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2024年9月の投稿

2024年9月24日 (火)

お墓散策

918
 東京で「ふみ虫舎エッセイ講座」の日。
 前の日の夜ハワイからもどり、お仲間の作品を読んでから3時間眠った。時差というものが自分にどう作用しているかわからない——わたしはこういうところがじつに鈍感である——が、なんだかからだが軽い。
 ハワイも旅だったが、上野東京ライン(高崎線)に乗って東京に向かうこれも、旅だな、と思う。まいにちまいにち、旅である。


919
 新国立美術館(東京・六本木)で「CLAMP展」を観る。
 平日だというのに、40分待ちの行列。
 少年マンガ、少女マンガほか、あらゆるジャンルにおいて作品を発表してきたCLAMP。女性4人の創作集団である。
 驚くほど、多種多様なひとたちがならんで、入場を待っている。ガールフレンドにつきあってやってきたのかなと、思って近く観察していた男の子が、その実、ガールフレンドをひっぱって、やってきていた。列のなかで、熱心に作品について語る。
 行列にならぶのは苦手だが、この日の行列はおもしろかった。海外から駆けつけたひともたくさん。『カードキャプターさくら』のさくらちゃんみたいな姿のおばさまは、圧巻だったな。
『カードキャプターさくら』の創作にも宣伝にも、わたしは一切関わっていないというのに、ありがとうという心持ちになる。そのくらい日本を代表する「CLANP」の作品群であり、つい自分まで日本を代表してありがとう、とね。

 ある時期わたしはCLAMPの『xxx HOLiC』の世界に入りこんでは息をついていた。
xxx HOLiC』は、娘たちと読んでいた「カードキャプターさくら」(雑誌「なかよし」/講談社/19962000年)のあとの作品(雑誌への連載は20032011年)で単行本をもとめて読んだ。
 目に見えない世界を意識することを学びながら、息をついていたような気がする。
 久しぶりに〈ミセ〉の侑子さんに会いたくなった。

「この世に偶然なんてないわ。あるのは必然だけ」

「与えられたモノには須(すべから)くそれに見合うだけの代償、対価が必要なのよ。与えすぎてもいけない、奪いすぎてもいけない、過不足なく対等に、均等に。でないとキズがつく」

 なんてことを、するするっと云う女(ひと)。


9月23日
 お彼岸最終日。
 夕方、夫とふたりでお墓参りに行く。
 墓地にはひとけがなく、お参りをすませたあと、ふたりで墓地内を歩きまわる。昨年亡くなったオガノキヨシさんのお墓を探して歩きまわる。
 熊谷の家に引っ越してきて、オガノさんには家のプロパンガス、ガス器具のことでお世話になった。
 毎月プロパンガスの検針にやってくるオガノさんをつかまえては立ち話をした。いつもぱりっと糊のきいたシャツを着るような、おしゃれなところも好きだった。
 秩父へ行くたび、店にならんで「すまんじゅう」を買ってきてくださったなあ。ふだん甘いものを食べないわたしだが、オガノさんの「すまんじゅう」はたのしみだった。
 麹発酵のふわふわの白いおまんじゅうは、手のひらの大きさだった。なかに、甘みを控えたあんこが詰まっているのですよ。それを蒸して……、ふわっと噛みつく。
 立ち話をしながら、立ち話の価値をたしかめたしかめしていたのに、オガノさんはあっという間に逝ってしまった。
 ことしの夏、息子さんにお墓の場所をおそわった。ところがわたしときたら「六地蔵さんのところを右に曲がって、あれ? あれ?」とこんがらかる。
 それで夫と墓地のなかを隅から隅まで歩くのだ。
「オガノさーん」
「オガノさん、ってばー」

 どうしたわけかお墓はみつからなかった。
 だけど、なんだか、愉快だった。
 見えない皆さんのあいだで、ウワサになっているかもしれない。
「ずいぶんお墓をおもしろがってたなー」
「しまいにはあのひと、スキップしてたんべー」

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お彼岸の中日、夕焼けがひろがりました。
赤さが、何かを告げているようで、
しばらく、その場に佇んで、西の空を見ていたわたしです。

