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2023年8月の投稿

2023年8月29日 (火)

ふわふわ歩く

8月23
 東京立川市で開催の「エルマーのぼうけん展」へ。
 なつかしの『エルマーのぼうけん』『エルマーとりゅう』『エルマーと16ぴきのりゅう』(ルース・スタイルス・ガネット作/ルース・クリスマン・ガネット絵/わたなべしげお訳)の世界にくるまれたい思いで、ふわふわ出かける。

 本展覧会が日本初であること、絵を描いたのが作者の父親の再婚相手であること(つまり義母)、家族や親しい友人と話しあってものがたりを作り上げたこと、訳者のなみなみならぬ熱意によって「エルマーシリーズ」が日本に紹介されたことを知る。
 この展覧会において、ものがたりのはじまり、あるつめたい雨の日、エルマーが連れ帰った「としとったのらねこ」を嫌った「かあさん」へのわたしの見方が変わったのも愉快だった。
 だってね、「かあさん」ときたら、エルマーに向かってこう云ったのだから。

「まさかおまえは、このわたしが、あんなのらねこに、ミルクをめぐんでやるなんてかんがえていないでしょうね。とんでもない! 一(いち)ど、やどなしののらねこにたべものをやれば、まちじゅうののらねこにたべものをやるようなことになっちまうんだからね。そんなこと、わたしは、ごめんだよ!」
                                   (『エルマーのぼうけん』所収)

 これを初めて読んだとき、わたしが何歳だったかは忘れたが、こう思ったのだった。
「かあさん!(ババア!と毒づいたかもしれません。ええ、きっとそうです)ものの云い方には気をつけなよ。子どもはずーーーーっとおぼえていて、『かあさん』はそういうひとだとがっかりしながら思い返すことになる」

 ところがところが、このたび、シリーズ2冊目の終盤、「かあさん」がこう云うのを読んだのだ。エルマーがりゅうの子どもを助けて、冒険しながら家に帰ってきた場面。……見逃していた。

「わたしは、あんなにねこがきらいだったのに、どうしても、このねこだけは、おいだせなかったの。エルマー、おまえがいなくなったつぎの日、このねこが、またきたんですよ。そこで、おかあさんは、かんがえたの。『エルマーは、このねこをかわいがっていたわ。だから、こんどは、わたしが、だいじにしてあげなくちゃね』って。そうしたらどうでしょう。たった、二(に)しゅうかんのうちに、おかあさんは、このねこが、だいすきになってしまったのよ。」
                                   (『エルマーとりゅう』所収)

 こんどはわたしがあやまる番だった。
「『かあさん』、ごめんなさい。あなたのことを少しもわかっていませんでした。……許してください」

 ところで展覧会のはなしだが、130点もの絵本原画のうつくしかったこと! もう一度見たくなっちゃったなあ。


8月27
 友人が長年つづけている「市民オペラ」の活動を、追いかけている。
 1年に一度か二度、新宿文化センターや文京区シビックホールでオペラが上演され、友人は集団のなかで演じ、うたう。小柄ながら存在感のあるスーテーキ(ステーキではありません。『素敵』というコトバ をうたっているのですうーーー)な先輩は、舞台の上でなんだか目立つ。
 この日は「マクベス」(新宿文化センター)。
 国王の座をわがものにするため、殺戮をくり返したマクベス夫妻が、最終章で、それまでの狂気をどろどろと溶かしながらつぶやく情けない歌がよかった。

 極彩色の新宿歌舞伎町の馴染みの店で、疲れきってはいるが光を放つ友人と乾杯。
 この佇まい、後輩たるわたしをビシバシ叩く。
「どんなことがあっても好きなことは、つづけないと」


8月28
 歌舞伎町で一泊。
 東京で用事があるとき、できるだけ「泊まる」ことにしている。
 長女と二女の家に泊めてもらうこともあるけれど、ホテルにひょいと泊まるのも好き。泊まった翌日、東京をふわふわ歩くのだ。
 朝、乃木坂に出て、国立新美術館で「LIGHT テート美術館展」を観る。
 たくさんの作品群のなかにあって、ターナー、モネは、すぐわかる。

