« 2024年9月 | トップページ | 2024年11月 »

2024年10月の投稿

2024年10月29日 (火)

だいぶ強引に

1019
BOOK MARKET in 紀伊國屋書店新宿本店」
 のはじまりはじまり。
 新宿駅徒歩2−5分の紀伊國屋本店。
 そこを通るたび、するすると吸いこまれる。「紀伊國屋新宿本店」は、わたしにとって、そんな場所だ。
 新刊が出るとき、担当編集者が「紀伊國屋新宿本店」での売り上げを伝えてくれる……。「紀伊國屋新宿本店」は、そんな場所でもある。

 そんな書店の、新宿通り側の入口=エントランスで働くことになるなんてね。
 リトルモア、パイ・インターナショナル、ミシマ社、ナイスガイという参加出版社にまじっての出店である。

 どうする、ふみ虫舎。

 単純なようだが、「紀伊國屋新宿本店」の担当のおふたりさん、参加出版社の皆さんと気持ちを合わせて、このお祭りをたのしめたことが、愉快だった。
 本の尊さを噛み締める日になった。

 食べちゃいたくなるほど、尊いや。


 1020
BOOK MARKET in 紀伊國屋書店新宿本店」2日め。
 きょうは、藤村勇人(ふじむら・たけと)氏が1日つきあってくれる。藤村さんはふみ虫舎がこのたびひっさげBOOK MARKETに参加した新刊『ペンギンの親戚』の著者である。
BOOK MARKET in 紀伊國屋書店新宿本店」に合わせて、思いきり急いでつくった『ペンギンの親戚』を、ブースに坐ってゆっくり開いてみると……、好きな感じがあふれていて、あらためて驚かされる。文章もいいが、写真がまたいい。

『世界で一番好きな店』(ふもと出版/2020年)——執筆を職業としないひとたちの文章をあつめた、好きな店、食べものの本である。
 この本を名作だと信じるわたしは、いまでもときどき開くのだ。
 自分が北千住の「珍來」で塩ラーメンと餃子を食べている気分になったり、鹿児島で「くちぶえサンドイッチ」に噛みつく顔をしたり、長崎市のおでんの店「はくしか」のお客に……。
 この本に、藤村勇人の文章をみつけたのだった。
「盛岡市・祖父の開いた食堂」というエッセイ。
 書きだしは、こうだ。

 祖父・士郎はプロの競輪選手だったらしい。

 それじゃ、お祖父さまが競輪選手を辞めて、食堂を開いたってこと?と思った。読んでみると、そのとおりで(42歳で競輪選手を引退)、「ふじ食堂」はオープンする。
 ところが開業から8年めに士郎さんが急逝、「ふじ食堂」は下宿屋に生まれ変わった。

 私は幼い頃からこの下宿の厨房が好きだった。住んでいた下宿生は10人を超えていた。その全員に加え、自分たち家族の分も含めて朝昼晩3食。この量の食事を賄うにはそれ相応の設備が必要で、その厨房は祖父が始めた食堂のそれをそのまま使っていた。自分の頭を丸ごと炒められるくらい大きな北京鍋や、五右衛門風呂の代わりになりそうな寸胴、ステンレスの作業台、白いアクリル板に赤紫のインクで書かれたメニュー表、かごの形のネズミ捕り……。そういった景色が、私の知る「家のキッチン」だった。祖母と母が夕飯の支度をするのを、眺めたり手伝ったりするのが好きだった。

 なんでもない風に書いているが、厨房がはっきりと見える。
 藤村勇人さんは東京・清澄白河の店の料理長をしている。
 初めて彼のこしらえるものを食べたとき、料理にコトバを感じた。
 挨拶もそこそこに「ね、また書いてみようとは思わないんですか?」と訊いた。そのときはまだ、彼が国立大学の国文科で学んだ経歴を持っていること、無類の読書家であることを知らなかった。ただ、藤村さんの料理にも会話にも、コトバが際立つのを眺めていた。

 それから何年かたった、ことしの7月、「書いてみたらどうか」と、あとから聞くところによると、「だいぶ強引に」わたしは迫った。
 浅草の「駒形どぜう」で、どじょう鍋をつつきながら。

