100字随想 9月
釘を打つ。棚を吊る。はたきをかける。蕎麦を茹でる。家で働くとき、父は手拭いを頭に巻いた。そうして夜はきものだ。手拭い使いをわたしは受け継いで、家でも外でも頼りにしている。きものは……、真似できない。(99字)
熊谷駅に着き、そこから自転車か迎えの車で家に向かう。玄関の引き戸を開けると、ほっとする。「ただいま」。長年暮らした東京を大好きだが、いまは仕事仲間のような存在。親しくともに何かをこなし、わたしは帰る。(100字)
相棒(夫)が好きだといいなあ、と思いながら玄米を炊く。「いいね」と云うので、以来玄米を食べている。変化しながら生きているのだ。変化をおもしろがる精神を、持ちつづけたい。長生きするかもしれないのだし。(99字)
お彼岸。「お線香を上げさせてください」とやってくる不意の来客に、あわてる。脳梗塞で倒れた夫の従兄弟から、1年間のリハビリ生活ののち、ほぼ元どおり!という話を聞くわたしはタンクトップにショートパンツ姿。(100字)
ブルーベリー木立ち30本のうち、いまなおさかんに実をつけるのは晩生の2本だけで、あとはだんまりを決めこんでいる。眠っているみたい。植物のうつろいは、いきなりだ。「ありがとう」も、伝えられなかった。(100字)
藍色の模様が好きで、選んでいます。
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