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草むらに隠れてブルーベリー摘み。フィジカルが元気! 
漫画の話のつづき。お知らせがあります。
「のんびりのびのび、支離滅裂」……この精神で行こう! など。


色付け:福島知佐子

〈話に出てきた漫画たち〉
・『BlueSky』やまだ 紫
・『ガレージ・ママ』草野 誼

〈お知らせ①〉
◆BOOK MARKET in 紀伊國屋書店新宿本店に出店します!
わたしたちの友人でもある藤村勇人さんのフォトエッセイ集を新刊として絶賛準備中◎
日時|10月19日(土)〜20日(日)13:00〜18:00
会場|紀伊國屋書店新宿本店1F メインエントランス(新宿通り側入口)
▽各詳細はBOOK MARKET in 紀伊國屋書店 新宿本店 HP
https://www.anonima-studio.com/bookmarket/index.html
▽BOOK MARKET facebookページ
https://www.facebook.com/bookmarket.tokyo

〈お知らせ②〉
◆詩人・井坂洋子先生と山本ふみこの対談
「詩はわたしの隣にある」
日時|10月26日(土)13:30〜15:00
場所|池袋コミュニティ・カレッジ(東京都豊島区南池袋1-28-18  西武池袋本店・別館 9階)
料金|3,520円
※オンライン配信も予定。
▽詳細・お申し込みはこちらから。
https://cul.7cn.co.jp/programs/program_1015602.html?shishaId=1001

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ふみ虫市場
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2024年9月17日 (火)

アロハ

910
 8月のおわりに、ハワイに用事ができた。
 とつぜんのことだったし、8月に旅がつづいてもいたから、出かけるのは無理だろうと思ったが、一方で「ちょっと行ってくる」という感覚で、出かけられたらおもしろいなと、いう気分が生まれていた。
 末娘の栞の、915日に友だちの結婚式に参列するため、ハワイに行く、という計画もわたしの背中を、押す。
 よし、行こう。

 心を決めてから、留守ちゅうにめぐってくるあれこれ、とくに仕事の締切を、超特急でやり遂げる。

 ハワイは二度目だ。
 一度目のとき、幼かった梓と梢に向かって、当日の朝、
「きょうは学校と保育園を休んで、ハワイに行きます」
 と告げた。
 前もって計画を伝えたなら、娘たちを緊張させて、出かける前の晩に熱を出さないともかぎらないから、そうした。
 ふたりはそれぞれリュックサックを背負い、「ハワイって何だろう」と思いながら、眠い目をこすっていたはずだ。
 羽田に向かう(羽田空港から中華航空の便)中央線のなかで、仕事仲間とばったり会った。
「やあ、おそろいで。どこに行くの?」
 と訊かれる。
「ハワイに行くの」
 そう梓と梢が答える。
「あはは。またまたー」

 ハワイというのは、「ちょっと行ってくる」をかなえてくれる楽園なのかもしれないな。


912
 上野から京成スカイライナーに乗り、成田に向かう。
 JR上野駅の改札口で、京成線をさがしていた中国の(たぶん)旅行者を、乗り場まで、案内する。少しも地理にも、ことの成り立ちにも明るくないくせに、こういう立場に陥りがちなのは、知らない誰かさんとも「一緒に困りたい」からだ。
 もっと知識、良識を身につけたいと希いつつも、いつも、この一念。

 乗りこんだ京成スカイライナーの車窓から、虹が見える。
 地面から、光の柱のように立ち上がる虹は、これまでわたしが出合った虹のなかにはないものだった。
 ともかく行って、ともかく帰ってこられますように。


913
 たぶん、空の上でわたしは時間を失っている。
 時間を遡(さかのぼ)っている。

 これまで日付変更線を越える経験を幾度かしているが、そのたび、ヒトが考えだした時間の概念、そうにちがいないけれど、これも神の領域なのだろうなあ、と思う。
 帰り道に失った数時間をとりもどすことになるだろうけれど、いい具合に、わたしの体内時計を狂わせておくれ、なんて、思う。

