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2026年6月 9日 (火)

「あらためて」の日日

6月3日
 新刊『旅のしっぽ』編集の、最終段階に入った。
 この本でのわたしの役目は、主として編者である。
 書くときはひとりきり、自由に泳ぐ。が、編者となると、著者たちとのやりとりがあり、原稿の調整があり……、これまで著者としてお世話になってきた編集者を、ひとりずつ思い受かべて、あらためて感謝せずにはいられない。
 優秀な編集者たちと、緻密さに欠ける自分とを比べないように気をつけているけれど、そうして、この経験により鍛えられているとも思うのだけれど、ときどき情けなーい気分になる。
 能力不足を、こころで補おうという地点に立っている。それはちょうど、綱渡りのような状態だ。

 机の上のゲラ(校正刷り)の束とにらみあっていたとき、長女の梓から「はい、梅しごとしよ!」と声がかかる。机の向かい側で、原稿を書いていたはずだが、きっぱりそう云われて、こちらもきっぱり立ち上がる。
 そういえば、梅の収穫のときも、こんなふうに誘われて、立ち上がったのだったな。ものごとの切り換えも、編集作業も、わたしよりこのひとのほうが巧みだ。

 梅シロップを1瓶、梅のコーラを1瓶、梅干しを1瓶(それぞれ梅の実1キロ)漬ける相談はできている。7月にやってくる三女栞のパートナーJaeのためのコーラ(英語ではコークかな)、その娘・茉里さんのためのシロップ。
「うまい具合に仕こみました」
 とカナダに報告する。
「……わたしの梅酒は?」
 と、栞。
「昨年漬けた梅酒と、枇杷酒がございます」


6月4日
 先週ここに書いて、皆さんにも読んでいただいた山田太一の追悼の新聞記事を、とうとう、スクラップブックへと思って裏面を見て、驚く。
DVに戦争のトラウマの影」なる見出し(2024年8月22日/毎日新聞)夕刊1面)。
 忘れていたが、この記事もわたしには大事な宝だ。
 カウンセラーの信田さよ子さんの語りで構成されている。
 信田さん自身、1970年−80年代のアルコール依存症の家族会でのやりとり、90年代の家庭内暴力(夫から妻へ、父から子どもへ)の相談を通して、世代としてこうした夫、父親が戦地から日本に帰ってきたひとたちであることを認識しながらも、戦争との関連にまでは至らなかったという。
 この新聞記事は、戦争の影響が長く長く、長く長くつづく現実、家庭の問題をたどると戦争に行き着く現実を、2024年当時、初めてわたしが受けとめる機会となった。
 それまで、戦争から戻ったひとたちを、「よくぞ戻られた」「生きて帰られてほんとうによかった」という面でしかとらえていなかった。そうだ、戦地に赴き、帰ってこられたひとたちは、皆「復員兵」なのだ。
 何事もなく、苦しみもなく行って帰った復員兵など、ひとりもいない。戦争イコール男性自身が暴力的に扱われることだからだ。
 戦争経験のトラウマを戦後、日本は見逃していた。
 そしてもしかしたら、世界で紛争がつづくいまも、このことは見逃されているのではないか。

 切り抜いた新聞記事の両面に、あらためておしえられ、考える機会をあたえられる。


6月9日
 久しぶりに、この家の改築に携わってくださった大工の棟梁がやってきた!
82歳になったよ」
 と笑うが、なんだか5年前より元気そうで、さっぱりとした様子だ。男前が上がった?
 だだっ広い、かつてお蚕さんたちの繭づくりの場所だった2階の、活用をひろげるための工事がはじまる。
 引っ越してきたころ、一緒に暮らす勢いで過ごしていた棟梁と、大工の手計(てばか)さん、監督の小井戸さん。力をもらう。
 情けなーい気持ちも、自分のやり方がまちがっていたのかもしれないという辛さも、変えることができそうだ。自分にできることを、すればいいか、と思っている。

 さてと、ちょっと行って、大工さんたちと、どらやきを食べてきます。

Img_5002
ことしも「うんたった販売所」を開いています。
きょうも、雨があがってから、開店。
新玉ねぎ(200円)、ズッキーニ(200円)、
にんにく(200円)は、
いかがですか?