 乃木神社に寄り、赤坂まで歩く。
 TBS本社前(赤坂サカス)の巨大看板を見上げる。番組開始から19年目にして初めて実現したTBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」の巨大看板。これを30秒見上げたのち、写真を撮る、のがリスナーの約束だから、そうする。
 ——あのオバサンも変なことしている。「日10」(二チテン/「安住紳一郎の日曜天国」略称)のリスナーだな。あんな怪しいリスナーのついている番組を潰したら大変なことになる——
 とTBSの「編成」に思ってもらう目的があるから、熱心に怪しく見上げる。

 30秒はけっこう長いです。

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\うんたったラジオ24/
夏を好きになる! 
TBS日曜劇場「VIVANT」にハマっています。映画「バービー」を観て思い出したけど。
ーー俺が芋食って、お前の尻からプッと屁が出るか?ーー(男はつらいよ より)。
世間にすり寄るための思い込み、など。

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まっすぐに生きるひとは、ぶつかりやすく、傷つきやすいけれど、
ぶつかることで魅力を増してゆくのです。
大事なことにぶつかり損なうこともないんだなあ……。

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山本ふみこ新刊『あさってより先は、見ない。』
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2023年8月22日 (火)

夏の石狩鍋

8月16
 昼ごはんに、夫がそうめんをつくってくれた。
 きゅうり、オクラ、トマトのたっぷり入った酸味の効いた冷たいつゆ麺である。
 これにキムチを添えて食べるのが、今夏の気に入りだ。
「そうだ、茗荷も入れよう」
 そう云って、夫が裏庭に行き、青ざめた顔でもどってきた。
「こんなこと初めてだ。……初めて見た」
「初めて?」
「茗荷がすっかり枯れてるんだ」
 毎年8月になると、いやというほど茗荷が採れて、採れて、困るほどなのだ。刻んで麺類の薬味にしたり、サラダに加えたりするほか、甘酢漬けにしてひとに配ったりしていたのだった。
 それでこの日は、茗荷なしのそうめんをすする。

 猛暑日(35度以上)のつづいたことし、茗荷ばかりでなく、おかしなことがあった。まず、セミ。鳴き方がちがう。鳴き声は聞こえているけれど、音量が小さい。ということは、セミの数が少ないのかもしれない。
 そんなとき気温が35度を越えるとセミは鳴かない、という記事をみつけた。午前中にさかんに鳴き、午後コーラスの勢いが落ちるのはそういうわけだったのだな。ことしは午前中すでに35度を越える日が多かったから、セミは鳴きたくても鳴けなかったのだな。
 畑のブルーベリーの実も、困惑している。
 なんとなく元気がなく、収穫量も昨年までの半分くらい。


8月19
 ヒトの代表のように自分のことを書くのは気がひけるが、それでも書いておこう。この夏のヒトの記録として。

 土間の隅にわたしの机はあり、そこには冷房装置がない。扇風機をびゅんびゅんまわし、腕を丸出しにした上、手ぬぐいを頭に巻いたりしながらパソコンに向かっている。
 ほとんど毎日「締め切り」やら「約束」があって、ぱちぱちぱちぱちタイピングしている。
 ものすごく時間がかかるのである。夏がやってくる前の能率と比べると半分の速度と、出来高だ。
 どういうことになるかというと、深夜までかかってやっと予定の仕事を納めることができるという具合。あるいは早起きして、ぱちぱちして、間に合わせることもある。ときどき、深夜まで仕事をしているのか、早起きしているのか、どっちだったかわからなくなる。
 パソコン仕事ばかりではないから、紙の仕事は冷房装置のついた部屋に運びこんでする。しかし、これまた能率はよくない。
 めんどうなことに、わたしは冷房装置で冷やされた環境も、得意ではないらしいのだ。体内に溜まった熱が冷やされて、ぴりぴりと体がふるえる。そこまで冷えたくないという信号のようにぴりぴりと。
 耳の穴から、ピンセットで冷えた紐状のものをひっぱり出すところを想像したりする。そんな想像をしている間に、さっさと仕事をやっちゃいなさいよというはなしです。


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 夜、ふと鍋ものが食べたくなるのは不思議だ。
 きょうは石狩鍋がどうしても食べたくなり、つくって食べた。
 鮭、きゃべつ、じゃがいも、きのこ類をたっぷり入れて、牛乳、味噌で味つけをする。さいごにバタをちょんと落とす。
 翌日、うどんを入れて昼に食べるのがたのしみ。