 栞とホテルで落ち合うことにしているが、ホテルに荷物を預けて、チェックイン時間まで6時間、ぶらぶら。
 ことわっておくけど……、かなりどきどきしながら、コーヒーとオムレツ、ポテトを頼んだりしているわたし。昼ごはんに、タイ料理を注文するわたし。
 チップはどうするんだ?
 3段階のまんなか「18パーセント」をチェックする。

 午後4時半、ホテルの前に狛犬のように坐って、栞を待つ。

 Long time no see.
 栞と約1年ぶりの再会。
 アロハ。


915
 ワイキキでの数日が過ぎてゆく。
 ここは、8分の1くらい日本である。
 食事をとろうとしてレストランの客になると、日本語のメニューを渡される。
 用事を片づけるのにも、栞が友だちの結婚式をたのしむのにも、それぞれ少しずつ苦心はしたけれど、clear。

 カナダのバンクーバーで2年半暮らした栞に助けられながら、ワイキキで過ごした。
「ちょっと行ってくる」に挑んで、よかった。
 旅の好きなのは、12日過ごすうち、その街の歩き方がわかってくるところ。
 ひとりで、行きたい場所へ行き、自由に店の客になれる。
 そうして、また、ここに来たい、と思うところ。

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2024年9月10日 (火)

寄り道癖

9月3日
「ふるう、ふるう、ふるう」
 呪文のように唱える。
 仏壇の香炉の灰をふるおうと、仏間に向かっているのに、わたしときたら、途中で廊下の多肉植物の前で足をとめて、いろいろと世話を焼き……。
(ちがうちがう。わたしは香炉をとりに行くのだった)
 と思いだし、仏壇に向かう。
 またしてもわたしは、気がつくと洗面所の扉のノブを磨きはじめている(エプロン仕様のジャンバースカートのポケットには、竹製のキッチンペーパー(何度も何度も、何度も洗って使えます)、ちっちゃなはさみ、ブラシなんかが納まっているのですよ。
 キッチンペーパーで、ゴシゴシやる。
 うかれて、鼻歌が出る。
(ちがうちがう。わたしは香炉をとりに行くのだった)
 と思いだし、仏壇へ。
 ところが、掛け軸の軸棒を拭きたくなり……寄り道する。

 ここで、門で呼び鈴が鳴る。
「ふりだしに、もどる」である。

 もともと、おそろしく気の散りやすい、落ちつきのない質(たち)だ、わたしは。それは自覚している。
 子どもの頃から、そうだった。父も母も、弟までも、そんなわたしの行動に目を光らせて、ことを本筋にもどす手助けをしてくれた。
 小学校時代の通知表にも、いつもこう書かれていた。
「明るい性格だが、落ちつきがない。気が散りやすく、集中力に欠ける」
 この際の「明るい性格」「欠ける」はせんせいのサービスで、ほんとうは「とにかく落ちつきがない。気が散りやすく、集中力がない」なのだ。
 ええと、それでなんだって?
 ほらね、こうしてまた、自分が何を書いていたか、わからなくなる。

 この日、やっとのことで香炉のなかの灰をふるい、なかにたまった線香の燃え残りを除き、灰に空気を入れて整えるまでに、1時間ほどかかる。


9月4日
 長女の梓の家に泊めてもらう。
 お礼にきんぴらごぼうと、鍋いっぱいの野菜スープをつくる。
 きんぴらごぼうは、亡き熊谷のははのダイナミックな「あれ」が食べたいというリクエストがあったので、よし、とばかりにダイナミック再現にとりかかる。ははのきんぴらごぼうは、ごぼうもにんじんも太い。そうしてやわらかくて、だいぶ甘い。
 一方わたしのは、ごぼうもにんじんも細くて、噛みごたえがあり、甘味も少ない。わたし自身の好みでもあるのだが、ときどきははの「ダイナミックきんぴら」がなつかしくなる。
 梓も、そうだったのだな。

 野菜スープ。
 これは忙しくなるときのわたしの定番だ。
① 野菜スープ→シチュウ→グラタン→クリームコロッケ。
② 野菜スープ→カレー→カレーうどん。
③ 野菜スープ→スープパスタ→パスタグラタン。
④ 野菜スープ→豚汁→味噌おじや

