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2022年1月の投稿

2022年1月25日 (火)

100字随想 vol.2

友だちの家の冷蔵庫に貼りつけられていたことば。「役にたたないもの、美しいと思わないものを家においてはならない/ウィリアム・モリス」ね、モリスさん、好きでないものも置かないほうがいいんじゃないかな。(98字)


深夜のテレビ。「みんなのうた」(NHK)のなつかしい歌がつぎつぎに流れている。「コンピューターおばあちゃん」「まっくら森の歌」(谷山浩子)「しあわせのうた」(榊原郁恵)……。寝られないじゃない!(97字)


訪ねてくれたひとをお茶に誘ったはいいけれど、うちには何にもない。しなびたりんごを1みつけた。急いで刻んで、煮て、ガラスの器へ。熱熱のりんごの上でに、ヨーグルトをとろりとかける。ハーブティーを淹れる。(100字)


「会いたいひとは?」と不意に訊かれて、口から「宮本浩次」の名前がこぼれた。だけどだけど、会いたいんじゃないな。会ったって、何も云えないやしない。ただ、物陰からそっと覗いて、歌うときのあの目を見たい。(99字)


夜寝る前、玄関の扉をがらりとあけて庭に出る。美し過ぎて……、不思議過ぎて……、夜空は恐ろしい。勇気を奮い起こして見上げる。今夜は月も星もなく、黒い幕のなかで雲がこちらを見ていた。「おやすみなさい」(98字)

Fun_illust
instagramの新しいシリーズ、
「好きなものみつけた!」をはじめました。
これも100字的世界かな。
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〈お知らせ〉
「ふみ虫舎エッセイ講座」の追加募集に対しまして、
たくさんの方から案内書請求をいただきました。
どうもありがとうございました。
定員に達しましたので、本日2022年1月29日をもって
募集を〆切らせていただきます。

なお、すでに案内書請求をしてくださった皆さま、
入会を希望される場合はご一報をおねがいします。
それを受けて入会の手続きに進むことになります。
お待ちしております。

ふみ虫舎エッセイ講座日直 山本ふみこ

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2022年1月18日 (火)

100字随想 vol.1

 
 シェアハウスを営む友人のことば。「家は、ひとが訪ねるたびにぬくもり、深まってゆく」なるほど。わたしの住む家も、同じことを云いたげだ。子どものお客さんがあるときなど、身をよじってうれしがっている。(97字)


 サンドウィッチづくりのあとの宿題。残ったパンの耳をどうするか。クルトンに。1列にならべてピッツアに。本日は小さく刻んでベーコンや野菜と炒め、ホワイトソースをとろりとかけて焼き、グラタン風にする。(97字)


 夏みかんの皮を刻んでピールにする。あれ? このところこういうことばかりしている。刻んだり、ちぎったり、ちくちく。仕事に飽きて、手仕事に逃げているのか。いや、いや。手仕事に飽きれば、仕事に逃げこみます。(100字)


 深夜、しんと静まりかえった家のなかで、原稿書き。その昔、耳にタコができるほど聞かされ、長年、頭のなかに貼りつけたままにした「早寝早起き」の標語を剥がす。かわりにこれを貼りつける。「常識を超えてゆけ!」(100字)


 トレンチコートに、あけびの籠バッグ。これはわたしの冬の定番。気の張る場面へと向かうときは、ベルトをウエストできゅっと結ぶ。籠バッグに潜ませたスカーフはといえば、あるときは首元へ、あるときは風呂敷に。(99字)


***

 主宰するエッセイの講座のなかで、ときどき「100字5本ノック」というのをしている。100字くらいではなく、きっかり100字(5字くらい足りないのはよしとするが、100字を超えてはいけない、が約束)書く。
 100字では書き手の気負いの入りこむ余地もなく、解釈も感情も、感情も過剰になりようがない。経験したこと、観察を置くだけで、何かを醸すことができたら……という世界である。
 取り組んだ皆さんは、むずかしいと云いながらもおもしろみを感じている。
 一度やってみると、その後も気がつくと「100字」を考えている、との感想も聞かれる。

