せんつき汁
1月3日
空は青く、どこまでも澄んでいる。
あたらしい年が、光のなかから生まれた。
2022年の予定表を箱に納めようとして、ぱらりぱらりとめくる。ああ、とため息が漏れる。自らついたため息の成分に、「驚き」が混ざっている。
役目を終えた予定表に、「苦手」があふれ返っていたからだ。うっかり者ゆえ、それとは気がつかずに「苦手」との対面をつづけてきた。そうして、ところどころ、やり残しをしているのであった。
まあ、しかたがない。ことしは、やり残しをひとつずつ片づけるところからはじめるとしよう。
片づけをはじめる前に、ひそっと自分にささやいておく。
「2022年を、あなたはよく生き抜きました」
1月5日
「せんつき汁」をつくる。
学生時代、学校でつくり方をおそわったすまし汁だ。以来ずっと「せんつき汁」と呼んできたが、「せん」は「千」「仙」なのか、はたまた「詮」であるのか、わからない。「つき」のほうも同じで、「月」ではないかと予想しているけれども、「突」「尽」なのかもしれない。
漢字はどうでも、なかみは大根と里芋である。
そうか、切り方に名の由来があるのかも知れないことに思い当たり、おごそかに大根を拍子切りにし、里芋はまんまるに。
灯油ストーブの上に鍋をのせておいたら、たちまちできた。塩とほんの少しのしょうゆで味を整える。さいごに、柚子の皮をちょんとのせる。
1月6日
昼、「せんつき汁」のなかに、焼いた餅を入れて、雑煮風にして食べる。
夜の主役はきゃべつである。
ごま油できゃべつを炒め、そこにだしを入れる。冷蔵庫には常に、水に昆布やらけずり節やら、煮干しを浸けただしのポットが入っている。これを、ととととと、と注ぐのだ。
灯油ストーブの上で、スープはいい香りをあたりに漂わしている。仕上げは、食べる間際に。
きゃべつをせん切りにする。
熱したフライパンに油をひき、だしで溶いた粉を薄く入れる。まあるくのばした上に、きゃべつをのせる。フタをして5分、きゃべつがしんなりしたところに、卵を割り、底の粉部分にフライ返しを差しこんで、ぱたんとふたつ折りにする。これで出来上がり。紅しょうがを添えて、ソースで。
1月7日
昨日のきゃべつのスープに、庭でとれたちっちゃな大根、間引いたのらぼう菜を刻み入れて煮る。ここにご飯(玄米)を加えて、雑炊に。これを七草粥とする。
大根の皮と、冷蔵庫の野菜室で発見した
瀕死のエノキダケと。
干しています。
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コメント
ふみこ先生、みなさま
寒晴れの空に雪山の稜線が際立ってとてもきれいです。
夫は今朝、ウォーキング中に神社で弱ったたぬきに出会ったそうです。
夜、車に鹿がぶつかって車がへこんでしまったという話も今日耳にしました。
山に食べものが少なくなってきたのでしょうか!
ヒヨドリも畑の白菜やキャベツを毎日眺めにきています。
白菜といえば、年頭にあたりちょっとがんばってみました!
おばの白菜漬けを食べながらいつまでも甘えてはいけないと白菜漬けに挑戦しました。
たくわんと白菜漬けは夫と義弟の「おふくろの味」、道具も材料もすべてあるのだから
あとはわたしのやる気だけ。
手始めに畑から白菜二株(5キロ)ほどつけ、水が上がってくるのを待っています。
うまくいけば今年の冬は頑張ってみようと思います。
「雪のひとひら」ただ今2回目を読み始めたところです。
1回目は描写、言葉の美しさに魅かれて読み進めてしまったので今度はじっくり「女の一生」
として読んでいきたいと思います。
「雪のひとひら」が海にたどり着いたあたりから、これからのわたしが寄り添える場面として
この本をそばに置いていきたいと思いました。
土曜日、偶然見たNHKの「超進化論」という番組を見て、本の中の「造り主」「そのひと」に
思いがおよびました。
ご紹介いただきありがとうございました。
寒気の次は暖気がやってくるとか、せんせい、みなさまご自愛くださいね。
投稿: 岡山のこんちゃん | 2023年1月10日 (火) 19時55分
岡山のこんちゃん さん
こんちゃん、白菜漬けいいないいな。
わたしはちょっぴり漬けをときどき
つくっています。
子どものころは、
母がどっさり浸けて、水が上がるまで、
重石の上に坐りましたね。
漬物石の上で読書。
の、思い出です。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2023年1月10日 (火) 22時16分
ふんちゃん皆様こんにちは。
ひそっとつぶやくあたり
なにか頑張ることがあったのだと思い
頑張りましたおつかれでした、と言わせてください。
さて、今年もなんとか
はつもうでに行ってこれました。
切実にお願いは家族みんなで健康で、です。けんきならなんでもできますから!