 それから3か月後、本ができたのはすごかった。
 編集者の山本梓と、デザイナーの柴田裕介さんの実力によるところなのだが、わたしが「だいぶ強引に」迫ったのが、はじまりなのですよ。
 ……どうだ。

 途中で、いつも藤村勇人さんの首にはカメラが提がっていることを思いだして、写真を見せてもらった。
 200枚くらい見せてもらったが、どれもよかった。

 隠れていたものをみつける興奮は、いまも、わたしのなかでなんとなく燃えている。

BOOK MARKET in 紀伊國屋書店新宿本店」
 にいらしてくださった皆さん、どうもありがとうございました。

Photo_20241029105101
いま、田んぼの様子は、こんなふうです。
ひこばえがのびて、
まるで田植え後のようです。
青青としています。

532548414987829491
藤村勇人著『ペンギンの親戚』 2,000円(税込) ふみ虫舎刊
11月4日(月)BASEにて発売予定
https://fumimushi.thebase.in⁠

0096906d6fd4456ebd6b7139dcbcc03a8cc39141
\うんたったラジオ51/

日々の暮らしを楽しむ努力とか覚悟とか。
「ブックマーケット in 紀伊國屋書店新宿本店」を終えて。
心づよかったメンバーたち。
『ペンギンの親戚』と藤村勇人(たーけくん)の様子。
足を運んでくださった方々。
ちょっと早いけど、2024年の観察。
ふみこは自己評価が低い? あずさは無双? 
すんばらしい機会をもらったからには、など。


◆ブックマーケット in 紀伊國屋書店新宿本店を盛り上げた仲間たち
・リトルモア(みかんさんと藤田さん)
⁠https://littlemore.co.jp⁠
・パイ・インターナショナル「100枚レターブック」のインスタグラム(近藤さん)
https://www.instagram.com/100_letterbook/⁠
・ミシマ社「みんなのミシマガジン〈ミシマガ野球部〉」(須賀ちゃんによる野球のコラム)
https://www.mishimaga.com/books/yakyubu/006277.html⁠
・ナイスガイ(たろちゃんときくりん)
https://nice-guy.jp⁠
・紀伊国屋書店新宿本店によるイベント紹介ページ(伊藤さんと板垣さん)
https://store.kinokuniya.co.jp/event/1724745830/⁠
・仲しい茸園(中さん)
https://www.nakashiitake.com

◆お便りをくださった、あのひのさんの活動
https://www.instagram.com/ano_nami/⁠

◆次のイベント出店が決定! スケジュール空けておいてください◎
「TOKYO あ〜あ BOOK FAIR」
日時|11月30日(土)〜12月1日(日)12:00〜18:00
会場|CPK GALLERY(東京都台東区柳橋1-28-1 ※浅草橋駅より徒歩5分)
https://gallery.copack.co.jp/⁠

◆『むべなるかな』好評販売中!
ふみ虫市場
https://fumimushi.thebase.in⁠
※『ペンギンの親戚』は11/4から販売予定!

▽お便りはこちら
⁠⁠https://forms.gle/rb9gqcwHJzKafpJr6

〈公式HP〉
https://www.fumimushi.com/
〈公式ブログ〉
http://fumimushi.cocolog-nifty.com/fumimushi/
〈公式Instagram〉
https://instagram.com/y_fumimushi
   
 
 

| | コメント (14)

2024年10月22日 (火)

見えても見えなくても

1015
 朝から稲刈り。
 先週末カナダ・バンクーバーから一時帰国した3女の栞が、手伝ってくれる。
「人力部」新人である。

 夏日。
 コンバインの後方を歩くだけで、汗が吹きだす。
「カラスと仲よしなんだね」
 と栞に云われる。
 田んぼのなかで働くときにかぎり、わたしたちはカラスから警戒されないのだよ、と、返す。

 稲のあいだにヒエが発生して最後まで抜きとれなかった2枚の田んぼでは、「人力部」フル稼働。
 コンバインにヒエがからみついてどうにもうまくないから、手刈りである。
「オカン、よく動くねー」
「好きなんだと思う、こうして動く感じ」
 そう云いながら、自らのしていることをたしかめているような。そして、やっぱり好きだ、と思う。机の上で待ってもらっている仕事はふえる一方だが、それでも夫が「きょう刈るよ」と声を発すれば、反射的に長靴を履き、作業用手袋をはめたくなる。

