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2022年6月 7日 (火)

後発的当事者

 ときどき、その場に立ちたくなる。
 恐ろしくもあり、胸も頭も激しく揺さぶられるのだけれども、一方で、不思議な静けさに包まれる場所だ。

 原爆の図丸木美術館(埼玉県東松山市下唐子)。

 画家の丸木位里(まるき・いり/1901-1995)、丸木俊(まるき・とし/)夫妻共同制作による《原爆の図》全15部が常設されている。
 そのほか、常設展示作品として、夫妻の晩年の大作《水俣の図》、《南京大虐殺の図》、《アウシュビッツの図》《水俣・原発・三里塚》がある。

 丸木位里の水墨画と、丸木俊の油彩画の融合はあまりにも力強く、しかしうつくしく、見る者の衣服、防御などはおかまいなしに、直接からだの芯に訴えかけてくる。
 日常生活のあれこれにとりまぎれて、離れてゆく歴史的一大事の記憶を、ゆっくりとたどることになる。祖父母、父母(ちちはは)から、周囲の先輩、大人たちから、その記憶について話を聞く機会を、わたしはあまり持てなかった。
 そのかわり、たとえば読書を通して、「原爆の図丸木美術館」のような場所を通して、知って、学んで、考えてきたともいえるが。
 そんななか、ふと父がもらした学徒出陣前夜のつぶやきが思いだされたり、母が学生時代に通ったという軍事工場での作業のはなしが浮かぶのだった。ああ、先輩たちが語ったあれは、あの時代の「このこと」であったか、というように。

 さて、この春、しきりにわたしは「原爆の図丸木美術館」を訪れたい心持ちになっていた。
 これまで「その場に立ちたく」なったとしも、東京から出かけるとなると、そう簡単ではなかった。時間をつくり損なって、結局気持ちをおさめるしかないこともたびたびだった。
 ところが昨年5月に埼玉県熊谷市の住人となったわたしは、夫もしくは友人に車に乗せてもらいさえすれば、30分ほどで「原爆の図丸木美術館」に到着する身となった。
 美術館の下方を流れる都幾川(ときがわ)を眺めながら、近くに越してきた縁(えにし)を思うのだ。

 このたび美術館の企画展「東北画」のなかで、「後発的当事者」ということばと出合った。
 実際にその事柄の関係者でなくても、その一端を担おうとする生き方をあらわす造語だという。

 未来に向け携えていたい指針の看板が、自分のなかに置かれたように思う。

Photo_20220607093301
梅の収穫を終え、梅の剪定をしました。

(ご案内①)
「原爆の図丸木美術館」を未来につなぐため、
支援を募っています。

「原爆の図保存基金」の主たるなかみは
つぎの通りです。

・展示保存に適した新館の建設
・海外発信の充実
・アーカイブの整理・構築

HPへアクセスのこと。
https://marukigallery.jp/

(ご案内②)

6月13日(月) 10 : 00ー11 : 30 
埼玉県熊谷市「大幡(おおはた)公民館」において、
さわやか学級が開かれます。
「文章で気持ちを表現しよう」

対象は熊谷市内在住、または在勤の方だそうですが、
移り住んでまだ1年、いったいどれほどおひとが
いらしてくださるか……。心配しています。
ご興味のあるあなたさま、どうぞ、お出かけください。

申し込みは熊谷市大幡公民館
048-524-5141 へ。

〈公式HP〉
https://www.fumimushi.com/
〈公式ブログ〉
http://fumimushi.cocolog-nifty.com/fumimushi/
〈公式Instagram〉
https://instagram.com/y_fumimushi
 

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「日記」カテゴリの記事

コメント

ふんちゃん皆様こんにちは。

後発的当事者。初めて知りました。

関係者でもなくても一旦を担うとする。
どんな物事にも通用しそうな言葉ですね。

例えば相談を聞いたり、寄り添うなども
あたはまりそうな優しい言葉ですね。


さて、2週間に1回はコロナで保育園休園で
呼び出させるこの頃。
折れそうな心を伸ばし伸ばしいきます

投稿: たまこ | 2022年6月 7日 (火) 12時19分

ふみこ先生、みなさま

こんにちは
我が家も梅の剪定、庭木の剪定をしなくてはいけません。
庭が生い茂っています!

山の畑の一本の梅の木から、今年は運よく鳥より先に梅を獲ることができました。
梅ジュースと梅酒がひと瓶ずつできました。庭の梅の木は、残念ながらでした。

こちらでは3年ぶりのほたる祭りがありました。
わたしと夫は、ほたるの光よりスマホの光が多い祭り当日を避けて前日に車で5分のほたる川へ。
今年もおしゃべりなわたしが、しばし言葉を忘れる静かなひとときでした。
そして夜空には北斗七星や三日月も・・・・・
毎朝、同じ時刻にジェット音がまた聞こえるようになりました。
定期便が再開したのでしょう。
少しずつコロナ前の日常が戻っているのでしょうか!

