試練
8月21日
久しぶりに田んぼに行くと、青青とした葉のあいだに、稲に穂が出ていた。
出穂(しゅっすい)と呼ぶそうだ。
つづいて、ここにもうすぐ花が咲く。
これまでわたしは花を見たことがない。ことしは見られるだろうか。こうした現象をつかむことも、つかまないことも、それはそれぞれ信号だという気がする。信号というのは、見たほうがいいですよ、という意味で。
花を見られるかどうかわからないけれど、ともかく、本日は、穂を見ることができた。おおいによろこぼう。
葉が光合成をして、穂に栄養分を送りこみ、秋に米を実らせる。そうだ、暑さ! ヒトにとって過酷な暑さも、それは稲にとってなくてはならない賜物である。そう考えると、暑さに対する思いが変わる。
ヒトがときどき試練に遭うのだって、賜物なのかもしれない。ヒトは見た目には穂を出したり、花を咲かせたりすることはないけれど、内的には出穂あり、開花あり、米のようなものを生みだすではないか。
少なくとも、試練を賜物として受けとめる神経を張りめぐらせないのは、つまらない。つまらないのを超えて、内的結実を見ないで終わることになりかねない。
稲の穂に向かって、一礼。
8月23日
ふみ虫舎エッセイ公開講座の日。
この日、参加の皆さんおひとりおひとりの作品を、音読していただき、耳で聞いた。書き手の「いま」があふれ出す。
おひとりおひとりの、あらゆる感情のつかみを、音でたしかめていると、個性というのは生半(なまなか)ではないことを思わずにはいられない。
エッセイ、随筆を書くとき、読み手に何を伝えたいかということを考えておいたらどうだろうか、とわたしは話す。それだけじゃだめで、風、光が必要……モニョモニョ、と。
ねえ、みなさん、文章のなかの風、光って何だと思いますか?
8月24−26日
友だちふたりと島根、鳥取の旅へ。
出雲大社や足立美術館、鳥取砂丘をまわった。
実の詰まった旅だった。
だけどだけど、
「何がもっとも印象に残っていますか?」
と尋ねられたら、わたしはこう答える。
「夜ふつかつづけて行った、トランプ大会」
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海原純子さんと山本ふみこの特別対談
「幸せ上手になる生き方」
開催日:10月24日(木)14:00〜15:30
参加費:一般3,500円
会場:出版クラブホール(神保町駅から徒歩約2分)
募集人員:120名(先着順)
イベント詳細・お申込みは下記HPにてご確認ください。
https://halmek.co.jp/reservation/event/732/
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講師:詩人・井坂洋子 随筆家:山本ふみこ
『詩は、わたしの隣にいる』
開講日:10月26日(土)13:30〜15:00
受講料:3,520円
会場:池袋コミュニティ・カレッジ
〒171-8569 豊島区南池袋1-28-1西武池袋本店 別館8・9階
講座詳細・お申込みは下記HPにてご確認ください。
https://cul.7cn.co.jp/programs/program_1015602.html?shishaId=1001
山本ふみこの新著『むべなるかな』
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