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2023年9月の投稿

2023年9月26日 (火)

最後尾車両に乗ること

9月20
 出先で山盛りのきのこに呼びとめられる。
 うれしくなっちゃうなあ。
 ぶなしめじ。エリンギ。エノキダケ。マイタケ。……。

 帰宅して、大ざるにきのこたちをならべて飾る。展覧会風。することをすっかりすませた深夜、きのこたちを袋分けにする作業にかかる。ぶなしめじはぶなしめじの袋、えりんぎはえりんぎの袋という分け方でなく、ミックス(混合)でゆくことにした。ミックス4袋。ひと袋残して、冷凍庫にしまう。ひと袋は、明日、鍋にするのです。
 大金持ちというのになったとしたって、こんなに豊かな感覚は得られないだろうなあ、としみじみ思う。大金を得たわたしはこんがらかって、お金の山と睨みあうだろう。きのこたちとちがって、袋分けして冷凍することもできない(できないこともないだろうが、したくない)。
 妄想の果てに「しまった!」と叫ぶわたし。
 近所のアヤちゃんに、きのこひと袋あげるんだったなあ。


9月22
「曼珠沙華を見に行かない?」
「どこで見るの?」
「埼玉県内よ。権現堂というところ」

 夏の終わりに誘われたとき、埼玉県なら近いじゃないか、よし、行こうと思って、「行く行く」と返事をした。

 その日が明日に迫った。
 夕方、やっと行路を確かめる(友だちが、すっかり時間を調べてくれた)と、7時48分発熊谷駅とある(書きつけたのは、わたしである)。
 思ったよりも早出であることに驚きながら、つづきを見る。

 大宮着  東武アーバンパークライン 柏行きに乗る。
 春日部着 東武スカイツリーライン 南栗橋行きに乗る。
 幸手着  西口を出て右手のロータリーで待ち合わせる。928分にはバスが行ってしまう→ 遅れたらタクシーに乗ること。

 明日は冒険だ、と自らに云い聞かせ、就寝。


9月23
 冒険、という予想は当たっていた。
 春日部駅に到着したところまでは順調だったが、東武スカイツリーラインというのが曲者(くせもの)であった。
「南栗橋方面」と案内板のあるホームに停まっていた電車に乗りこみ、ほっとひと息。ところが、車内の路線図表を眺めるうち不安になってきた。この電車にこのまま乗っていても幸手には行かないばかりか、館林に向かうのじゃないか……という疑念が湧いてきたのだ。
 姫宮といううつくしい名前の駅で降り、ホームに半身乗り出していた車掌さんに訴える。
「幸手に行きたいのですけれど」
「ともかくつぎの動物公園駅で降りてください。乗り換えです」

 動物公園駅で降りると、車掌さんの交代があり、わたしを救ってくださった車掌さんが鞄を下げて電車から降りてきた。
「このホームの反対側、ここ(指差す)にくる電車に乗ってください、そうすれば幸手に行けます」
「ここですね。どうもありがとうございます」
「どこから乗りましたか?」
「春日部です」
「ああ、それなら、さっきの電車の向かい側にくる電車に乗ればよかったんですよ。気をつけてくださいね」

 東武スカイツリーラインというのはちょっと複雑で、そも伊勢崎線なのだけれども、日光線も乗り入れているということのようだ。それぞれの線にほかにも複数の乗り入れがあるから、路線図には中目黒(東京)なんていう駅名まで登場している。
 ひゃー。

 初めての電車に乗るとき、あるいは不案内なとき、わたしは最後尾車両に乗ることにしている。不安なとき降りて、電車の最後尾に乗っている車掌さんに相談できるからだ。
 このたびもまた、車掌さんに救われた。
 どうもありがとう、ありがとうございました。

 曼珠沙華。
 咲きはじめでした。咲きはじめの風情が、好きです。
 黄色い曼珠沙華を初めて見ました。


924
 稲刈りのはじまりである。
 本日6反のうちの3分の1を刈り終えた。
 夫とふたりの作業。コンバインに乗る夫、手刈りと稲起こし(コンバインが刈りやすいように起こす)をするわたし。