 それで、わたしも書いてみたくなったのでした。

Photo_20220117182001
夏みかんの皮を刻みに刻みました。
ピールだから、こんなに細切りに
しなくても……。

……刻みたかったんです。

〈お知らせ〉
「ふみ虫舎エッセイ通信講座」は、
しばらく新規募集をできずにおりましたが、
このたび、15人あたらしいお仲間をお迎え
することにいたしました(先着)。
くわしくは「山本ふみこ公式ホームページ/
ふみ虫舎エッセイ通信講座」をご覧ください。

https://www.fumimushi.com/

まずはかんたんな案内書を請求していただく
ことになります。
「100字5本ノック」にも挑戦していただけます。

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2022年1月11日 (火)

ありがとう、ありがとう

 ことしがはじまって4日たった日、東京に行き、板橋区の長女の家に泊めてもらう。
 それならわたしも……とばかりに二女もやってきて、川の字になって寝る。
 川の字2泊目の朝、外を見ると雪が舞っていた。
「雪の贈りもの。ありがとう、ありがとう」

 この日わたしには大手町で仕事の打ち合わせがあるが、それが終わったら竹橋の近代美術館に向かって、3人合流することとする。大手町の新聞社から10分くらい歩けばたどり着く計算である。
 観たかった「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」に、行けそうだ。
「展覧会の贈りもの。ありがとう、ありがとう」

 あたらしい仕事が、またはじまる。
 打ち合わせのなか、仕事の相手からかつてわたしの本を読んで勇気づけられたというはなしを聞いて、照れる。こういうとき照れたりするのは素人臭いが、いやあ……とか云いながらやっぱり照れる。
「あたらしい仕事の贈りもの。ありがとう、ありがとう」

 打ち合わせののち、外に出ると、雪はまだ降っていた。積もるかもしれない。こんなとき急いで熊谷の家に帰るのがよいだろうけれど、そうなると、きっとわたしは「民藝の100年」を見逃すことになる。
 ええい、わたしはどうしたって行きますよ。
 近代美術館に到着し、コートの雪を払い、入場券を求めて入館。雪のおかげで、人出は少ないようである。あ、いたいた。音声ガイドのイヤフォンを装着し、真面目な顔で歩いている長女と二女と。
 わたしの暮らし方に大きな影響を与えてくれた民藝の100年の歩みをたどる。
「ありがとう、ありがとう」

 展覧会場を出ると、銀世界がひろがっていた。
 東京の交通には、雪の影響で乱れが出ているらしい。
 もうひとつ泊めてもらうこととする。川の字3晩目がやってきた。
 3人で家の近くの居酒屋に寄り、関あじの刺身やら白レバーやらを食べる。芋焼酎(明るい農村、山ねこ、かわせみ)のお湯割をぐびっと飲む。
「3日つづきの川の字の贈りもの。ありがとう、ありがとう」

 川の字になるや(わたしは真んなか)眠気が襲ってきて、たちまち蒲団の国に運ばれそうになる。
 運ばれてゆきながら、考える。
 この世のことは、すべて贈りものなのではないだろうか。なかには受けとりたくないものがあったとしても、たぶん(たぶんだが)それだって帳尻が合うようになっているのだ。少なくとも、与えられたものをできるだけ贈りものとして受けとめ、そのたびに「ありがとう、ありがとう」と云えたなら……。
「眠りの贈りもの。ありがとう、あり……」

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「民藝の100年」の展覧会場で、ひとり休憩。
12枚切りの食パン2斤
(2日後お客さんのアフタヌーンティーに供するため)を、
風呂敷に包んでいたら、人びとが、その様子をじっと見る。
「おいしそうだったのかな」
「いや、食べやしないだろうかと心配していたのよ」
「そんなふうに見えた、見えた」

サンドウィッチのあとのはなし。
パンの耳をどうするか、が、宿題となる。
クルトンをつくって、サラダに。
翌日は、こんなふうにならべてピッツァにしました。
姿はへんてこですが、ものすごくおいしかったのです。

