔で緑のカーテンを作ろうと今から楽しみです。
さっきツクツクボウシが鳴きました。これから少しずつ涼しくなるかな?
ブルーベリーの実かわいいですね!!!うちにはジューンベリーの木があるのですが よく似た実をつけます。春には白い花が咲き 赤い実がなりそれがだんだん黒っぽくなって 甘くなるけど それからはヒヨドリと競争です。たいがい負けますが、、、でも ベリール類の葉っぱの紅葉は本当にきれいです。きっとブルーベリーもそうでしょうね、、、
自分の育てた物を 出荷できるってすごく憧れます。
亡くなられたお母さま お墓もきれいになって ブルーベリーも出荷できて きっときっと大喜びなさってますよ!!!
投稿: ann | 2020年8月23日 (日) 16時38分
おきょうさん さ〜ん
インスタのすかーれっと。
見ました!
ステキ!
ステキです!
投稿: もも(^_^) | 2020年8月23日 (日) 17時23分
もも(^_^)ちゃん
ほんとう、ほんとう。
ただそこにじっといる。
これが最善であることが多いのかもしれない……。
つい、癖のように悩んだり、
つい、いらないことを云ったり、
つい、感じなくていいことでいっぱいになったり。
ただ、そこにいて、
どんなもんだい!とか云ってればいいのに……。
無理は禁物。
無理な得意なももちゃんだからね。
おねがいします。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2020年8月23日 (日) 23時00分
ann さん
雨。
こちらにはこなかった……な。
でも、 annさんのところに
いったのなら、いいか。
と、思いましたとさ。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2020年8月23日 (日) 23時01分
ふみこ様
厳しい 暑さが続いていますが
ふみこさん 夏バテしていませんか?
ひょっこり顔を出した
いちごちゃんのような 黒猫さん
もう一度 現れるといいですね
NHKで 時々放送される
「ネコメンタリー 猫も、杓子も」という番組が好きです
もの書く人々のかたわらには、いつも猫がいた。
作家と愛猫の日常をドキュメント・・という番組です。
「養老センセイとまる」が羨ましいほど
いい関係です。
ふみこさん、また猫のいる暮らし
巡ってくるといいですね。
ももちゃん
「ただ、じっとそこにいる」
私も 忘れないようにします。
私からも・・・どうか むりせず。
投稿: えぞももんが | 2020年8月24日 (月) 15時51分
えぞももんが さん
「いまだ!」
というタイミングで、また、
猫がやってきてくれると、
信じて待っています。
あの日、それがかなわなかったとき、
余裕のない、ぎりぎりの「いま」
じゃないんだな、と納得したのです。
自分を整えたい、とも感じています。
猫と暮らしたいと思えたことが、
ありがたい「いま」です。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2020年8月24日 (月) 21時12分