バラごころ
5月28日
庭の野菜たちが育っている。
いちばん手はスナップエンドウ。これは天に向かって姿勢を立て、つるをのばして実をつけている。つづいていちご、雪小町(白い二十日大根)。ミニトマトの収穫も間もなくはじまる。
昨夏、ある時期つい収穫を怠ったあと、庭に植えつけた野菜たちとのあいだに、簡単には埋められぬ距離が生まれた。こころがはなれてしまったのである。
収穫というのは、畑仕事の肝だな、毎日毎日見て、収穫しなければ……ということを思い知ることとなった。毎日野菜たちと顔を合わせることこそが、肝なのだと思う。
毎日収穫。
この夏の決心だ。
5月30日
寝室の窓に目をやると、ピンクが揺れた。
「あ、また咲いた」
ピンク色の花を咲かせるバラである。
お母ちゃん(夫のはは)が植えたのだと思う。
「あ、また」というのは、どうやら四季咲きのバラだからだ。
春咲いて、夏も小さいのがちょっと咲き、秋咲いて、冬咲く。
バラの居場所は、母屋の東側の隅っこだ。ひとひとり通れなくはないが、何かの作業のときやら、草とりをするときやらに踏み入れるだけ。
はははなぜこんな人目につかぬ場所にバラを植えたのだろうか。
畑作業を手伝いにきてくれた萌(5人娘のひとり)に、訊いてみる。
「ね、お母ちゃんはどうしてこんな隅っこにバラを植えたのかな」
「元もここは寝室で、この窓辺におばあちゃんの鏡台があったでしょう? おばあちゃん、化粧水をつけるとき、ときどきお化粧するとき、ここからバラを見ていたんじゃないかな」
「……」
農業(40年間ほどは養蚕も)、家のしごとに精出すたくましいお母ちゃん……。子や孫や、親戚、近隣のひとたちのための尽くした、やさしいお母ちゃん……。ふだんは化粧っ気なしだけれどけれど、出かけるときには眉を描き、口紅を引いて変身するお母ちゃん……。うどんをつくるお母ちゃん……。ほうれんそうを茹でるお母ちゃん……。
いろんなお母ちゃんを見てきたつもりだったけれど、鏡台の前に坐り横の窓からバラをそっと眺めるお母ちゃんを、わたしは知らなかった。
「バラごころだね」
と云うと、萌が笑う。
「うん、バラごころだね」
6月2日
日が長くなった。
18:00まで机で仕事をして、支度をして庭の草とりをするのが、このところのルーティーンとなっている。
18 : 00から19 : 00までの1時間。夢中で草を抜く。1日の締めくくりに草とりをするというのは、なかなか考え深い。
さて、ときょうも支度しようとするが、外は雨だ。
雨では、草とりができない。
このめぐり合わせも床しい。
一瞬、1日の締めくくりが歪むかにみえてくるけれど、これでもわたしは百姓だ。別の一手を打つこととする。
台所で鰯を煮る。生姜をたーくさん刻んで、いっしょに煮る。晩ごはんのためではなくて、これは翌日のおかず。もっとたくさん鰯を買うのだったな、と思いかけるけれど、これでもわたしは厨人(くりやびと)だ。こんどまたたくさん買ってきて、梅干しといっしょに煮るとしよう、と思い直す。
夜はちょっとヨガ人になり、読書人となる予定。
雪小町さんです。
茄子も元気。
〈公式HP〉
https://www.fumimushi.com/
〈公式ブログ〉
http://fumimushi.cocolog-nifty.com/fumimushi/
〈公式Instagram〉
https://instagram.com/y_fumimushi
| 固定リンク



コメント
ふんちゃん皆様こんにちは。
畑や草の住人ですね、ふんちゃんは。
我が家も長男が植えたアサガオが目を出し
喜ぶ長男!
今年は料理教室にも行ってみてます、長男頑張ってます。
さてこないだの寝たふりの続き
新しい作戦は泣いたフリ。
男の子だから?乱暴で傷つくことを言うのしばしば。
どうにかダメだよと伝え日々頭を使ってます!