後発的当事者

あの戦争の当事者だった父、母の世代から直接話を聞けるのはわたしの子どもたちが最後の世代のように思います。
広島の地では怨みより許す心、ひたすらに平和を祈る心を持った当事者のみなさまの後世へ伝える努力が多くの若き後発的当事者を育て続けているとわたしは感じています。

せんせいとの出会いでいろいろなことを知ることができ考えることができ、わたしのアンテナが反応します。思うようにそれを進めることはできませんが心がワクワクするだけでも嬉しいです。

投稿: 岡山のこんちゃん | 2022年6月 7日 (火) 13時10分

ふみこさま

後発的当事者。
心に留めたい言葉ですね。
さわやか学級
行ってみたいなぁ~。
最近は、アルトヴェノーヴァを思い出して吹いています。
音が裏返るって、なかなかむずかしいんですけど、はるくんが応援してくれるので、がんばって吹いています。
吹けると達成感があります。
昨日は、にじ を吹いてみました。
さっちゃんも動画をみて聞いてくれるので
うれしいです~。

投稿: こぐま | 2022年6月 7日 (火) 18時45分

こんばんは

このところ気づくと胸に浮かぶこと、まだ母ではなかったとき手にしたノンフィクションのあとがきの中の文章。それは死にゆく兵士のまだ見ぬ我が子に宛てた手紙でした。『…まだ目も見えず息もしていない…我が子よ、わたしはお前の幸せを祈る。
……私は死んでいかなければならない。生まれてくるお前を待ち受けているのは私の過ちがもたらした瓦礫の山であり お前はその上に立つしかないのだ、こんなことにしてしまったことを許しておくれ、こんな世界を残していくことを恥ずかしく思っている、しかしこんな世界しか残せないのだ…』
もう少し長いものでしたがこのような内容でした。
いのちは愛さなくてはならないが愛しすぎてもいけない、ともありました。
旅立ちのときまでに理解できる気はしませんが答えに近づくかなぁと思い続けています。
ひとは本当にさまざまですね。
数日前 犬が吠えるので何かと思ったらヤモリさんでした。なんだかほっとしました。

投稿: | 2022年6月 7日 (火) 22時34分

名無しになってました、ごめんなさい。

投稿: こんぺいとう | 2022年6月 7日 (火) 22時35分

ふんちゃんへ

こちらのスーパーで梅を見かけるようになりました。             近郊の道の駅で今週末「梅まつり」が開催されるとか…。
季節は進んでいますね。

この広場でふんちゃんのお話や皆さんのお話で色々な事を知ることができます。
いつもありがとうございます。
知っていると知らないは違います…。
知ってから、どうするか…。
最近の私はあまり新しいことをしてないな…そう思いました。
そんな事を考えていたらふっと幼稚園の頃に砂場でひたすら穴を掘ってた息子の姿が浮かんできました。
あの時「どうして穴掘りなの…?」と思ってた母ですが、いまなら少し気持ちが分かる気がします。
「ごめんね、今頃で…。」と朝から反省。

秋田、岩手、宮城と田んぼを眺めながら帰ってきました。
気温差なのか秋田の田植えは遅いです。稲はまだか細く、岩手や宮城のはしっかり根付いてました。
雨も大切ですが、お日さまも大事です。
ほどよく照らしてくださいね♪

投稿: ハチミツ | 2022年6月 8日 (水) 05時19分

ふみこさま


おはようございます。

梅の木たくさんあるのですね~。
私も週末に梅酒つくり楽しみました。
秋の発表会にむけて曲を決めるときなので
3か月後のお互いの熟成をたのしみにして。。
スペイン舞曲、スラブ音楽も迷ったのですが
「雨の歌」の3楽章がどうも心から離れないので
思いをかけてみます。ふふ。
梅の実くんたちぷかぷかして気持ちよさそうで
時々ゆすりながら応援してもらえそうです。

個人美術館は作家さんの声がきこえてきそうで
いいですよね。わたしも3月の庄野さんの企画展
の「日常という特別」の担当者の強い思いは
ずっとこころにあります。
そして今ここにあることに感謝して今日もいいいちに
楽しみたいです。
そうそうふみこさん、うちの朝顔くんたちもう
蔓伸ばして絡みついてきたので麻ひもアートもたのしもうとおもいま~す。