 空が青い。

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コンバインのうしろをついて、
手刈りと、稲起こしをわたしはします。
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田んぼに持ってゆく、わたしの
稲刈りセットです。
 水筒(水にシークワーサーを溶かしています)/
 稲を刈る鎌/軍手/虫除け剤/虫刺さされ薬/日焼け止め

来週のブログで、「稲刈り2023 記」を。

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うんたったラジオ Vol.25
悩めるあずさに「たゆたゆ」のすすめ。
重なり合う役割。しごととして全部やる。
VIVANT終わってしまった……など。
◆『父さんは草の職人』職人さんの汗と夢 刊 
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2023年9月19日 (火)

また、おしゃべりを

9月12
 三女の栞がカナダのバンクーバーに暮らすようになって、どのくらいたつのだろう。
 英語と韓国語だけをあやつって日日を暮らしていることがまず、わたしの前に聳(そび)える。シェアハウスに住んでいることも、仕事のことも、どんな感じなのかと想像するが、結局祈るしかないという境地である。
 これは、たとえ、近所に住んでいたって同じ親ごころだという気もするが。

 バンクーバーと日本とのあいだには、時差が1617時間ほどもある。数字に弱いわたしは、ああ、いま向こうは午後◯時ね、と素早く計算できないから、台所の振り子時計を、バンクーバー時間にしてある。
 周囲に、電話嫌いで有名なわたしだが、栞とだけはけっこう電話で話す。
「栞とだけはけっこう電話で話す」は、わたしにとって「仕事」である。
 たまには日本語で吐きだしたいこともある、という気持ちがわかるから、この役目を果たそう、ビジネスライクに果たそう、と思った。
 〆切が……、とか、けっこう忙しいのよ、とは決して云わずに電話を受ける。仕事だから。
 そもそも、わたしは、これまで職業のみならず、たとえば交友関係も、家のしごとも、遊びも、もっと云えば夫との日日も、子育ても、みんなみんな「仕事」としてやってきた。

 愛情あってこそ、なんて云っていると……。
 オンとオフを切り替えて、なんてことをしようとすると……。

 私の場合、たちまち、ことがぼやける。
 ぼやけるくらいならまだしもだが、果ては感情的になる。感情的になれば、暴れたりするのがわたしだ。これを読んでくださっている皆さんも思い当ることだろうけれども、日日することがたくさんあるでしょう? いちいち暴れていられないのですよ。ね。
 仕事だと思えば、ここまではやろうと決めたことを(なんとか)やり遂げられるし、ビジネスライクを胸に灯すだけで、感情的になりにくい。

 何のはなしだったか。
 そうだ、三女の電話は可能な限り出て、しゃべる、聞く。これは、わたしの大切な仕事だ。
 電話で栞がバンクーバーからオーストリアの友だちのもとに行くことになって、その2週間のあいだには、4日間ほどイタリアにひとりで旅をすると云う。
「だいじょうぶなの?」なんて不安な声を出してはいけないとわかっているから、いまにも裏返りそうな声で「いい旅をね」と云うわたし。


9月18
 16日、オガノさん逝く。

 夫人が家まできて知らせてくださった。
 この1年間、自宅を中心に、手厚い看病ができたから悔いはない、と云って涙ぐんでおられる。
 
 この家のガス機器一切を手配してくださったオガノさんは、熊谷の家に越してきてからの交友のシンボルみたいなひとである。
 毎月1回、ガスの検針(この地域はみんな、プロパンガスであります)にやって来ると、わたしは庭に飛びだして行って、ぺちゃくちゃしゃべるのだ。オガノさんは、にこやかに聞き役をする。
 ときどき、秩父から「すまんじゅう」を買ってきてくださったりする。
「並んで、買うのですよ」
「まあまあ、なんとありがたい」
「できましたら、蒸し器を使って、蒸して食べてください」
「はい。そういたします」

 そしてオガノさんはおしゃれなひとだ。
 検針のときだって、作業着は身につけておらず、ぱりっとしたチェックのシャツ、ダンガリーのカッターシャツにチノパンというようなスタイル。
 ダンディーというのは、オガノさんのようなひとのことを云うのだ、と思う。

