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2023年4月の投稿

2023年4月25日 (火)

きゃべつ祭り

4月18
 庭に昨秋から育ててきたきゃべつ10株のさいごの1個。

 昼、山のようにきゃべつのサラダをつくる。
 焼きたけのこ、スナップエンドウと合わせ、すりごまでつくったドレッシングを添える。たけのこ、スナップエンドウもうちで採れた野菜たちだ。
 大きな皿に玄米のご飯をよそい、ご飯のとなりにサラダを盛りつける。

 焼いた甘塩鮭ひと切れ。
 きゃべつと油揚げのおみおつけ。
 高野豆腐、大根、しめじの煮もの。
 キムチ。

 夜は、残ったサラダに缶詰のツナをのせ、塩そばの具とする。
 ラー油、塩、醤油少少。山椒を振って食べる。


4月19
 夜、ロールきゃべつをつくる。
 茹でたきゃべつの葉で、ソーセージや、豚肉を包む。
 ことしのはじめから、肉をどんと買って、小分けの袋入りにして冷凍するようにしている。豚肉100gずつ、手羽中半割り4本ずつ、ささみ2本ずつ、ひき肉200gずつというふうに……。
 たいてい2人暮らしのごはんだから1袋で間に合うし、人数が増えたときには、2袋でも3袋でも解凍して使うことにしている。

 ソーセージ4本入りの袋。
 豚コマ肉100g入りの袋。
 ベーコンコマ切れちょっぴり袋。

 これを解凍して、茹でたきゃべつの葉で包んだのだ。これを水でもどした干瓢でしばる。ロールきゃべつのほかに、大根、玉ねぎを加えてスープに。

 こうしてきゃべつ祭りの夜が、白ワインとともに更けてゆく。


4月19
 紅茶を淹れる。
 え? 
 やけに美味しい紅茶がはいった。

 こんなのをひとりで飲んじゃっていいのか、と思って、きょろきょろする。

 紅茶、珈琲、日本茶を美味しく淹れることができて、好ましいおみおつけがつくれたら、もうそれでじゅうぶんだという気がするきょうこのごろだ。簡単なようで、お茶にもおみおつけにも、すぐに自分のだらしない一面があらわれる。たまに「やけに美味しい」ものが生まれると、自分が大人物になったような気がするよ。


4月20
 ひとと話していて、「大事なのは、タイミングとバランスよ」と云っている自分にぎょっとする。
 口からするする出てきたふたつのことばは、ほんとうのところ、自分には縁がない。
 子どものころ、すでに母や弟に「タイミングがわるい」と云われていたし、バランスのほうだって、なんだかいつも「おっとっと」と危なっかしいことがつづいているのがわたしだもの。
 しかし、こんなふうにひとに云ったりしているところを見ると、あこがれていたのだな。タイミングよく、バランスをとって暮らすというのに。

 タイミングを計れないせいでぐらつくも、なんとかその場で体勢を保ってバランスをとるというのじゃ、だめだろうか、と考えてみている。

 

4月21
 東京での仕事の帰り、晩ごはんに駅弁を買って帰ることを思いつく。うれしや駅弁。
 こういうとき、夫には肉っぽいものを、自分には魚っぽいものを選ぶ。
 牛すき焼き弁当1,300円。
 銀だら幕之内1,450円。


4月23
 バンクーバーにいる三女栞から電話。
 向こうは夜、こちらは昼だ。
 わたしの昼がきょうだとすると、栞は昨日の夜を過ごしていることになる。
 この春からあたらしい仕事をするようになり、その様子を聞かせてくれる。
「韓国人の社長から『栞さんは、竹島は日本と韓国とどちらの国の領土だと考えますか?』と訊かれた。それも、挨拶がわりという感じで訊かれるの」
「どう答えたの?」
「簡単には答えられませんと答えた」

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麦がこんなに育ちました。
穂がピンとのびている、のびています!