 このほか今夏、もつ鍋、しゃぶしゃぶ、チゲもつくって食べた。
 食卓でかく汗は、なかなかいい。

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8月5日、稲の花が咲きはじめる。
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8月22日、稲穂がたれてくる。

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2023年8月15日 (火)

隠岐あらめ

8月13
 提灯を持って、お墓にご先祖さま方を迎えに行く。 
 ことしは、夫とわたしふたりの迎え盆である。
「それでは、まいりましょう。お線香の煙、提灯をしるしとして、ついてきてくださいましねー」
 とお墓で、叫ぶ。
 この世の添乗員よろしく、はきはきと。
 帰り道、もうすぐ家に到着というところで、隣家のトモサン(80歳代男性)と会う。
「トモサーン」
「おお、これはこれは」
 トモサンは昨秋、熊谷市内のサービス付き高齢者住宅に入居したが、週に幾度か車を運転してもどってきて、草刈り、庭仕事をしている。ひとり暮らしが長くなり、なんでもひとりでこなせるトモさんだが、あたらしい棲み方についてもひとりで考えて決めたのだ。
 いまでもこうして、会えば立ち話をする。
 ともに食卓を囲んだことはないし、ならんでどこかに出かけたこともない。思い返せばほんとうに立ち話だけの間柄なのだが、わたしは、立ち話友だちというのは、なかなかいいものだと思っている。

「暑いですね、ことしの夏は。あら、お顔の色がいいですね」
「だめだねー。なんだかぼーっとしてね。頭が働かんのよ」
「トモさんは、頭を働かせつづけてきたからそう云われますけど、トモさんがぼーっとするというくらいの調子で、わたしは日常生活をやってるんです」
「あはは、うまいこと云う。そうだ、このあいだいただいたパン、おいしかったですよ」
「まあ、うれしい」

 立ち話のトモさんの手にも、提灯がある。
 ご先祖さま方を家にお招きする。それでも、トモさんはすぐとまたいまの家に戻るから、ご先祖さま方はどうなるのだろう。家に残ってのんびり過ごす魂あり、トモさんにくっついて高齢者住宅を見学する魂もあり、というところだろう。

 わたしの実家にはお盆の風習がなかった。
 盆棚も、きゅうりの馬・茄子の牛も、わたしは熊谷の家で初めて見たのである。若き日の夫が「ぼくには信仰はないけれど、お盆信仰だけはあるかな」と云って笑ったのが、印象深かった。おもしろいな、と思った。
 おもしろいと云えば、母のやり方もそうだ。
 お盆というと、必ずおはぎをつくってくれたが、あとはすまして、ほんとうに何もしなかった。それぞれのやり方でいいのだ、と思う。そんな有りようを母から受けとっていたことを、この夏のお迎え盆のなかで気がついて、「おかあちゃま」と母を呼ぶ。
「おかあちゃまの、そういうところ、好きです」
 机の前の「こころを寄せる場所」のコーナーの前で、「わたし所縁の皆さんも、ご遠慮なくお遊びにおいでください。お待ちしています」と、宣言。父と弟の好きなお酒を盃に注いで、置く。おかずも。
 ふと、お赤飯を炊くことを思いつく。
 辛党のわたしのつくるおはぎより、よさそうだ。もち米がなかったから、うるち米で炊く。

「皆さん、どうかお好きなように。のんびりお過ごしくださいな」


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 長女の梓から、もらった「隠岐あらめ」。
 彼女が仕事で島根県に通いはじめて、何年になるのだろうか。あらめ、同県の隠岐島(おきのしま)産である。
 黒黒とした、ごつくてつやのあるあなたは……。
「あらめって、何」
 わからないことは、食べもののことでも、法律、SNS系統のことでも、何でも聞くことにしている。「禁・知ったかぶり」が信条。
「島根特産の、海藻。歯ごたえはあるけど、やわらかくておいしいのよ」

 10分間水に浸してから水煮する。
 茹で汁を捨てて、よくよく洗う。
 油で炒め、油揚げ、砂糖、しょうゆほかを加え、水分がなくなるまで煮る。
 皿にもりつけ、胡麻をふるといっそうおいしく召し上がれます。

