たんこぶ
11月20日
台所脇の納屋(パントリーの役目をしているが、呼び名としては「納屋」)が好き)の冷蔵庫に、牛乳をとりに行こうとして、転ぶ。
——昨年も、一昨年も、こんなふうに転んだな。
転んで、土間つづきのコンクリートの納屋の床にころがったまま、わたしは昨年と一昨年の転びを思い返して、ちょっと笑う。
笑いながら、そのまま動けないでいる。
躓(つまず)いて転んで、まずおでこを打った。イタタタ。
直後に回転。あらたに右側頭部を床に打ちつける。イタタタ。
転んだ気配は伝わっているはずなのに、居間にいる夫も、三女の栞も駆けつけてこない。また、ふみこが転んだな!というくらいの認識で、顔を見合わせて、あきれているのかもしれない。ことし11月20日のこの転びは、大ごとかもしれないというのに。
とひとり、話を展開させて、また笑う。
誰もやってきてくれないから、ふてくされてもよかったのだが、大人らしく立ち上がって牛乳を台所に運ぶ。
おでこをさすると、たんこぶができているみたいなのだった。
11月21日
朝前髪をめくり上げて、鏡を見ると、おでこの左側に、青いあざができている。手でこすっても「青」は動かず「青」のまま、居座っている。
この青いたんこぶを見て、ひとは何と云うだろう。
「転んで、たんこぶができたりすることを軽く考えてはいけません」
「しばらくして、脳内出血をしていたことがわかるケースがあると聞きます。病院に行ったらどうですか」
迂闊なわたしは、たぶん、この先も迂闊なまま生きてゆく。
ときに転んだり、青あざをつくったりたんこぶをこしらえたり。
迂闊なわたしは、そのたび他者から驚かれたり、そのたび自分でも事態を検証しようとしたりする。
「こうしたほうがいいですよ」「ああしたほうがいいですよ」という情報に接する。最近、夥(おびただ)しい情報の前に気がつくと、「……うるせえ」なる、よからぬコトバが口から飛びだしている。
でも反省します。
これからはなるべく転ばないように、気をつけて行動します。
午後東京での仕事へ。
中央線の窓から、虹が見えた。
あ、あ、あー。
車内を見渡すと、誰も彼も、手にしたスマートフォンの画面を見ているか、居眠りしているか。虹に気がつかない。
「虹ですよ。虹が出ているから見てください」
と叫びたくなる。
「……うるせえ」と云われるかもしれないにしても。
干し柿は、いい具合に干されています。
もう食べられるみたい。
……食べてみよう。
11月30日(土)12月1日(日)各日12:00〜18:00
ブックフェアに「ふみ虫舎」が出店します。
ふみこも梓もいます。ぜひ遊びにいらしてください!
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