投稿: たまこ | 2024年6月 4日 (火) 12時06分
ふみこ先生、みなさま
こんにちは。
ニュースを観ると関東地方は突然の大雨のようですね。
なんだか私たちの星は、私たちの手でよくない方へ変化しているのかなと
感じることが多くなった気がしています。
今年は、梅が実りません。毎年いただくご近所のサクランボも小さな実の
うちに地に落ちてしまいました。
わが家に宿を借ろうとしていたツバメも巣を作ることもなく、毎年遊びに
きていた畑の電線にも来てくれず、話し相手がいない夫はさびしそうです。
とにかくツバメが少なく「何かの前兆かしら」と思ったりもします。
でも今年もホタルはたくさん帰ってきてくれました。
わが家も義母が育てていた四季咲きの紅い薔薇が咲いています。
ちょっと開きかけた薔薇一輪を生けて楽しんでいます。
開ききる前の濃い花色が好きです。
そして14年前の長男王子の結婚式に花束の代わりにもらったピンク色のミニ薔薇。
これも四季咲きで一年に何度も咲いてくれます。
鉢二つに分けて育て続けています。この薔薇は絶対枯らしてはいけないと変な責任
感を感じていますがこの薔薇を育てるのをキッカケに花作りが楽しくなりました。
お嫁ちゃんたちにもらったカーネーションやアジサイもどうにか毎年咲いてくれます。
玉ねぎとジャガイモの後の畑にトマトとスイカと落花生の苗が並びました。
カボチャもキュウリも花を咲かせ始めました。
これからは毎日畑をながめるのが楽しみです。
わが家の畑は、「ザ畑」ですがせんせいの畑は、楽しんで作っておられるというセンスの
ある畑ですね。やっぱりふみこ先生です。
夕方の草取り、くれぐれも蚊には気をつけてください。
せんせい、みなさま
今週もお元気におすごしくたさいね。
投稿: 岡山のこんちゃん | 2024年6月 4日 (火) 16時57分
ふみこさま
おはようございます。
四季咲きのバラのみえる寝室素敵ですね~。
うちも寝室の前のベランダ側にも植木鉢を置いたりしたことがあったのですが。。。やはりこちらは目がとどかなくてあまり育たずリビング側一カ所にしたことおもいだしました。
うちのモッコウバラは四月しか咲きませんがとげもなく
ほとんど手入れもしなくても元気にそだってくれるので
お気に入りです。同じく黄色のテイカカズラもたくましいです。今は地中海ブルーのるりまつり達が咲き出してこれをみると6月だな~とうれしい朝です。
朝顔たちもつるをのばしはじめました。あれおとなりの
ふうせんかずらたちはどうやってのびていくんだっけ~
と思っていたら。。。まきひげをくるんと伸ばし始めました!!みなそれぞれ隠れた力をもっていてすごいです~。ふふ。そろそろ麻ひもアートの出番で~す。
たのしみ。たのしみ。
ではふみこさんもみなさんも今日もいい一日おすごしくださいね。きょうはもう少しで埼玉県の東村山市の菖蒲園がみごとと友人がいうので行ってみま~す。
投稿: 真砂 | 2024年6月 5日 (水) 07時27分
たまこ さん
お母さんが悲しいのは、
いやだものねー、子どもたち。
世間の考えとか、
他者(ひと)の評価なんか気にしないで、
たまこさん流でやったらいいよ!
試してみたらいいよ!
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2024年6月 5日 (水) 12時03分
岡山のこんちゃん さん
本日麦刈り!
暑い!です。
がんばっています。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2024年6月 5日 (水) 12時04分
真砂 さん
東村山市は、東京都です。
大事な友だちが
複数住んでいるのです。
いいところですよね。
部分的には七国山であり、
ビバリーヒルズでもあり、
不思議な微力に満ちている!