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\うんたったラジオ94/
熊谷の農繁期。合間合間で季節の移ろいにのっかる。麦刈り、たまねぎ収穫、梅仕事。田無高校吹奏楽部定期演奏会にOGとして司会を担当したあずさ。20年ぶりの母校訪問、吹奏楽に触れ、感動しっぱなし……! 人や事がうつろっていくこと、季節のそれみたいに感じて流れていきましょう、など。

◆「マードックからの最後の手紙」
https://youtu.be/U-_E55aoa0w?si=elFucIYreyA2EpWQ

◆BOOKMARKET2026
8月8日(土)・9日(日)10:00〜17:00@台東館 7階北側会場(東京都・浅草)
https://www.anonima-studio.com/bookmarket/

◆『ことば飯』アマゾン・楽天ブックスからも購入できます!
https://www.amazon.co.jp/ことば飯-ふみ虫舎文庫-山本ふみこ/dp/4991428904

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「日記」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。

うんたった直売所いつ見てもかわいくて癒されます。近所にあったらなあ。
うちもそろそろ梅しごと始まります。
くわの実が食べ頃になるのも待っているところです。
ちょっとずつですが自然と触れ合うことが増え、心地よく嬉しい気持ちです。
思いっきり夏らしいことして楽しもうと思います。

投稿: 聖美 | 2026年6月 9日 (火) 18時12分

ふみ虫さま

梅雨にはいりましたね。

梅しごとができて
自分のペース作りが
できたでしょうか?!

さすが、アズアズ^_^
引っ張り込みますねえ。

私の父は建築に関わる職人でしたので
大工さんや、左官屋さんや、
塗装やさんや
職人さんを尊敬しています^_^

うんたった直売所が
近くなら、毎日、のぞくのになあ。


うんたったラジオ、聴くことが
できました!

どうして聴けなくなったかも
戻ったのも理由は分かりませんが
よかったです!

投稿: 寧楽 | 2026年6月 9日 (火) 20時47分

ふみこせんせい みなさま

こんばんは。
今日 わたしも梅酒と梅ジュースを作りました。
今年は梅が早く落ちてしまい少ししか収穫出来ず
1キロほど買い足してひと瓶づつとなりました。

三番目王子が招待してくれ2年ぶりに広島カープの試
合を観てきました。
日曜日球場に着いた頃は本降りの雨で試合開始が1時
間延び2時半となりましたが2時半には嘘のように雨が
上がり今の気象予報に驚くばかりです。
2年ぶりに広島市民にもどりカープファンの心はひとつ
声をそろえて応援してきました。
成績は低迷中ですが勝利しました。
「今日のカープは勝つ勝つ勝あつ勝あつ!
           バンザーイ!バンザーイ!」
広島へ向かう山陽道では尾道を通る時ユリの木の花子
さまの王子を思い応援の念を送りました。   

「復員兵」
今日のブログを読んであらためて「父は復員兵だった」
と気づきました。
ただ父は激しい戦場に立っていたわけではありません。
16歳で「戦時郵便」を取り扱う任務に携わり満洲大陸
の部隊にいました。一番過酷な戦地におもむくことが
なかったため生きて帰れたようです。
一度だけ郵便を運ぶ中飛び交う銃弾が耳そばを通りその
爆音で右耳の聞こえが悪くなってしまったようです。ふ
その爆音は凄まじく恐怖と共に忘れられないようでした。
父の介護をはじめると時々入浴を嫌がることがありました。
「復員船を待つ長い間広い倉庫に大人数で押し込められて
お風呂なんか入らなかった。その時お風呂に入らなく
ても人間は死なないと思ったから入らない」と言い訳
していたことを思い出しました。
いつも同じ話ばかりをしていましたがきっと胸におさ
めたままの事のほうが多かったのではないでしょうか。