 日が暮れるまで働くが、さいごのさいごにコンバインに不具合が生じ、あきらめる。帳尻が合うせるため必要な出来事なんだと思って、あきらめる。何の帳尻かというと、ヒトに知らされない領域の、だ。


1016
 コンバインの不具合を、またしても俳優の松坂桃李似のJAの青年が駆けつけ、なおしてくれる。
 午後いちばんに、田んぼへ。
 2時間で刈り上げる。ことしの稲刈りは、これにて幕である。
 かすかにだが植物化し、鳥化しながら過ごした日日が、おわる。
 来年の5月の麦刈りまで、わたしに田んぼ仕事はない。それまで、田んぼ人間でありつづけたい。
 土を見たり、土のなかのなかを考えたり、生物たちと目を合わせたり……、田んぼ人間でいるため、できることはいろいろある。


1017
 午後、家に梓、梢、栞がそろう。
 なんとなくそろったことが、愉快。

 夕方5人で散歩する。
 オレンジ色のお月さまが、低い空からこちらを見ている。
「あ」
「スーパームーンね」
 1年に一度のペースでもっとも地球に近づく、大きな大きな満月なんですってね。

「スーパームーンにねがいごとをするといいらしい」
 誰かが云う。
「ねがいごとより、『ありがとう』じゃないかな、やっぱり」
「そうだ、ありがとう、ありがとう」
「ありがとうございます。これからもいろいろよろしくおねがいします」
「いまのそれ、後半、ねがいごとになってる」

 お月さまは見えても見えなくても、そこにある。
 と思いながら、夜、寝るまで何度も空を見上げた。

2024_20241018122601
スーパームーンin熊谷

Photo_20241018123001

★ハルメク365イベントのご案内★

海原純子さんと山本ふみこの特別対談
「幸せ上手になる生き方」

開催日:10月24日(木)14:00〜15:30
参加費:一般3,500円
会場:出版クラブホール(神保町駅から徒歩約2分)
募集人員:120名(先着順)

イベント詳細・お申込みは下記HPにてご確認ください。
https://halmek.co.jp/reservation/event/732/

Photo_20241018123002

★池袋コミュニティ・カレッジ講座のご案内★

講師:詩人・井坂洋子 随筆家:山本ふみこ

『詩は、わたしの隣にいる』

開講日:10月26日(土)13:30〜15:00
受講料:3,520円
会場:池袋コミュニティ・カレッジ
〒171-8569 豊島区南池袋1-28-1西武池袋本店 別館8・9階

講座詳細・お申込みは下記HPにてご確認ください。オンライン受講もできます。
https://cul.7cn.co.jp/programs/program_1015602.html?shishaId=1001

〈公式HP〉
https://www.fumimushi.com/
〈公式ブログ〉
http://fumimushi.cocolog-nifty.com/fumimushi/
〈公式Instagram〉
https://instagram.com/y_fumimushi
   
 
 






 

 

 

| | コメント (22)

2024年10月15日 (火)

吠えたり、変身したり

108
 早朝から机にかじりつく1日。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ」
 と、合いの手を入れながら、原稿を3本書き上げる。

 夜、庭に出て、吠えた。
「うおぉぉぉぉぉぉーん」
 ときどき、こうやってオオカミの真似をする。
 自分の仕事は、単調で、平穏に見えるかもしれないが(そうであってほしいとも希っている)、書きはじめると、わたしは走りだしている。獣のように4つ脚で走る感覚だ。
 叢(くさむら)も、出会い頭の動物も、雨も風も、心中の迷いも、走るうちいつしか混ざりあって、個個としては認識できなくなる。
 気がつくと日常の、机の前の、いつもの椅子の上にもどっているが、口の端に血がにじんでいることがある。なにものかに噛みついたものか、噛む口に応戦したものか、わからないが。
 この感覚が好きで好きでたまらないから、この仕事が辞められないのかもしれないなあ、と考える。