投稿: たまこ | 2023年1月10日 (火) 22時19分
ふみこさま
おはようございます。
今朝は1月11日。1がいっぱい鏡開きの日なので
わたしもまたお雑煮たべたくなりました。
「せんつき汁」の名前もおもしろいですね。
ふみこさんがつくられたせんつき汁たべてみたいです。
ゆずの皮は薄切りにして冷凍しても香りを楽しめるので
なべにうどんにちらし寿司に楽しんでます。
それから新しい年の光といえば。。。
三浦の友人にさそわれて久里浜~野比海岸のあたりの
水仙ロードあるいてきました~。対岸の房総半島の水仙を譲り受けて地元ボランティアの方々が100万本まで
ふやしたそうです。海のきらめきとともに光の春を感じ
ます。うちの年末にかった山形の桜もまだ満開で窓辺に
差し込んだ光が当たってふすまに写る桜の影もまたいい感じです。
それではふみこさんみなさんきょうもいい一日おすごしくださいね。
投稿: 真砂 | 2023年1月11日 (水) 07時29分
たまこ さん
おやさしいおたよりを。
どうもありがとうございます。
元気でいる。
それがかなわないひとの分も、
働きたい、ね。
できることを、みつけたいね。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2023年1月11日 (水) 10時51分
真砂 さん
ああ、わたしも、
お花いっぱいのロードを
歩きたいです。
でも、真砂さんのおかげで、
水仙の道を歩いた気分に浸っています。
ありがとう!
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2023年1月11日 (水) 10時52分
ふみこさま みなさま
なんだか強い風の日で久しぶりに雨模様、そして気温も高めです。
このおたよりのように、お料理や食べものについて書かれた文章が好きで、小説のなかにお料理シーンや食事内容などあるものなど、好んで読んでいました。そのため、今回は古い本を引っ張り出してきて、また読み直そうとしています。
まず、杉浦日向子の『大江戸美味草紙』『ごくらくちんみ』
もう活字は読めないかも、とあきらめかけていましたが読み返すと楽しい!です。あとは青野由利『宇宙はこう考えられている』そして曽野綾子『砂漠、この神の土地』。
何度も読み返して飽きないものを読んでみます。明日は久しぶりに図書館に行ってみようかな、と考え中、それもまた楽し、です。
今夜は豚薄切り肉を重ねてカツにしました。揚げものもしばらくなかったな〜、キャベツの千切りをつけて
きょうはなんだか食べすぎです。
ちょっと苦しい…、
腹も身のうち、腹八分、と父の声
投稿: こんぺいとう | 2023年1月13日 (金) 19時29分
こんぺいとう さん
きゃべつのせん切りって、
わたしの好物のうちだなあと、
思います。
それを食べたいあまりに、
カツレツを揚げたりして……。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2023年1月14日 (土) 15時35分
ふみさま、みなさまこんばんは~~~
ひっさしぶりのひっさしぶりに雨でございます。
夏のカラカラとは違う感じなのですが、庭木も、植木鉢の植物たちも、
ちょっと喉かわいてますぜ~~イガイガしてますぜ~~と毎日お水はあげていたのですが、佇まいで彼らが訴えているのがわかっていたので、こうしてシャワーのように降り注がれた雨さんにお庭のみなさま、ほんとうに嬉しそう。
雨さんにはかなわないな~
と思いながらすごしておりました。
今日は久しぶりに次女が帰宅してきます。というか、明日成田から彼氏さんの住む北海道に会いにいくための中継宿としての帰省でございます。。(;^_^A
ま、でも、年末年始休まず働き続けてヘトヘトだろうから、
リクエストのクリームシチュウとシューマイをこしらえました。
冬場は『お鍋!』という、主婦には簡単おいしい正義の味方がいますので(笑)遠慮なく頼りまくって手をぬいてばかりでしたので(;^_^Aひさしぶりに、切ったり、いためたり、こねたり、包んだりカチャカチャと・・・。
ああ、でも台所仕事、やりはじめると楽しいな~
と思いながら一人でラジオをききながら下ごしらえしておりました。
帰宅は23時をまわりそうなので、しあげは後程。でひとやすみです。広場にやてきました。
気がついたら
、
実家に帰って母のごはんを食べる正月が無くなってしまったなあ・・
と寂しく思っていたけれど、いつのまにか娘がここに帰ってきてごはんをたべる、ここが『実家』になったんだなあ・・・と実感。
正しい実家にしていかないとなあ・・・鍋ばっかりじゃなくて(;^_^A「あ、これが母の味だ!」と思ってもらえるレパートリーを増やしておきたいよな~~
と。
ふみさまのせんつき汁、せんぎりキャベツのごちそう・・早速試してみようと思います。冷蔵庫にねむるお出汁もあこがれるう~~。カツオ風味の〇〇だし~~専門じゃだめだめだな~~(笑)
これからもここが正しい実家になるように、先輩ふみさま、そして広場のみなさま、手抜きおきょうさんにご指南よろしくお願いいたしま~す!