 変身の際、ふさわしい食材、調味料を足すのがポイント。

 これをつくり置けば、どのくらい梓を助けることになるかしれないな、と思っていたとき、ふとかぼちゃのタネと目が合う。
 これをぽりぽり食べたい!
 耐熱皿に洗って布巾で水気を拭きとったタネをひろげ、電子レンジにかける。2回にわけて3分ずつ。その後フライパンで炒り、バタを落とし、塩こしょう、戸棚でみつけた香辛料(ありゃ、なんだったのか……)を振る。
 タネがこんがり色づくまでしっかり炒ってみた。

 こういうのも、寄り道のうちだろうな。
 しかしね、気が散りやすく、落ちつきがなく、寄り道癖があるのがわたしだ。
 そういう自分と、これからもつきあってゆかなければならないのですよ。

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どうやらははの「ダイナミックきんぴら」には
程遠かったみたいです。
ははのは、ちょっと炒めるけれど、
ほとんど「煮る」きんぴらごぼうなんだと思います。

わたしのは「炒め」+ちょっと煮る。
また挑戦します。
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かぼちゃのタネの「ポリポリ」です。

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\うんたったラジオ47/

夏をふりかえり、夏にありがとうと言おう。
北海道・東川町からのお便りに泣きそうになるあずさとふみこ。
今回は「漫画」を話そう! 
ふみこの漫画の世界との出合い。
次女・梢さんがおすすめ漫画とコメントを残してくれました。


〈話に出てきた漫画たち〉
・『るきさん』高野文子
・『のんのんばあと俺』水木しげる
・『越後屋小判』『一日の最後に読みたい本。』奈知未佐子
・『浮浪雲』ジョージ秋山

〈梢さんのメモ〉*放送で読みきれなかったもの
・『猫と紳士のティールーム』モリコロス
紅茶の解説マンガか〜と思いきや、最近は人間関係の描写にもほっこり(猫かわいい)。

・『八雲さんは餌づけがしたい。』里見U
高校球児と未亡人のごはんの話。男子高校生ってこんなに食べるんだ! とビックリ。

・『ホクサイと飯さえあれば』鈴木小波
美大生のごはんの話、雑味がすごいけどクセになる味。

・『広告会社、男子寮のおかずくん』オトクニ
週に1回みんなでおかずを持ちよる話。仕事の苦労話もセットでごはんがおいしい。

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ふみ虫舎が紀伊國屋書店ブックマーケットに出店します!
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BOOK MARKET in 紀伊國屋書店新宿本店

10.5 sat 10.6 sun 10.19 sat 10.20 sun

毎年7月に浅草・台東館で開催しているBOOK MARKETの出張版として、
BOOK MARKET in 紀伊國屋書店 新宿本店を、
10月5日(土)〜6日(日)および10月19日(土)〜20日(日)に開催いたします。
その日・その時・そこでしかない本との出会いを楽しみに、
ぜひ紀伊國屋書店 新宿本店へお越しください。

会期|第1回 2024年10月5日(土) ~6日(日) 13:00~18:00
   第2回 2024年10月19日(土)~20日(日)13:00~18:00

会場|紀伊國屋書店 新宿本店1F「ひろば」
   〒160-0022 東京都新宿区新宿3-17-7

出展社|第1回 2024年10月5日(土) ~6日(日)
    アノニマ・スタジオ、 青幻舎、 本の雑誌社、 早川書房(HAYAKAWA FACTORY)

    第2回 2024年10月19日(土) ~20日(日)
    パイ インターナショナル、 ふみ虫舎+ナイスガイ、ミシマ社、リトルモア

★3点以上お買い上げの方にオリジナルエコバッグ(橋本太郎さんのイラスト入り)をプレゼント

★各詳細はBOOK MARKETin 紀伊國屋書店新宿本店HP
 https://www.anonima-studio.com/bookmarket/index.html
 BOOK MARKET facebookページ
 https://www.facebook.com/bookmarket.tokyo