 オガノさんが1年前に倒れてからというもの、お会いすることもできなくなり、おしゃべりもかなわなかった。
 きょう、近所の斎場に安置されているオガノさんに会いに行った。
 オガノさんはやせていたけれど、うつくしいお顔で眠っている。

「オガノさん、お鼻が高いね。……ハンサム!」
「……」
「ほんとうにどうもありがとうございました」
「……」
「だけど、またいつでもいらしてください。おしゃべりしましょう」

 立ち話だけの、雑談だけのおつきあいだったが、そんなおつきあいがかけがえのないものであることを、わたしはぎゅっと噛みしめている。

20230918
来週、稲刈りです。

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2023年9月12日 (火)

練習、練習

9月5日
 仕事の予定が重なっていた上、まちがって認識していた〆切が発覚するなど、散散だった。焦って暴れたりしないように、そっと自分をなだめて、深呼吸。
「ダイジョウブ、ダイジョウブ」と云って聞かせるくらいのことなのだが、この「ダイジョウブ」は効く。呟いているうちに、「なんとかなる」ような気がしてくるのである。
 けれど事態はかなり逼迫(ひっぱく)していて、手を合わせて、夫に作業の一部を助けてもらった。
 食べることも忘れて時計を見ると、17 : 00になっていた。
 そうだ、Uber Eats
 東京に住んでいたときには、娘たちが利用するのを見聞きしていたが、自分で、ということはなかった。ましてや、熊谷でUber Eatsを利用することができるのか。

 できました。
 握り寿しを注文。
 思いついてから1時間のうちにそれは届き、ありがたくこの日初めての食事にありついた。

 この日の達成感は、仕事、というより、Uber Eatsだった。
 この種のことをしてみるのに、わたしは力む質(たち)だからめんどうなのだが、緊急事態のなかで成功。
 不思議なのは、あらゆる買いもののうちの70パーセントを、ネットでしているのわたしなのに、Uber Eatsの敷居が高いのはなぜか、という点だ。
 食べるものへの思いが敷居を高くするのかな……?
 かつての「出前」「店屋物」の世界にこだわっている……? 
 つまり蕎麦屋さんやら、寿司屋さんやらに電話をして、出前を頼む時代を、ひきずっているのか……、という分析。……よくわからない。

 ところでUber Eats
 どんなひとがどんなふうに届けてくれたのか、覗くことはできなかったが、ありがとう、ありがとうございます。


9月8日
 散散な事態は薄まりながらもまだつづいていたから、昼過ぎ、またしてもわたしはハンバーガーを頼んでみることにした。
 本日はUber Eatsには頼まず、直接店にオンラインで注文し、受けとりに行くこととする。受けとり時間を1330とし、PayPayで前もって支払う。
 PayPayは、熊谷に引っ越してきたときに、娘の誰かが「これ入れておきないさいな」と云って設定してくれたものだ。助かった。

 うれしく食べる。
 バンズ無しでたっぷりのレタスのなかにフィッシュフライがはさまっているバーガーと、ポテトと、オニオンフライ。
 またしても、練習。
 つぎは、何を練習するか。


9月10
 スーパーマーケットへ。
 ちょっと久しぶりのスーパーマーケットである。
 ここでのいちばんのたのしみは、鮮魚コーナー。ここでアラを探すのだ。店のあら探しではない、魚をおろしたときに残る、アタマやカマのことだ——アラ。
 このコーナーでは、同年代から、もう少し年配のおばさまとの攻防戦が待っている。
「攻防戦」はいかにもおおげさだが、結果がどうなるかわからない、という意味で攻防戦だ。
 おばさまが、迷ってアラたちと睨み合っているあいだは、遠巻きにして近づかない。かなり長いこと睨み合ったり、ため息をつくのを見ていると、共感が湧く。
 いいものに巡りあっても、持てる時間、そのときの体力気力を鑑(かんが)みるうち、求めるべきか求めざるべきかという葛藤が生まれる。
 あ、おばさま、きょうはおやめになるんですね。

 近づいてみると、本日のアラコーナーには、鰤(ぶり)、鯛、鮪がならんでいる。
 鰤を2パック求める。

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鰤(ぶり)大根をつくりました。
アタマやカマのみならず、
身もついていることがあり、
そんなときは、わくわくします。