 袋に記されているとおりに、調理をすすめる。
 そうしてそれなりの煮ものができたけれど……、たとえばこれを隠岐島の母ちゃんたちが食べたら、どう評価されるだろう。
 いつか島根に出かけて、本場の隠岐あらめの煮ものを食べよう。日本じゅうのおいしいもんにこだわって、あれやこれやつくってみよう。
 この夏に生まれた、わたしの目標であります。

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2023年8月 8日 (火)

似ているが、ちがう

8月2日
 720日、田んぼから水を抜く。
 このことのためにわたしは少しも動いていないが、それでも「水を抜いた、抜いた」と胸のなかでつぶやいている。
 この地に越してきて、初めて知ることはいろいろあったけれど、田んぼと水のつながりほど驚かされたことはない。

 いまから思うと、あれがちちが元気で田畑の仕事をしたさいごの年だった。
「ふんちゃん、ふんちゃん」
 と、ちちが手招きしてわたしを呼んだ。
 田植えが終わった、水鏡の田を前にして、「ふんちゃん、ハルヒコ(夫である)は利口だったわ」と云うのである。大発見をこっそり打ち明けるという佇まいで、ちちは大真面目だ。
「お父ちゃんは、ハルヒコサンは利口でないと、思っていたの?」
 そう尋ねると、本気の度合いを深めて、大きく頷いた。
「せっかく入った会社をあっさり辞めたり、その後とつぜん映画をつくりはじめたりして、ぜんぜんわけがわからなかった。バカだと思っていたんよ」
「あら、そうだったの。それは大変」
「ところがここへきて、様子を見ていたら、田んぼの水のことをよく理解しているのがわかってね。見直したんよ」
 農家の長男として生まれ、若き日には養蚕業も営む一方、会社勤めをして家を支えたちちからは、好きなことをして生きてきた息子が、バカに見えていたのだな。……バカかもしれない。しかしどんな道にだってある厳しさ、豊かさ、おもしろみ、スリルは、歩いた者だけの知るところということになるだろう。
 このときのちちの感慨深いことばから、わたしは田んぼと水の、抜き差しならぬつながりを嗅ぎとったのであった。

 ちちはこの年の後半から、だんだんと記憶がまばらになってゆき、田畑の仕事ができなくなった。夫は、そのあとを引き継いで田畑のこと、映画づくりをつづけている。
「水のことはどうやっておぼえたの?」
 そう夫に訊いたことがある。
「田んぼのまわりの水路の堰(せき)を上げ下げするのを、子どものころから見ていたからね。なんとなくだよ、なんとなく」

 さてところで、ことし720日の水抜きのあと、田んぼは暑さのなか、どんどん干上がっていった。土はひび割れ、痛みに耐えているようにさえ見えてくる。
「だいじょうぶなの?」
 田んぼに向かって声をかけずにはいられなかった。
 この時期の水抜きを「中干し」と呼び、稲の根をつよくし、土の養分を整える作用がある。
 12日目のきょう、中干しが終わった。


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 田んぼに水が入った。
 夫も、田んぼ自身もほっとしているように見える。
 久しぶりにカエルたちも大合唱。
「うれしいよー。うれしいじゃーん」
 と歌っている。


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 夕方初めて秋の虫の声を聞く。
 ああ、秋が近づいてきた。


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 酷いと云いたくなるような暑さ、台風被害のニュースがつづく。
 気をつけなくてはいけないのは、「わたしたち」というとらえ方だ。
 つい「わたしたち」とやって、何にでも共通項を求めたり、社会現象化させたりしがちだが、あなたとわたしに起きている事ごとは、似ていても、ほんとうはちがっている。
 他者のこと、自らのことを、それぞれ気をつけて目を凝らさないと。
 ひとりひとり、自分を労(いた)わらないと。

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12日間「中干し」した田んぼ。
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8月3日、田んぼに水を入れた。

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\うんたったラジオ23/

お便りはどんな方法でもどうぞ。
苦手な人とどう接する? 北海道・帯広に行ってきました。こもり熱、など。

◆十勝が舞台のRun伴Stories(インタビュー)
https://runtomo.org/stories/interview/aiko-nagasaka
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2023年8月 1日 (火)