主催|紀伊國屋書店新宿本店、アノニマ・スタジオ
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新しい本『むべなるかな』(ふみ虫舎)、
THE BASE「ふみ虫市場」で発売中。
まだの方はぜひ。
https://fumimushi.thebase.in
(著者サイン希望の方は備考欄に
「サイン希望」と書いてください)

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2024年9月 3日 (火)

パンを焼きながら仕事をした。

8月27
 旅からもどると、仕事が待っていた。
 あたりまえの日常なのだが、めずらしく不安をおぼえている。

 いまのいま持っているものだけで、仕事をしている不安。
 おもしろがる余裕のない不安。
 仕事の上で寄り道のできない不安。

 だけどともかく、日常のなかで、この不安を解消してゆかなくては。
 ちょっと考えて、仕事をしながら粉をこね、発酵させ……パンを焼いてみた。自らの、この解決の方向性にかすかに疑いを持ちながらも、せっかく思いついたのだから、とばかりに焼いたのだ。
 仕事を持っているひとのうちのどのくらいが、パン作りの傍ら仕事をする——いや、仕事をする傍らパンを焼くかな——なんてことができるか、という思いが湧く。
 髪を梳かしつけたり、眉を描いたりしなくても、そしてまた靴も履かずにショートパンツ姿で机に向かっている自分をかえりみて、恥ずかしくなってきた。
 加えて、仕事ちゅうの所業をあれこれ考えてみる。

 眠たい→ちょっと寝る(午睡)。
 夜、ウィスキーを飲みながら、仕事。
 ドラマ、ラジオを流しながら、仕事。

 気楽なもんだな。
 と、思った。

 どんなに忙しい日があったって、徒(いたずら)に不安を呼びこまず、気楽にやってゆこう……。そうして仕事をしながらパンを焼くことを思いつき、それを実行するわたしの「ヘンテコ」を、もう少し頼りにしよう。


 8月30日
 台風10号が、発生してどのくらいたつだろうか。
 どうやら10号氏は日本にやってきたかったらしく、日本列島に連泊している。移動も徒歩だから、少しも進まない。旅をたのしんでいて、一度海上にのがれても、また上陸したりするのだ。
 熊谷でも、いきなりスコールのような雨が降ってきたかと思うと、とつぜん晴れたりして、10号氏のきまぐれがそのまま空模様となっている。
 この10日あまり、10号氏とともに過ごしてきて、こちらも動きがにぶくなってきていて、このままにぶい感じで8月を見送りそうな予感がする。

 さびしいのは、夜空に星がないことだ。
 星を褒めたい。

 某県の知事が、台風のときのワクワク感について発言し、翌日「県民の『いま』に寄り添えなかった。不謹慎であった」と謝罪した。
 知事としての発言としては、たしかにいただけないかもしれない。しかし、このひとには、台風に対してワクワク感を抱いた子ども時代があったのだ、とわたしは思った。
 大人が昼間から雨戸を閉めて、その上から重ねて板を打ちつける備えをしたり、停電を予想してロウソクやマッチを用意したり、食べものを前もってつくり置いたり。その一方で、子どもはなんとなくワクワクする。風よふけ、雨よもっともっと、なんてことを思うのだ。
 わたしもそんな子どもだった。
 思えば、大人の存在、大人の備えを前提として持ち得るワクワク感だった。

 知事氏も、そこに焦点を当てて発言すればよかったのだ。
 大人は台風への備えをして、少したのしい備えもして、子どもたちを守ろう、と。かつて自分もそんななか、安心してワクワク感を持ったりしていたものだ、と。


9月1日
 9月がはじまる。

 どんな日日を生きることになるのか。
 知る由もないけれど、どんなことがあっても、「ヘンテコ」でいるんだ、わたし。

Photo_20240903105901
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\うんたったラジオ46/

ちょっぴりあわてて収録。
タッタカタとまいりましょう。
お便りありがとうございます。
(恒例のトンチンカンな読み違いあり) 
高知県、島根県、鳥取県に立て続けに出かけたふみこ。
振り子列車。自転車を整備する。
近所のスーパーで買物をする。
旅のこころをつかまえに行こう。


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