浮かれすぎて、必要な買いものを
し損なうこともありますから、注意!
なのです。

【thebase「ふみ虫市場」ニュース】

『ブダペスト日誌』飯田信夫・著(発行所 ふみ虫舎)
thebase「ふみ虫市場」 https://fumimushi.thebase.in/

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『ブダペスト日誌』を久しぶりに読みたくなりました。
 この夏ブダペスト(ハンガリー)で、第19回世界陸上選手権大会が開催されたのがきっかけです。
 ブダペストといえば……と、2019年、この地名を冠した本の製作にかかわったことをなつかしく思いだしたのです。
 そして、日本から遠く離れたブダペストで過ごした経験(ブダペスト日本国大使館のなかにある補習授業校教員)を持つ先輩のはなしを、また聞きたくなったというわけです。

 著者の飯田信夫さんは、公立小学校の校長を務め、退職後も、教員をめざす学生、若手の教員を支えながら導く活動に余念がありません。魅力的なせんせい、おもしろい先輩です。
 著者の志としては、下記のような読者を想定していました。

 家族で外国生活をおくろうとしているひと。
 若手のせんせい。
 子育てに少し行き詰ってきた保護者。

 読み返してみて、こんなあなた、こんなわたしにもおすすめしたくなりました。

 あなた、もっと自信を持ちましょうよ。
 もう少し自信を持たなくちゃ、わたし。


471660463323873319

うんたったラジオ Vol.25

スペシャルゲスト! デザイナー・柴田裕介さんをお迎えして。
常識にとらわれたと反省するあずさ。おたんこ編集者。
領域を超えた仕事。ノートは奥深い。まつ毛褒めてましたよ、など。

◆おたんこナース https://mangapedia.com/おたんこナース-hm3hn12dy 
◆ブダペスト日誌 (ふみ虫市場)https://fumimushi.thebase.in 

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2023年9月 5日 (火)

いっしょにいて楽な相手

8月30
 30代のはじめ、勤めていた出版社を辞めてフリーランスになったとき、ふと(ほんとうにふと)、活字の仕事を休んでみようと、考えた。
 休んだらどうなるか。活字が好きでたまらず、やっぱり「もどります」と考えるのか。別の仕事がおもしろくなって、「もどらないことにします」となるのか。そのあたりにも興味があった。
 休んで何をしていたかというと、展覧会・写真展の企画運営と、テレビの仕事をした。展覧会・写真展のことは、ここで横に置く。
 テレビの仕事では、週に一度か二度ドキュメンタリー番組のアンカーを務めた。アンカーというのは、アメリカのことばで日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、番組の総合司会者の意味だ。キャスターに近いと思う。
 六本木のテレビ局に通って、打ち合わせをし、30分番組にのぞむ。素人だったわけだけれども、じつは起用の理由もそこにあった。
 テレビの世界ではズブの素人、その上当時シングルマザーだったことも買われたのだ。製作サイドに視聴者との距離を縮めたいというつよい目論見があって、映像素材を持ちこむのも、5割はテレビの世界には縁なきひとたちで、福祉従事者、職人、家庭の主婦などさまざまだった。
 そんな皆さんとの出会いもおもしろかったが、テレビ局で仕事をするひとたちとのやりとりが、忘れられない。イヤな奴、尊敬できるところがひとつもないようなひとがいなかった……。
 そんな、テレビ局に勤める仲間のなかに、気が合う上に、頼りになる若者がいた。ロッポンギくん。
 ロッポンギくんには、わからないことをすべて質問した。
 自分に苦手とする事ごとについても、聞いてもらった。
 仲間っていいなあ、と思った。

 2年後番組がなくなり、テレビ局もカタチを変えて吸収されたから、ロッポンギくんと顔を合わせる機会は、とんとなくなった。ロッポンギくんが結婚し、男の子がふたりいる家に遊びに行ったのが……、20年前。それ以来会うことはなかった。
 ことしの5月、ロッポンギくんは、わたしが参加する小さな会に訪ねてきてくれた。ロッポンギくんの隣りには、さっぱりとして清清しい女性が立っていた。感じがいい、とはこういうひとのことです、というよな、ね。