1010
 用事があって、東京都の端っこに位置する町田市に出かける。
 ひと月前にハワイに出かけたときと同じ、気持ち。あこがれも、わけのわからなさ・不慣れさも、ほとんど同じ。
 ハワイは2度目で、町田が初めてだった分、きょうのほうが、胸の波立ちが大きいかもしれない。地図を片手にたどり着いた先が、友だちの家の近くであるらしいことがわかって、さらにドキドキする。
 とつぜん訪ねたりはしない。
「かずちゃーん」
 と、小さく小さく、叫んでみる。


1012
 机仕事をし、町田に出かけ、きょうは稲刈り。
 昨日「人力部」の助っ人として、長女の梓がやってきてくれ、勇気満満。ふたりで、コンバインのまわりをぐるぐる歩きながら……地球を1周するくらいの構えでぐるぐる。
 途中コンバインに不具合が生じ、JAに連絡。
 俳優の松坂桃李似の青年が、びゅん、と駆けつけてくれる。
「あ、桃李さん、ちがったちがった。ハシモトさん!昨年も助けてくださいましたよね」
 稲刈りの終盤にさしかかろうというとき、コンバインの刈り上げベルトが切れてしまった(このあとは、手刈りか? と覚悟したのだったなあ)。
 あのとき駆けつけてくれたのが、ハシモトさんだった。
 ことしの不具合を最終的に調整してくださったのは、ハシモトさんの師匠である。自分には手に負えないとわかった時点で、師匠におしえを乞うたのだ。「師匠」は部品ひとつひとつの角度、あるいは連結の噛み合わせ……を微妙に調整。
 邪魔にならぬよう、隣りの田んぼの雑草を刈りつつ遠巻きにしていた「人力部」のわたしたちには、その、有るか無きかの修正の意味をつかむことができない。
 しかし、コンバインは、とうとう立ち直り、サクサクサクと、サクサクと、働きはじめたのだった。

 微妙=有るか無きかの変化を、はっきりとつきつけられた午後である。

Blog20241015
05bf9730912b39f5923b6b115fd088a19835240a
\うんたったラジオ50/

気がついたら50回です。
「夢だけど、夢じゃなかった!」という、うんたったラジオだね。
ぼちぼち。稲刈りをしながら、ブックマーケットの準備をしました。
今回は準備万端なので、持って行く品々をご紹介(AMラジオのショッピングコーナーみたいに?)。
カナダから帰ってくる栞さん成田まで迎えに行ってきます◎ など。


〈開催がいよいよ今週末!〉
◆BOOK MARKET in 紀伊國屋書店新宿本店
藤村勇人さんのフォトエッセイ 『ペンギンの親戚』 お披露目販売します!(価格2,000円)
日時|10月19日(土)〜20日(日)13:00〜18:00
会場|紀伊國屋書店新宿本店1F メインエントランス(新宿通り側入口)
▽各詳細はBOOK MARKET in 紀伊國屋書店 新宿本店 HP
https://www.anonima-studio.com/bookmarket/index.html
▽BOOK MARKET facebookページ
https://www.facebook.com/bookmarket.tokyo
◆藤村勇人(たーけくん)による紹介文
https://www.instagram.com/p/DA5Tdzdz4WI/?img_index=1

◆原木しいたけを生産する「仲しい茸園」の商品も販売決定!
https://www.nakashiitake.com

◆『むべなるかな』好評販売中!
ふみ虫市場
⁠https://fumimushi.thebase.in⁠


▽お便りはこちら
⁠https://forms.gle/rb9gqcwHJzKafpJr6

▼うんたったラジオ50
Spotify、Apple podcastで聴けます 

Photo_20241008122001
井坂洋子さんとの対談です。
お時間がありましたら、池袋へぜひ。
オンラインでも受講できます。
詳しくは池袋コミュニティ・カレッジ公式HPで。
https://cul.7cn.co.jp/programs/program_1018315.html?shishaId=1001

Photo_20241008122401
新著『むべなるかな』好評販売中。
ふみ虫市場。
https://fumimushi.thebase.in⁠

〈公式HP〉
https://www.fumimushi.com/
〈公式ブログ〉
http://fumimushi.cocolog-nifty.com/fumimushi/
〈公式Instagram〉
https://instagram.com/y_fumimushi
   
 
 

| | コメント (9)

2024年10月 8日 (火)