【おしらせ】
instagramをしばらくお休みしていましたが、
再開します。
「好きなものみつけた!」
毎週火曜日に更新します。
おたのしみに、どうか。

【ふみ虫舎番頭からのメッセージ】
ポストカードの注文、今年もお受けしています。

Fumimushiポストカード12枚組 1,200円(+送料180円)

Fumimushiポストカード購入方法【その①】
オンラインショップ(BASE)で販売中。
https://fumimushi.thebase.in/
★ポストカード12枚のデザインも展示しています。

Fumimushiポストカード購入方法【その②】
下記のメールアドレスへ必要事項をご記入の上、ご注文ください。
fumimushisha@gmail.com
★必要事項:お名前/ご住所/電話番号/注文数
★代金の支払方法など、ご連絡いたします。
 

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2022年1月 4日 (火)

大大吉

 夫と、長女と3人で年越し。

 元旦。
 秩父 長瀞の寶登山(ほどさん)神社へ初詣。

 ロープウエィで寶登山(497,1m)に上り、山頂に鎮座する奥宮(おくみや)にお詣りする。ここは静かだ。
 参拝ののち、ひとつきりの茶店前の焚き火にあたる。この店さえも厳かである。女主人が、云う。
「風がつよかったのですけれど、それも今しがたおさまりました。甘酒でどうぞ温まってくださいな」
「なんておいしい甘酒。くるみ味噌の田楽もいただけますか?」
 出てきたこんにゃくは分厚く、くるみ味噌とほどよくからんで美味なこと。
「このあと、奥宮のうしろにまわって、ぐるりと歩いてください。蝋梅がうつくしいですよ」
 寶登山は梅の名所でもある。
 あらゆる梅花にさきがけて、蝋梅の黄花が正月を言祝いでいる。中国原産の蝋梅。この苗木が大陸からやってきたのは17世紀はじめ(江戸時代)と遠い日のことらしいけれど、外来種などとは呼ばれず、珍重される……。
 蝋梅の林のなかの細い道を歩き、ふたたびロープウェイ駅へもどる。ロープウェイを待つあいだ、かなたの山を眺める。
「あの、ぎざぎざの尾根は両神山(りょうかみさん)。いつか登りたいな」
 と、夫。
「甲武信岳(こぶしだけ)に登りたい」
 これは、わたし。

 ロープウェイで下山ののち御社殿へ。
 ここで、3人、おみくじをひいたのだ。
 壺のなかに手を差し入れて……、手のひらにおさまるちっちゃな小槌をとり出す。このなかに、おみくじが折りたたんで入っている。
 わたしがつまみあげた小槌は金色で、おみくじをひっぱり出してみると、「大大吉」とある。
「満願成就のときがくる」
 たとえ、おみくじであっても、こういう運を独り占めしてはいけない。
 ことしわたしの出会うひとが皆「大大吉」の運を手に入れて、これまでの苦労や努力の報われる日日を過ごせますように。
 こう念じると、本年のひとつひとつの出会いが明るむようだ。

 広場の皆さんはとくべつ。
 たとえお目文字かなわなくても、皆さんは「大大吉」です。

 金運 順調に上昇
 仕事 実力発揮で飛躍
 勝負 思い切りが肝心
 恋愛 良縁に恵まれる
 旅行 いずこもよし
 買い物 運気を上げる 
 美容 快眠が基本となる
 ファッション 清潔感のある装いを

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わたしのつくる昆布巻き、なかみは牛肉です。
茹でるように煮つづけたのち味つけをし、
また30分煮ます。
最初から味つけをすると、昆布に味がしみこまない、
ということを学んだのです。

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【ふみ虫舎番頭からのメッセージ】
明けまして、おめでとうございます。
本年もふみ虫舎をよろしくお願い申し上げます。

Fumimushiポストカード12枚組 1,200円(+送料180円)

Fumimushiポストカード購入方法【その①】
オンラインショップ(BASE)で販売中。
https://fumimushi.thebase.in/
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Fumimushiポストカード購入方法【その②】
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