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池袋コミュニティ・カレッジで
山本ふみこ新刊刊行記念講演会が開催されます。

開催日: 5月20日(土)13:30〜15:00
講師:山本ふみこ+写真家・田邊美樹

田邊美樹さんは『あさってより先は、見ない』の
表紙や本のなかの写真を撮った方です。

受講申し込みは池袋コミュニティ・カレッジHPまで。
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2023年4月18日 (火)

庭ごはん

4月11
 お天気。
 まるで夏のような日差し。
 そうだ、サングラスをかけて歩こう。
 この3年ほど、マスクをしなければならなかったから、サングラスができなかった。マスクにサングラスだなんて、隠しごとだらけの人物のようだもの。
 久しぶりにマスクをバッグに仕舞い、サングラスを鼻に引っ掛けて、散歩。
 ふだんは青い麦畑が、茶色く見える!


4月12
「おでん」をつくろう!と思いつく。
 大根。じゃがいも(皮付き)。こんにゃく。さつま揚げ。ちくわぶ。こんにゃく。こんにゃく。はんぺん。結び昆布。トマト。
 こんにゃくを2つつなげて書いたのは誤植ではない。いっぱい入れる、という意味である。今宵のいちばん人気はトマトだった。大きなトマトを分けあってふうふう食べる。とろけそうでいて、とろけずぎりぎり持ちこたるような風情だ。
 むかごがあったから、むかご入りの茶飯を炊く。
 これでしばらく「おでん」とはお別れ。つぎにうちで食べるのは、10月だろうか。そのときまで、元気でいられますように。


414
 2日前にやってきた、長女梓とふたりで野菜の植え付け。
 このところ、ひとりでせっせと草とりをしてきたが、きょうはふたりしごと。昨日、苗屋で買ってきた茄子、ミニトマト、きゅうり、ズッキーニ、オクラ、にらの苗、生姜のをいそいそと植える。
 朝の庭しごとは30分までと決めている。そうでないと、つい夢中になって1時間2時間働いてしまう。わたしはイメージで30分と思っているけれど、梓はタイマーをかけている。
 りりりり、という音で、幕が下りる。

「なんだ、これは!」
 庭の芝の上にまあるい跡をみつける。直径30センチほど、芝が焦げているのである。
「大変、昨夜ここにUFOがきて着陸したのだわ!」
「お母ぴーが、昨夜、焼肉の網を置いた跡です!」
(こんなところに熱い網を置くなんて、じつに不用意であった)

 そうだった、そうだった。
 昨日の夕方、庭ごはんをしたのだったなあ。いい肉をちょっぴりと、そら豆(さやごと)、庭で採れたきゃべつを焼いた。裏庭に出たたけのこの掘りたてを、茹でずに焼いたのは、美味しかったなあ。
 たけのこを2時間もかけて茹でるっていうのは、時間とともにアクが出て、硬くなるからなんだろうか。


4月17
 雑誌社からインタビューを受ける。
「子育てのなか、いちばんにねがったことはなんですか?」
 そう聞かれ、子育てはかなり昔のことになったのだけれど……と思ったとき、脳の彼方からぴゅーっと走ってきたものがあった。
 走ってきたのはコビトたち。
 5人? いや、8人ほどはいたようだ。
 8人は、早口で歌うように云う。

「ヒトノヨロコビヲ ヨロコブ」
「ヒトノヨロコビヲ ヨロコブ」
「ヒトノヨロコビヲ ヨロコブ」
「ヒトノヨロコビヲ ヨロコブ」
「ヒトノヨロコビヲ ヨロコブ」
「ヒトノヨロコビヲ ヨロコブ」
「ヒトノヨロコビヲ ヨロコブ」
「ヒトノヨロコビヲ ヨロコブ」

 コビトたちに云われて気がついた。
 ともに暮らした娘たちにも、縁ある子どもたちにも、わたしは他者のよろこびを、よろこぶことのできるひとになってほしいと希ってきた。
 それは自らにも望んだことだったが、わたしの実現は覚束(おぼつか)なく、ところどころ妬みのような、いじけのようなものが混ざっているのに対して、わたしのまわりに存在する子らは、皆、ヒトノヨロコビヲ ヨロコブヒトだ。
 そのことに気がついて、呆然としている。