「妻です」
20年前会った夫人とは、ちがうひとだな。ええと、ええと)
 ふたりの子どものお母さんでもある夫人が病気で亡くなったこと、数年前再婚したことを話してくれた。
「よく会いにてくれたね。それにしても佳きひとと……。どうやって知り合ったの?」
「……マッチングアプリです」
「おお! でかした、ロッポンギくん」

 そうして本日、ロッポンギくんは熊谷の家に遊びにきてくれた。
 暑い暑いなか、ふたりそろって。
「わたしが結婚する、とまわりに伝えたとき、みんな聞きたそうにして、だけど口にしなかったのが『どうやって知り合ったの?』だったんです」
 そう話したのはミセス・ロッポンギである。
「ところが、あの日、初めてお会いした日、ふみこさんはいきなり『どうやって知り合ったの?』と聞いてくださった。すごいなあと思いました」
 これには、顔が赫(あか)らむ。
 やはり前頭葉が崩れはじめているのかもしれないなあ、と反省する。
 だけどね、ふたりがどうやって出会ったにしても、祝福する自信はあったのですよ。
 ミセス・ロッポンギが小さな声で、はにかみながら云うのである。
50代になって、こんなに気の合う、いっしょにいて楽な相手と出会うなんて、思ってもいませんでした」


9月2日
 おわら風の盆。
 友だちふたりに誘われて、旅に出る。
 あこがれてはいたけれど、自分が「おわら風の盆」の日に越中八尾(富山県)に出かけるなどとは、考えたこともなかった。そんな運を自分が持っていたなんて……。

 ことしの風の盆は、9月1−3日。
 バスで富山市八尾に入り、踊りの舞台となる地区に向けて坂道をのぼる。東新町、西新町、諏訪町、上新町、鏡町、東町、西町、今町、下新町、天満町、福島という11の町がそれぞれに踊りの支部を持っている。
 11の組が町の通りを唄い、踊りながら流すのが「町流し」だ。
 勘を働かせここぞという場所で待っていないと、町流しに出会えない。
 友だちふたりの直観力にひっぱられ、数組の町流し、門名寺での踊り、商工会館での中学生、小学生の踊りを堪能することができた。
 踊り手は誰もが編笠を深くかぶり、無言だ。女踊りは薄い色の着物に黒帯。風情を醸す黒帯は、その昔、おわらの衣装をそろえるにあたり、誰もが持っていた冠婚葬祭の黒帯を用いた名残りだと聞く。男踊りの衣装は粋なはっぴ。
 踊り手の後方には越中おわら節を唄い、演奏するひとたちがつづく。地方(じがた)である。三味線、胡弓、太鼓がおわら静かな、神秘的な踊り。
 ひとのからだの、ひとの手足のうつくしさを、あらためて知る思いだ。見ているだけのこちらだが、浄められている。お腹の底からぐるんと裏返りそうな勢いで、浄められる。

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【thebase「ふみ虫市場」ニュース】
『ブダペスト日誌』を久しぶりに読みたくなりました。
 この夏ブダペスト(ハンガリー)で、第19回世界陸上選手権大会が開催されたのがきっかけです。
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 著者の飯田信夫さんは、公立小学校の校長を務め、退職後も、教員をめざす学生、若手の教員を支えながら導く活動に余念がありません。魅力的なせんせい、おもしろい先輩です。
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 家族で外国生活をおくろうとしているひと。
 若手のせんせい。
 子育てに少し行き詰ってきた保護者。

 読み返してみて、こんなあなた、こんなわたしにもおすすめしたくなりました。

 あなた、もっと自信を持ちましょうよ。
 もう少し自信を持たなくちゃ、わたし。

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『ブダペスト日誌』飯田信夫・著(発行所 ふみ虫舎)

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うんたったラジオ Vol.25

スペシャルゲスト! デザイナー・柴田裕介さんをお迎えして。
常識にとらわれたと反省するあずさ。おたんこ編集者。
領域を超えた仕事。ノートは奥深い。まつ毛褒めてましたよ、など。

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