だいぶ強引に
10月19日
「BOOK MARKET in 紀伊國屋書店新宿本店」
のはじまりはじまり。
新宿駅徒歩2−5分の紀伊國屋本店。
そこを通るたび、するすると吸いこまれる。「紀伊國屋新宿本店」は、わたしにとって、そんな場所だ。
新刊が出るとき、担当編集者が「紀伊國屋新宿本店」での売り上げを伝えてくれる……。「紀伊國屋新宿本店」は、そんな場所でもある。
そんな書店の、新宿通り側の入口=エントランスで働くことになるなんてね。
リトルモア、パイ・インターナショナル、ミシマ社、ナイスガイという参加出版社にまじっての出店である。
どうする、ふみ虫舎。
単純なようだが、「紀伊國屋新宿本店」の担当のおふたりさん、参加出版社の皆さんと気持ちを合わせて、このお祭りをたのしめたことが、愉快だった。
本の尊さを噛み締める日になった。
食べちゃいたくなるほど、尊いや。
10月20日
「BOOK MARKET in 紀伊國屋書店新宿本店」2日め。
きょうは、藤村勇人(ふじむら・たけと)氏が1日つきあってくれる。藤村さんはふみ虫舎がこのたびひっさげBOOK MARKETに参加した新刊『ペンギンの親戚』の著者である。
「BOOK MARKET in 紀伊國屋書店新宿本店」に合わせて、思いきり急いでつくった『ペンギンの親戚』を、ブースに坐ってゆっくり開いてみると……、好きな感じがあふれていて、あらためて驚かされる。文章もいいが、写真がまたいい。
『世界で一番好きな店』(ふもと出版/2020年)——執筆を職業としないひとたちの文章をあつめた、好きな店、食べものの本である。
この本を名作だと信じるわたしは、いまでもときどき開くのだ。
自分が北千住の「珍來」で塩ラーメンと餃子を食べている気分になったり、鹿児島で「くちぶえサンドイッチ」に噛みつく顔をしたり、長崎市のおでんの店「はくしか」のお客に……。
この本に、藤村勇人の文章をみつけたのだった。
「盛岡市・祖父の開いた食堂」というエッセイ。
書きだしは、こうだ。
祖父・士郎はプロの競輪選手だったらしい。
それじゃ、お祖父さまが競輪選手を辞めて、食堂を開いたってこと?と思った。読んでみると、そのとおりで(42歳で競輪選手を引退)、「ふじ食堂」はオープンする。
ところが開業から8年めに士郎さんが急逝、「ふじ食堂」は下宿屋に生まれ変わった。
私は幼い頃からこの下宿の厨房が好きだった。住んでいた下宿生は10人を超えていた。その全員に加え、自分たち家族の分も含めて朝昼晩3食。この量の食事を賄うにはそれ相応の設備が必要で、その厨房は祖父が始めた食堂のそれをそのまま使っていた。自分の頭を丸ごと炒められるくらい大きな北京鍋や、五右衛門風呂の代わりになりそうな寸胴、ステンレスの作業台、白いアクリル板に赤紫のインクで書かれたメニュー表、かごの形のネズミ捕り……。そういった景色が、私の知る「家のキッチン」だった。祖母と母が夕飯の支度をするのを、眺めたり手伝ったりするのが好きだった。
なんでもない風に書いているが、厨房がはっきりと見える。
藤村勇人さんは東京・清澄白河の店の料理長をしている。
初めて彼のこしらえるものを食べたとき、料理にコトバを感じた。
挨拶もそこそこに「ね、また書いてみようとは思わないんですか?」と訊いた。そのときはまだ、彼が国立大学の国文科で学んだ経歴を持っていること、無類の読書家であることを知らなかった。ただ、藤村さんの料理にも会話にも、コトバが際立つのを眺めていた。
それから何年かたった、ことしの7月、「書いてみたらどうか」と、あとから聞くところによると、「だいぶ強引に」わたしは迫った。
浅草の「駒形どぜう」で、どじょう鍋をつつきながら。
それから3か月後、本ができたのはすごかった。
編集者の山本梓と、デザイナーの柴田裕介さんの実力によるところなのだが、わたしが「だいぶ強引に」迫ったのが、はじまりなのですよ。
……どうだ。
途中で、いつも藤村勇人さんの首にはカメラが提がっていることを思いだして、写真を見せてもらった。
200枚くらい見せてもらったが、どれもよかった。
隠れていたものをみつける興奮は、いまも、わたしのなかでなんとなく燃えている。
「BOOK MARKET in 紀伊國屋書店新宿本店」
にいらしてくださった皆さん、どうもありがとうございました。
いま、田んぼの様子は、こんなふうです。
ひこばえがのびて、
まるで田植え後のようです。
青青としています。
藤村勇人著『ペンギンの親戚』 2,000円(税込) ふみ虫舎刊
11月4日(月)BASEにて発売予定
https://fumimushi.thebase.in
\うんたったラジオ51/
日々の暮らしを楽しむ努力とか覚悟とか。
「ブックマーケット in 紀伊國屋書店新宿本店」を終えて。
心づよかったメンバーたち。
『ペンギンの親戚』と藤村勇人(たーけくん)の様子。
足を運んでくださった方々。
ちょっと早いけど、2024年の観察。
ふみこは自己評価が低い? あずさは無双?
すんばらしい機会をもらったからには、など。
◆ブックマーケット in 紀伊國屋書店新宿本店を盛り上げた仲間たち
・リトルモア(みかんさんと藤田さん)
https://littlemore.co.jp
・パイ・インターナショナル「100枚レターブック」のインスタグラム(近藤さん)
https://www.instagram.com/100_letterbook/
・ミシマ社「みんなのミシマガジン〈ミシマガ野球部〉」(須賀ちゃんによる野球のコラム)
https://www.mishimaga.com/books/yakyubu/006277.html
・ナイスガイ(たろちゃんときくりん)
https://nice-guy.jp
・紀伊国屋書店新宿本店によるイベント紹介ページ(伊藤さんと板垣さん)
https://store.kinokuniya.co.jp/event/1724745830/
・仲しい茸園(中さん)
https://www.nakashiitake.com
◆お便りをくださった、あのひのさんの活動
https://www.instagram.com/ano_nami/
◆次のイベント出店が決定! スケジュール空けておいてください◎
「TOKYO あ〜あ BOOK FAIR」
日時|11月30日(土)〜12月1日(日)12:00〜18:00
会場|CPK GALLERY(東京都台東区柳橋1-28-1 ※浅草橋駅より徒歩5分)
https://gallery.copack.co.jp/
◆『むべなるかな』好評販売中!
ふみ虫市場
https://fumimushi.thebase.in
※『ペンギンの親戚』は11/4から販売予定!
▽お便りはこちら
https://forms.gle/rb9gqcwHJzKafpJr6
〈公式HP〉
https://www.fumimushi.com/
〈公式ブログ〉
http://fumimushi.cocolog-nifty.com/fumimushi/
〈公式Instagram〉
https://instagram.com/y_fumimushi
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