 わたしのまわりに存在する子らに伝えよう。
「ヒトノヨロコビヲ ヨロコブコトノデキルアナタニハ ヨロコビガ オトズレマスヨ」

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むかご入り茶飯。
このたびは煎茶で炊きましたが、
ほうじ茶でもきっとよいだろうなあと
思います。

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4/17 (月) 発売しました。

thebase「ふみ虫市場」で購入できます。
定価=本体1500円+税+送料180円(ふみ虫舎番頭) 
https://fumimushi.thebase.in/

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\うんたったラジオ16/
あずさの旅。取っ手をつけて右手に鳥取県、左手に島根県を持つ。
職人さん、親の方。ひとは好きに生きていい、など。

▼職人さんの汗と夢 https://shokuninsan.jp/

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2023年4月11日 (火)

よみがえった証

4月5日
 夜仕事をしていたら……、ぷーんという羽音。
 奴だ。
 蚊取り線香を焚くか。いや、気がつかなかったことにしよう……。
 まだ4月だもの。

 やや! 刺された?
 足の甲が、かゆい。

 

4月6日
 3日間ほど、ちょっとわたしはおかしかった。
 必要最低限の仕事としごと(仕事を職業の意味で、しごとを家事の意味で、わたしは使い分けることにしている)だけして、蒲団にくるまっていた。
「やる気が出ない」「ひとと会いたくない」という症状が出てきたときには、とうとうわたしにも病気という経験が訪れたのかもしれない、という気がして、夫に向かって「わたし、長くないかもしれない」なんて云ったりした。


4月7日
「睡眠不足だと思うよ。眠ったら?」
 と夫に云われたとき、そうか、と思った。
 眠ろうっと。
 そうして眠りに眠った。

 きょうは4日目。
 そろそろ「やる気」を取りもどしたいと……、蒲団にくるまりながらTBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」の傑作選(YouTube)を聴く。
 安住紳一郎というひとを、わたしは好きなのだ。
 夫の他に好きな男はけっこういるが、一緒に暮らしたり旅したりするのに、夫が最適、というかちょうどいい、と思っている。
「だけどさ、安住紳一郎アナウンサーだけは、3日間くらい一緒に暮らしてみたい、と思うほど好きなのよ」
 と夫にも打ち明けたことがある。

「日曜天国」(毎週日曜日、午前10時から2時間)をリアルタイムで聴けることもあるが、聴けないことも少なくなく、この春19年めを迎えたことを知って、大事な電波をずいぶんずいぶんつかまえ損ねてきたことを、わたしはしょんぼり受けとめていた。
 蒲団のなかでスマートフォンに「日曜天国」と打ちこんでみたら、YouTubeの「傑作選」に導かれた。
 気がつけば3時間ほど、わたしは笑っていた。
 大声で、気がちがったほど笑って、笑って、起き上がったとき、すっかりもとのわたしにもどっていた。
 睡眠も必要だったかもしれないが、それよりもっと必要だったのは笑いかもしれない、と思った。

「日曜天国・傑作選」のなかで、安住さんが「卒業アルバムのページを切りとって運び、みんなで写真を確かめた……」という番組宛てのメールを読み上げたあと、「卒業アルバムのページを切りとるっていうのはなあ。アルバムごと運んでほしかったなあ。アルバムを切りとる、ぼくにはそれはできないなあ」としみじみ云うのだった。
 わたしは思う。
「そうか、それでは1日も一緒には暮らしてもらえないなあ」
 卒業証書、卒業アルバムの類に、まったく無頓着なわたしだからだ。


4月8日
 ちらし寿司をつくる。
 よみがえったな、わたし。

 夕方30分間庭の草とりをする。
 よみがえったな、わたし。

 三女栞がすすめる韓国ドラマ「その年、私たちは」を観はじめる。
 よみがえったな、わたし。

 よみがえった証として、家計簿をつける。

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蒲団に包まっていた日、
新刊『あさってより先は、見ない』
(清流出版)の「見本」10冊が届きました。

4月17日 発売です。
ホームページにてご案内します。

よろしくお願い申し上げます。 

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2023年4月 4日 (火)

ばっかり!