雨よ、鳥たちよ、

10月4日
 家の前の6反(約6,000㎡)の稲刈りを終えた。
 さあ未知の領域へ、と勇んでいる。未知の領域というのは、ことしはじめて借り受けて田植えをした家の西側にある小学校の、そのまた西方向の5反(約5,000㎡)の稲刈りだ。
 田植えは経験したけれど、この田での稲刈りは初めて。
 どういうことになるだろうと、考えて、わくわくする。
 道路に面して、住宅にも囲まれている家の前の「6反」は、クルマ通りもひと通りもあるけれど、小学校西側の「5反」は、奥まっていて静かだ。水の経路も、動植物の生息の有りようも異なっている。
 田植えのとき、うつくしいシマヘビを追いかけたのだったなあ。
 田んぼで生物に遭遇すると、わたしはしみじみする。それというのも、いまや生物と分類することがむずかしくなったヒトから離れて、シマヘビやら、サギ、カラス、ムクドリ、スズメ、カエルたちやらに近づくように思えるからだ。
 ともにそこにあるということは、それほど近しい感覚を生む。

 さてところで、未知の領域での稲刈りは、いまだかなわない。
 台風、秋雨前線の影響で、雨がしとしと降っている。

 こうなると、農作業のほとんどが、止まる。
 引っ越してきた当初は、天候が自分たちの予定や計画を揺るがすことにとまどったものだ。
 ところがいつしか、雨空を見上げて、ほっと息をつくようになっている。こうなったら休んでしまおう、とか、雨のあいだに別の仕事を片づけてしまおう、と、あたりまえに考えるのである。
「きょうは雨だから、〆切をのばしてください」
 とは、想像するだけで、云ったりしない。一応大人だからね。


108
 稲刈りに使う鎌の手入れをする。
 夫はコンバインを運転する「車両部」、娘たちやわたしはコンバインが刈り残した稲を鎌で刈る「人力部」だ。
 コンバインのうしろをつくて、ぐるぐるぐるぐる田んぼを歩くし、稲の根元に向け腰をかがめて刈ることになるから、「人力部」は案外重労働なのだ。
 ときどき「車両部」に向かって、「あなたは所詮クルマの上だもんね」なんてイヤミを云ったりする「人力部」のわたしだ。

 3回目の手刈りを迎えたことし、わたしの手もとに変化があった。
 これまで、ガジガジと2回鎌を動かさないと稲が刈れなかったのだが、ことし、1回でサクッと刈れるようになっていたのだ。
 夫がサクッとやっているのを見て、どうしてわたしはガジガジでないと刈れないのか。
 それがことし、初めて稲の根元に鎌をあてたとき、サクッと1回でゆけた!
 どうやら、力みがとれたらしかった。

 雨がつづいている。
 稲刈りはまだ、かなわない。
 雨がやんでも、濡れた稲は刈ることができない。
 刈りとりの作業がしにくい上、収穫後の乾燥に時間がかかるからだ。

 雨よ、ふさわしい日に上がってくださいな。
 鳥たちよ、待っておくれね。

2024_20241008121801
これが、マイ鎌でございます。
大事な相棒です。

Photo_20241008122001
井坂洋子さんとの対談です。
お時間がありましたら、池袋へぜひ。

Photo_20241008122401
新著『むべなるかな』好評販売中。
ふみ虫市場。
https://fumimushi.thebase.in⁠

〈公式HP〉
https://www.fumimushi.com/
〈公式ブログ〉
http://fumimushi.cocolog-nifty.com/fumimushi/
〈公式Instagram〉
https://instagram.com/y_fumimushi
   
 
 

| | コメント (20)

2024年10月 1日 (火)

10月ステージ!