投稿: 真砂 | 2022年6月 8日 (水) 06時02分

ふみこ先生、みなさま

みなさま、ごめんなさい。せんせいへの私信にこの場を少しお借りします。
せんせい、先ほどエッセイが返ってきました。
せんせい、「ごめんなさい」はいりません。過剰な青ペンうれしく、ありがたいです。
わたしがどうかなと思っていた箇所の刈り込みにやっぱりねと納得してひとりで笑ってしまいました。
せんせいが真剣にわたしと向かい合ってくださることがヒシヒシと感じられてうれしいです。
わたし、こういう感じ好きです。どうぞ、これからもわたしの第一読者でいてください。

みなさま、ありがとうございました。

投稿: 岡山のこんちゃん | 2022年6月 9日 (木) 14時06分

たまこ さん

ほんとうに。

「すべて」にあてはまるコトバです。
おののきながらも、
希望を噛みしめています。

投稿: ふみ虫。 | 2022年6月 9日 (木) 19時21分

岡山のこんちゃん さん

こんちゃん、
わたしたちが、忘れてはいけない
歴史について、気負うことなく
後輩に伝えてゆける知識と経験を
持たなければ、ならないですね。

こんちゃん、
この夏のあいだ、
いろいろおしえてください。

よろしくお願い申し上げます。

投稿: ふみ虫。 | 2022年6月 9日 (木) 19時26分

こぐま さん

いつかふたりで、
語る会をしよう……。

岡山で。

投稿: ふみ虫。 | 2022年6月 9日 (木) 19時27分

ふみこさま

うわぁ できるといいですね~
楽しみにします!

投稿: こぐま | 2022年6月 9日 (木) 19時54分

こんぺいとう さん

過ち多きわたしを、
許してもらいながら、
自らも許しながら、生きているなあと
思わずにはいられません。

でも、つぐないつぐない、
明るい気持ちで生きてゆかなくちゃ、と
同時にわたしは思うのです。

投稿: ふみ虫。 | 2022年6月 9日 (木) 23時47分

ハチミツ さん

いいなあ、穴掘り。

やっぱり、ひとの命は輝いている!
と思わず跳ねています。

投稿: ふみ虫。 | 2022年6月 9日 (木) 23時49分

真砂 さん

朝顔アートの季節!

ことしもよろしくお願いします。
たのしみたのしみ。

投稿: ふみ虫。 | 2022年6月 9日 (木) 23時50分

岡山のこんちゃん さん

まあ、どうもありがとうございます。

書き手の皆さんの、
わたしは担当編集者のつもりなのです。

過ぎてはいけないと思い気持ちがあります。

そう受けとめていただいて、
とてもうれしいです。

投稿: ふみ虫。 | 2022年6月 9日 (木) 23時52分

ふみこさん、みなさまこんにちは。
我が家の畑では玉ねぎ、きゅうりが出来始めました。いつもこの時期は、母が梅干しを仕込みます。
ふみこさんのお家の梅は、どんなふうに変身しますでしょうか…?
私も梅仕事が出来る様になりたいなあ…と毎年思うのですが…(笑)
先日は初めて塩麹を作らせてもらう機会がありました。やはり自然の力ってすごいなあ…と思いました。

戦争のこと…亡くなった祖父母からいろいろと聞いていました…。
うまく言葉にできませんが、
ずっと心の中に残っています。祖母の想い…今思い出すだけでも涙が出そうです…。
いつか子供たちにも伝えよう…そう想っています。

ふみこさん、今日の海はキラキラ輝いています…!

投稿: みゅー | 2022年6月10日 (金) 13時29分

ふんちゃん

 「後発的当事者」ということばに
 わたしも初めて出合いました。
 
 今年こそ、札幌にある小さな原爆ドームに行ってみようと
 思っています。
 なんだか……、世界のあんなところやこんなところで、
 不穏な感じ??と、感じることが増えました。
 どうなっちゃうんだろう?
 「そろそろ…さすがに怖くなってきた……」
 と、2番目ちゃんが言っていました。
 子どもたちが、不安にならないように……と
 いつもなんとなく思っていた自分に気づきましたが、
 けれど最近は……、
 世界のあんなところやこんなところで起こっていることが、
 自分にも関係のあることなのだと
 不安に思う、心配に思う、きもちは、
 大切だなぁと感じています。
 
 ふんちゃん、もしかして、
 今日は、公民館で「さわやか学級」なのですね。
 あ~、ひとっ飛びして、わたしも参加したい。
 札幌で、ようやく「夜間中学」が開校になったのです!!
 先日、夫が、参観に行かせてもらう機会をいただきました。
 「映画を見ているようだった……」って言っていました。
 若者からおじいちゃんおばあちゃんまで、
 読み書き、算数を学んでいて、
 本当に、あったかい空気だった……と。
 
 争いをすることも、こうして学び合うことも 
 同じときに起こっているんだと思うと、
 不思議なきもち?複雑なきもち?
 なんだかよくわからないきもちになったりもします。
 まずは……、畑の野菜たちを食卓に運び、
 子どもたちと食べる、
 今日あったことを思い思いに話す、
 寝る、 
 そんなことを繰り返していけばいいんだと
 思うことにしました。

 ここのところ、埼玉でもひょうが降ったと耳にします。
 ふんちゃんのところは、被害などなかったでしょうか……。
 札幌は、よさこいのお祭りが終わって、
 少しずつ、夏に向かっているなぁという感じです。
 
 

投稿: 空色めがね | 2022年6月13日 (月) 09時19分

ふみさまみなさまこんにちは~~~!!