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2024年6月 5日 (水) 12時08分
そとはとてもよい天気、初夏というより涼しい日々です。このまま秋、冬とすぎないものかと、熱波の夏に恐れおののく声がきかれます。
わたしの寝所からも庭が見えます。
この庭も今年は花が少なかったり、茱萸の実は数えるほどでした。
ひとにも体調の波があるように、動植物にもあるのかなとおもっています。前回頑張りすぎたから今回はこのくらいね、みたいな。
梅の樹は初めから実のつかない花を咲かせる、それは知恵なんだと、植物を研究しておられる方が話していたと記憶しています。
人が物事を進化させ加速してゆく中で、どうしても慢心が起きるのに、自然はいつも自然のまま、あるがままに存在することが、静かに呼吸する助けになっています。
「一粒の麦もし死なずば」
これが聖書からのことばと最近知りました。年を重ねてはいるけれど知らないことだらけ、と苦笑いです。
投稿: こんぺいとう | 2024年6月 5日 (水) 12時28分
ふみこさま
私も同じ時間に草取りをしています。
あ、おんなじ…と思ったら嬉しくなりました。
毎日収穫も心に留めました。
東村山、私の故郷です。
訂正ありがとうございます。
私の実家は市内の友人にも「あそこは埼玉」といわれる場所にありますが…
でも良いところです。
帰る度に秘密基地を作った雑木林や古い農家の屋敷林が減っていくのが寂しいです。
投稿: ゆうこ | 2024年6月 5日 (水) 21時35分
ふみこさま
おはようございます。
昨日は「もう少しで埼玉県の。。」というあいまいな表現失礼しました。菖蒲園のあるところとその北側の八国山緑地までが東村山市ですよね。いつもこの辺までしか行かないので。。もうちょっと行けばふみこさんの住んでいる埼玉県だな~~という親しみを込めて書いたつもりでした。
もう少し行くと狭山丘陵のトトロの森〇号地とかあると聞いたのでいってみたいです。
菖蒲園の方は種類も多くひとつひとつに手書きで名前が書かれていて大切に育てられていて美しい色合いにうっとりでした。ありがとうございました~。
ではきょうもみなさまいい一日おすごしくださいね。
投稿: 真砂 | 2024年6月 6日 (木) 06時36分
こんぺいとう さん
動植物にも、「波」がある……。
ほんとうほんとう。
庭に遊びにくるカラスが、このあいだ、
ぼんやりしていて、おかしかったな。
おかげで、ちょっと喋ることができました。
それで気を許してくれたのか、
麦刈りのときも、畑にやってきて、
何か語りたそうにしていました。
1羽でくるのですよ。
鳥さんたちはつがいで行動することが多いから、
どうしたかなあ……、失恋したかなあ、
喧嘩かなあと、想像しています。
カラスが庭を横切って飛んでゆくとき、
下から見ると、足のしまい方、お腹のあたりの筋肉(?)が
素敵なんです。
(下から見るなんて、失礼ごめんなさいと
思いながらも)。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2024年6月 9日 (日) 11時18分
ゆうこ さん
これから、草とりするとき、
「ゆうこさーん」と小さく叫ぼう……。
うちの庭のデザインと造作は、
東村山在住の佐々木真一さんによります。
毎日毎日東村山から通ってきてくれたのです。
朝7:30には到着してたのですよ。
4:00に起きて、多摩湖のまわりを自転車で一周して、
ご家族の朝ごはんをつくってからやってきてくれたのでした。
そういう素敵なひとばかり。
東村山の友だちは。
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2024年6月 9日 (日) 11時28分
真砂 さん
ごめんなさい、ごめんなさい、
ごめんなさい。
「もう少しで埼玉県の……」を
読み損なっていましたね、わたしときたら。
でもね、東村山のひとにあまり知られていない
一面(ほんとうは五面くらい)を語りたくなっちゃいまして。
つい、興奮してしまいました。
ご無礼お許しくださいまし。
考えてみると、知られざる一面二面三面を、
ヒトだって、土地だって、家だって何だって、
持っていますよね。
うん、そうだ!
ふ
投稿: ふみ虫。 | 2024年6月 9日 (日) 11時32分
ふんちゃん
もう遅くなっちゃったなぁ……と思いつつ、
おじゃまします(^^;)
うんたったラジオが、立て続けに!!
うれしくって、す~ぐ聞いちゃいました。
麦刈りも、おつかれさまです。
本当にお忙しいみなさんが、
それぞれの仕事に合間(?)に、麦を刈る。
「バラごころ」とともに、
なんだかうっとりする光景を思い浮かべていました。
ステキだなぁ~。
ウチも、ようやく植えた苗たちが、
元気になってきました。
今年は、寒暖差が激しくって、なかなか大変な、
畑になりそうです。
収穫が大事!
というのは、わたしも感じていました。
ウチでは、収穫と料理がわたしの担当という感じなので、
これからが忙しくなる……予定です。
仕事で外に出ているときに限って、
畑の友だちたちが呼ぶ……という感じです。
「お~い、そろそろ食べ時だけど~?」と、
呼ばれている感じがします。
ときどき、耳をふさいで……、
「ごめんね」とつぶやきながら、
虫だらけで、どうしようもなくなった葉っぱたちに、
「虫さんのために……と思ったんだ~」なんて言い訳したりしています。
今年は、どうなるかなぁ……。
投稿: 空色めがね | 2024年6月10日 (月) 16時12分