3月28
 出先で買いものをして、支払いをしようとしたときのことだ。
 手元の機器にクレジットカードを差しこんで待っていると、機器の画面に「不可」の文字が見えた。
 レジの前の男性が困り顔で「カードが使えません」と云い、こちらを見ている。
「あらま」
 わたしに許された限度額を超えて買いものをしようとしているわけでもなく、前の月のクレジットの引き落としができなかったわけでもなく……「不可」とはいったいどういうことだろうか。財布のなかの紙幣、小銭は心細かったが、それでもなんとか間に合った。


3月29
 クレジットカード会社のオンラインサービスの「チャットで相談」を使って問い合わせると、「調べて3日以内にお電話します」という返信。

 夕方カード会社から電話がかかる。
「不正利用の疑いがあり、クレジットカードの利用を一時停止させていただいております」
 電話の向こうのオペレーターから尋ねられる3月20日以降のクレジットカード決済について、「確かに使いました」「心当たりがありません」と答えながら、だんだんしどろもどろになってゆく。自分でもはっきりしない項目が出てきたのだ。
 経済に対する気の緩みを突きつけられるようで、恥ずかしくなる。
 1週間から10日後、あたらしいカード(番号が変わるそうだ)が届くとのこと。一応ほっとする。
 災難にはちがいないが、自分にとって必要な見直しを促されている。と、受けとめることとしよう。


3月30
 昨年の10月ごろ、庭にのらぼう菜のタネを蒔いた。
 発芽は思ったよりも早かった。うれしく眺めるだけで、間引きをしなかったら、地面にみっちりのらぼう菜ができた。
(こうなったらどんどん食べよう)
 のらぼう菜に追いかけられて、冬のあいだ、とうとう青菜を買わなかった。
 2月、夫の従兄弟のヨシノリさんがやってきて、「茎は肉巻きにして食べるといいよ」とおしえてくれる。
 3月に入ると、のらぼう菜は上へ上へとのびて、黄色い花を咲かせた。
(のらぼう菜のジャングルだな)
 花も一緒に毎日毎日食べる。
 茎は驚くほど太く、そうして硬くなり、おすそ分けも、肉巻きにして食べることもできなくなった。茎からちぎりとった葉を、とにかく炒める。

 20代のころおぼえた「青菜の炒めもの」はわたしの台所の財産だ。
『中国菜 前田侑子の料理ノート』(婦人之友社)を見て、おぼえた。大好きな料理書である。奥付を見ると、初版は1988年。この当時、わたしは婦人之友社にいて、この本が書籍部の先輩たちの手で世に送り出される様子を見ていた。

・青菜1わを食べやすいように切る。
・鍋にサラダ油(大さじ2)を熱し、青菜と塩(小さじ1)を入れて炒める。
・三分どおり炒めたら、ここに酒(大さじ1)と熱湯(1カップ)を加えて混ぜる。沸騰
 したら、水分を切る。

 青菜はもちろん、きゃべつやレタスほか、なんでもこのやり方で炒めてきた(これまで、幾度も紹介していると思う)。
 炒めにはちがいないけれど、塩を少なめにして、ドレッシングをかけて食べたり、せん切りのきゃべつ(わたしの好物!)と合わせたりすることもある。

 ともかく、いまわたしは、のらぼう菜ばっかり食べている。


4月1日
 4月がはじまる。
 新年度がはじまる。

 この季節は晴れがましくもあるけれど、こころがひりひりする。
「新」というのには、そういう一面がある。

「ひりひり」をひとに伝えようとすると、新年度を歩きはじめる「わくわく」を損なうかもしれない。
 自分自身に伝えても、同じだ。
 それで、わざと声に出して云う。
「ああ、なんていい季節。うれしい、たのしい」 

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ほら、こんなにのびました。

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