梅雨の晴れ間、今日のお天気はとてもさわやかです。
空色めがねさんのお言葉どおり今日はふみさま、「さわやか学級」でお話されているのですね。本当に私も行って『さわやか』にしてもらいたい。今日の青空のように。

あっというまに今週で6月も中旬。1年の折り返し地点になってしまいますね。はやいはやい・・


おとといの土曜日はうちのマンションの小さい庭の枯れ葉拾いと、夏のお花の苗の植え替えなどをしておりました。
半日作業していただけで45リットルの袋が一杯!!

この2畳ぐらいの庭でこんだけ枯れ葉や選定した枝葉がたまっちゃうのだから、私の空き家実家の庭やふみさまの熊谷のお庭の整備はホント大変なこっちゃね・・・。

と汗をかきかき思っておりました。

なるべくなるべくお庭でひっそり暮らしている方たちの生活をおじゃましないように・・・ダンゴムシさん、小さなムカデさん、ミミズさん、ナメクジさん青虫さんなど出る出る(;^_^A

昔はヒョエ~~~~(@_@)となってもうすぐさま袋につめて廃棄してしまっていたのですが、

ここにきて、

「はよ、逃げてくださいまし~~ここいらはホウキでこれから掃きますからね、みなさん土の中や、剪定して残した葉っぱや、まだたくさん茂っているマンションの植栽の中などに避難されてくださいよ~~

とチリトリやホウキや鎌にのっけて救出しつつの庭仕事時間をしております

人間が頂点だと思ってはいけない気がして・・(いや絶対そうです、人間は自然に生かされていただいているのですから・・)
自分にとっては害をなすと思われるものでもやみくもに排除しちゃいけない気がします。最近特に思うようになってきました。なんだろう、悲しい映像や事実が身近に入ってくることが多くなってきているからかなあ・・・

皆で息をして、皆で食べて、皆で眠って、皆で世代を受け継いでいく・・・

人間同士でさえそれが守れないなんてどうなんだろう・・・過去に痛くつらくおぞましかったことは絶対わかっているのに・・・

もっともっとお勉強して、自分の心にも刻まねばならないのでしょうね。ずっしりと痛く重たくなってしまうことではあるけれども。

後発的当事者。

この言葉が将来、私達のあとを引き継いでいく子供たちが、良い事の、明るい事の、笑顔いっぱいの良い意味での『後発的当事者』と使われるようになってくれますように。

まずはおきょうさん、お庭のミミズを大事にしながら今日もお水を撒いています。

投稿: おきょうさん | 2022年6月13日 (月) 12時26分

みゅー さん

さすが、みゅーさんです。

戦争のおはなしを、
おじいさま、おばあさまに聞いていらして。

わたしは落ち着きがなかったのと、
大事なことから逃げる質(たち)でもあったから、
だめだなあ、と思い返すのです。

おじいちゃん、ごめんなさい。
おばあちゃん、ごめんなさい。

おばあちゃま、ごめんなさい。

だからこそ、大人になってから
やっとのことで知り得た事ごとを
若いひとたちに伝えなければ、と思うのです。

投稿: ふみ虫。 | 2022年6月13日 (月) 17時00分

空色めがね さん

夜間中学。

このことばを、どんなに好きか知れません。
生徒にもなりたいし、
夜間中学の友だちにもなりたいです。

また、おしえて。
夜間中学の、つづき、
夜間中学の、未来。

ありがとう、空色めがねさん。
ひょうは降らなかったのです。
とうもろこしの美味しい地域に降って、
とても悲しかったけれど、
みなさんが、被害に遭ったとうもろこしを
買いに集まっている
ニュースを見ました。

ひとって……、いいなあ。


投稿: ふみ虫。 | 2022年6月13日 (月) 17時14分

おきょうさん さん

「人間が頂点だと思ってはいけない気がして」

「まずはおきょうさん、
お庭のミミズを大事にしながら今日もお水を撒いています」

というところを読んで、わたし、
泣きました。

同じように思って生きているつもりでも、
おきょうさん さんのことばには、
愛があふれている……。


投稿: ふみ虫。 | 2022年6月13日 (月) 17時19分

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