投稿: おきょうさん | 2023年1月14日 (土) 18時57分
おきょうさん さん
前の日のにゅうめんの汁から、
とり分けておいたもので、
クリームシチュウの下ごしらえをして、
ここへやってきてみたら、
クリームシチュウのおたよりが。
こちらは、夕方、ルウをつくって
混ぜこむばかりになっています。
二女さん、おかえりおかえり。
華やぐ2023年をね。
しゅうまいをつくりたくなりました。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2023年1月15日 (日) 14時07分
ふみこ様 こんにちは
ご飯の話を聞くと いつも幸せな気持ちになります。
味や食感や温かさを想像して
「けんちん汁に似ているんだろうか?」とイメージも
広がっていきます。
「せんつき汁」・・食べてみたいです。
来週の土曜日は 主人の母の7回忌です。
母の料理だった 三平汁を作ろうかと
大胆にも思っています。
「この味じゃないよ」と言われませんように(笑)
投稿: えぞももんが | 2023年1月15日 (日) 14時08分
ふんちゃ~ん
聞いて、聞いて~、な今回です。
1番目ちゃんが、とりあえず無事に共通テストを終えられました~。
自己採点で8割超えたと、ホッとした顔で、報告してきてくれました。
きっと今年こそ、どこかの大学には入れそうな気配です。
結果よりね(もちろん、結果は大事ですけれど)、
よくここまで2年間、部屋にひとり、頑張り続けたな~と、
わたしは、そのことがとてもとても感慨深く、涙がじんわり……。
いろいろありましたが、本当にいい経験をして、
大きくなりました。
えらいな~です!(ちゃんと本人にも言いました(^^))
ホッと一息、「せんつき汁」
わたしも作ってみたいな~と思います(^^)。
年末についたお餅が冷凍庫にあるので、
それを入れて、お雑煮にしてみようと思っています。
えぞももんがさんの「三平汁」も食べた~い!!
鮭で作るのと、ぬかニシンで作るのと、どっちの好きなのですが、
今、ぬかニシンがあるので、それで作ってみようかなぁ~。
「せんつき汁」に「三平汁」
わ~、たのしみです。
おきょうさん さんのクリームシチューも食べた~い!
結局、今日の晩ばんごはんは、何にしようか……、
これから仕事へ行く道すがら、考えようと思います(^^)。
投稿: 空色めがね | 2023年1月16日 (月) 09時29分
ふんちゃんへ
キャベツのレシピ色々とありがとうございました。
スープもお好み焼き風?なのもどちらも美味しそうです♪
「せんつき汁」初めて知りました。
「三平汁」はかなりしょっぱい鮭のアラを使って祖母がよく作ってくれました。
あの味はまだ出せないな…。
昨日は久しぶりに夫がたこ焼きを作りました。ちょぴり辛かったけどふんわりした美味しいたこ焼きです。関西人なのでお好み焼き、たこ焼きにはこだわりがあるようです。結婚してもうすぐ30年になりますが、どちらも焼くのは夫のほうが上手です。
この場をお借りして…
空色めがねさんへ
1番目ちゃんさん無事に試験が終わり良かったですね。
お二人ともお疲れさまでした。
土曜日の朝に息子に「10年前を思い出すね…」とLINEを送りました。その頃は浪人していた息子のセンター試験に親の私もピリピリしてたけど、かなり頑張って余裕なふりをしてました。
センター終わったら次は二次試験…春が来ることをひたすら祈ってました。
見守ることがどれだけ大変なのか、少しわかります。
佳き春になりますように!!
投稿: ハチミツ | 2023年1月16日 (月) 16時44分
えぞももんが さん
えぞももんがさんの「三平汁」は
どうしたって、美味しいです。
そうに決まってます。
わたしも、つくろう。
大胆にも!
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2023年1月17日 (火) 02時51分
空色めがね さん
共通テストおめでとう!ございます。
「結果よりね(もちろん、結果は大事ですけれど)、
よくここまで2年間、部屋にひとり、頑張り続けたなーと、
わたしは、そのことがとてもとても感慨深く……」
そうだそうだそうだ!
本質を掴んで、輝ける未来につなげてね。
大学生活が佳き通過点となるように。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2023年1月17日 (火) 03時12分
ハチミツ さん
食べものの物語には
夢があり、日日救われます。
色は祝福。
と、思います。
たこ焼き食べたくなったーーー。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2023年1月17日 (火) 03時24分