こ・と・さ・ら・に

7月25
 北海道帯広(おびひろ)に、母娘ほども年の離れた若い友人がある。
 ユウカリさん(仮名)は2年前まで、同じチームで仕事をした仲間。同じ年、彼女の身に起きたことを書こうとすると、そこから「悲しみ」だけが浮上する。浮上させるのは、いまの世がつくるムードのようなものだ。これが、現代の貧しさをあらわしているとわたしは思う。
 いまの世から生まれた、「悲しみ、すなわち惨め」というとらえ方はしかし、はびこって久しい。誰も、悲しみの値打ち、そこから生まれる経験の深み、新たなる境地への期待を持たなくなっているかのようだ。
 大切なひとを喪(うしな)う経験ののち、郷里の帯広にもどったあとも、ユウカリさんには、さまざまな試練が降りかかった。そのことをひとつひとつたどりたいとは思わなかったが、いつか、帯広に出かけて行って、ユウカリさんの顔を見たい、ならんで歩きたいと希っていた。

 それがかなった。
 帯広空港に到着。
 熱帯の関東からのがれて、帯広に降り立つ。と予想していたが、それは見事に打ち砕かれた。帯広は、驚くほど暑い。
 夜、バイクで帯広入りしたもうひとりの仲間たるブチョウ!(仮名)と合流。


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 いちにち、ブチョウ!の運転で、帯広をまわる。
 カラマツの並木がそこここに直立している。この並木こそが、十勝平野を守る防風林である。
「日高山脈を越えて乾燥したつよい風が、十勝平野に吹きつけます。防風林がないと、種子も苗も吹き飛ばされてしまうんです」
 と、ユウカリさん。
「小動物の住みかにもなっているそうですよ。エゾリスとか……」
 と、ブチョウ!。

 じゃがいも畑、とうもろこし畑、長芋畑。いずれも広大だ。そうしてカラマツの並木。この風景がくり返されて、わたしには、同じ場所をぐるぐるまわっているように思える。

 六花の森(旭川、富良野、十勝を結ぶ街道の南端に位置する)で、わたしが撮影したユウカリさんの写真。
 あとから見たら、驚くほどうつくしかった。「悲しみ」を知るひとの情愛を思う。


729
 帯広からの旅から戻って、ぼんやりしている。

 年下の編集者(30歳代後半)アロハさん(仮名)から、メールが届いていたのを思いだし、 PCに向かう。
「ふみこさんには、苦手なひとってありますか? あったとして、そういうひとと仕事をすることになったら、どんなことに心がけますか?」
「いま、でんわで話せる?」
 と、やる(タイピング)。
「ふみこさんがでんわ? いいんですか?」
(わたしのでんわ嫌いは、ここまで浸透しているのね、ごめんごめん)

——ここからでんわ。
「もしもし、何かあった?」
「わたし、後輩の、とくに女性の後輩と、どうもうまくコミュニケーションがとれないんです。相手がわたしの質問に答えない、訊いてるのはそれじゃない、とひとりでカリカリしたり。そのうち『あたり』が強くなってしまうこともあって、ますますうまくゆかなくなるんです」
「そういうことをくり返しているんじゃない?」
「そうです、そうです。……どうしてわかるのかな」
「わたしも、そうだったからね。課題をクリアしないと、いつまでもいつまでも同じ課題が出されつづけるようになっているみたい」
「似たことが毎回毎回起こっています!」
「苦手な相手、うまくゆかない相手には、ことさらにやさしいことばと、ていねいな対応を。こ・と・さ・ら・に」
「……」
「相手がアロハさんの質問(◯◯)に答えてくれないときも、苛立ちを抑えて『ありがとうございます、そのことは了解しました。では、◯◯についてはどうでしょう』と伝えてみたらどうかな。ていねいとありがとうが、たーくさん必要」


7月30
 アロハさんからメール。
「すべて解決。ふみこさん、どうもありがとうございました。自分に足りなかったのは、相手への感謝と労いと、共感でした。これで課題ひとつ『クリア』できたのだったら、いいのだけれど」

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熊谷に戻ったら、畑でソルゴー(緑肥)が出迎えてくれました。
秋になったら刈り取り、畑に有機肥料としてすき込みます。

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6月にタネをまいてからあっという間に丈高く育ち、
夏風に揺れるソルゴー(いまは1.5mくらいかな)。
不思議な光景です。

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うんたったラジオ Vol.22 

お便りが来ました。汗疹。
BOOKMARKET2023。「晴れ男なのに、雨が降る……」。
ナイスガイ編集部と気持ちをそろえたい、など。

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▼気になって仕方がないナイスガイ編集部
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