9月28
 9月は出かける機会も多く、それにそれに、あまりに暑かったから、土と疎遠がつづいた。
 庭も草だらけだったが、それを横目で見ながら「これもまた風情」とつぶやく。草のなかに埋もれたミニトマトの収穫も、ままならず……。

 そんななか、夫が、稲刈りの予定を告げる。
「稲刈り、はじまります。9月の終わりに家の前の6反、10月はじめに小学校西側の6反を刈りたいです」
 これが告げられると、わたしは自分の予定をググッとよけなければならなくなる。不安がもくもく湧いてくる。ググッとよけたとしても、予定や約束が消えてなくなるわけではないから……、なんとなく漠然と不安なのだ。

 この日、刈りはじめの予定だったが、明け方1時間半ばかりつよい雨が降ったため、稲に水分がたまって、うまくない。そこで、稲刈りは順延。
 稲刈りを手伝うつもりできてくれていた梓と、庭の草とりにかかる。

 土は不思議だ。
 触れるだけで、時間への不安も、仕事の両立へのこんがらかりも、おさまる。「なんとかなる」というはっきりした意志のようなものが生まれる。そしてこれまで、土は、それを実現させてくれたのだ。
 これを忘れちゃうのは、どうしてだろう。
 はじめから「なんとかなる」と思えないのは、わたしが土を信じきっていないからなのか。いや、土がわたしを信じてくれていないからのような気がする。

 リヤカーに4杯分も、雑草、木木の枝葉を家の裏手に運んだ。
 ふたり3時間で、見違える庭。
 3時間で生まれる、わがこころの安定。


9月29
 ブルーベリーの防鳥ネットをはずす。
 ことしの収穫が、これで幕を下ろす。
 パンパカパーン。フィナーレである。

 ネットをはずそうといういまになっても、まだ、実がなっていて、たくましいったら、ない。
「この夏、どうもありがとうございました」


9月30
 稲刈り。
 夫とふたりの作業となる。
「なんとかなる」が、いきなりもう一段上の「愉快!」へ。
 毎年、コンバインが故障する、田んぼの水が引かない、など何か事件が起こるが、ことしは好調。
 コンバインも元気。田んぼもカラカラで、刈りやすい。
 わたしはコンバインのうしろを歩いて、コンバインの刈り残しの稲を手刈りする。
 ぐるぐるぐるぐる。
 これが、愉快なのですよ。

 空が明るくなってゆく。
 ムクドリ、スズメ、サギがやってくる。
「稲を少し分けてほしい。東京のバア様に送りたい」という紳士がある。
 暗くなるまで、ふたりで刈る。

 豊作です(素人ながらに実感する)。


101
 きょうも朝から刈る。
 ちょっくら行ってまいります。

 10月のステージが、土からはじまる。

2024_20241001095401

03fba3e4b4e4390dbb5dd1de2f2e89e9595ec9a5
\うんたったラジオ49/

稲刈りを前にして、草取りをしました。ふみこ、転んでたね。
嬉しいお便りの数々に満ち足りた気持ちになる。日本橋三越のこと。 など。


◆Eat & Meet Sea Vegetable
https://eatmeet.seaveges.com

〈お知らせ①〉
◆BOOK MARKET in 紀伊國屋書店新宿本店に出店します!
藤村勇人さんのフォトエッセイ、タイトルが決まりました!
『ペンギンの親戚』 価格:2,000円
日時|10月19日(土)〜20日(日)13:00〜18:00
会場|紀伊國屋書店新宿本店1F メインエントランス(新宿通り側入口)
▽各詳細はBOOK MARKET in 紀伊國屋書店 新宿本店 HP
https://www.anonima-studio.com/bookmarket/index.html
▽BOOK MARKET facebookページ
https://www.facebook.com/bookmarket.tokyo

〈お知らせ②〉
◆詩人・井坂洋子先生と山本ふみこの対談
「詩はわたしの隣にある」
日時|10月26日(土)13:30〜15:00
場所|池袋コミュニティ・カレッジ(東京都豊島区南池袋1-28-18  西武池袋本店・別館 9階)
料金|3,520円
※オンライン配信のお申し込みも開始しました!(2,970円)
▽詳細・お申し込みはこちらから
https://cul.7cn.co.jp/programs/program_1015602.html?shishaId=1001

◆『むべなるかな』好評販売中!
ふみ虫市場
⁠https://fumimushi.thebase.in⁠

▽お便りはこちら
⁠https://forms.gle/rb9gqcwHJzKafpJr6

▼うんたったラジオ49
Spotify、Apple podcastで聴けます

〈公式HP〉
https://www.fumimushi.com/
〈公式ブログ〉
http://fumimushi.cocolog-nifty.com/fumimushi/
〈公式Instagram〉
https://instagram.com/y_fumimushi
   
 
 
 

| | コメント (16)