ふみこせんせい みなさま
梅雨に入りました。体調くずされませんように。


投稿: 岡山のこんちゃん | 2026年6月 9日 (火) 21時40分

ふみこさま


おはようございます。

新刊「旅のしっぽ」の編集。お疲れ様です。
畑仕事におうちの手入れにおおいそがしですね~。

古民家でのくらしも大工さんたちのおかげで
ますます生き生きとしたものになって行く感じすてきですね。
こちらも「再生」「つなぐ」「余韻」。。などをモチーフにした
生け花展、横浜山手の西洋館で先週楽しんできました。
古い洋館を動態保存してボランティアたちの協力によりいろいろな催しを開催してくださっていつもパワーもらって
丘のうえから港へのさんぽ楽しんでます。

それから「自分にできることをすればいいか。。。」
週末バイオリン発表会なのですが。。二重奏あんまりあわせる機会なかったのでドキドキですが、自分にできること
楽しみま~す。ふふ。ではふみこさんもみなさんも今日もいい一日お過ごしくださいね。

投稿: 真砂 | 2026年6月10日 (水) 06時59分


ふんちゃん皆様こんにちは。

自分にできることをすればいいや、救われます。私はどうも自分を許すことが苦手でして。


そんなタイミングで憧れの先輩が1日で
お菓子を差し入れてくれたり、ジュースを買ってくれたり。


一日中甘やかしてくれた日がありました。
見習わなきゃな。

投稿: たまこ | 2026年6月10日 (水) 12時10分

聖美 さん

思いっきり!

素敵です。

投稿: ふみ虫。 | 2026年6月10日 (水) 23時35分

寧楽 さん

いまの世は、なんだか、
わけのわからないことの連続です。

わからないまま、使っていることも
たくさん!
こんなにわからないのに、よくやってきたねーと、
このあいだ、アズアズに云われました。

褒めコトバとして受けとっています。

投稿: ふみ虫。 | 2026年6月10日 (水) 23時37分

岡山のこんちゃん さん

お父さまのおはなし、
聞かせてくださって、
どうもありがとうございます。

想像以上の……、
知らないでいる……恐怖を考えるだけでも、
どうしてもどうしても、
紛争や戦争はしてはいけないのだと、
思わされます。

投稿: ふみ虫。 | 2026年6月10日 (水) 23時42分

真砂 さん

……どんどん奏でて。
と、 真砂さんのおたよりを読ませていただくたび、
思います。

それが、どれほどの
やすらぎと、救いを生みだしていることか。

投稿: ふみ虫。 | 2026年6月10日 (水) 23時44分

たまこ さん

たまこさんは、
タイミングよく、
素敵にご家族を、
甘やかしておられるではありませんか!

投稿: ふみ虫。 | 2026年6月10日 (水) 23時45分

ふみこさま。みなさま。

うんたった直売所、なんて、いいんだろう。
日付とひと言がチョークで書かれた黒板も
のぼり旗も。
物語がうまれそうです。
お近くなら、みんな買いたいと思いました。

てんてこまいという、ことばを久しぶりに
使いました。
私、今、てんてこまいなんですと。
王子が今週、広島の病院に入院
それだけでも、無事にと願いながらの中
孫が高熱を出して学校を欠席
こんなこともあるさと。
そんな、さなか、娘が体調をくずし
救急車を呼び、ドクターヘリで大学病院に
運ばれた。
熱のある子を残して私が付き添うことはできず
どうか、どうか、無事でと。
ドキドキしながらの時間を過ごしました。
肩から足までの左側のしびれの症状
いろいろと検査をした結果、危険性のある
ものではなさそうと、1週間、自宅で安静
再度、外来受診ということで帰って来ました。

胸をなでおろすって、こんな気持と実感しました
孫がばーば、お腹すいた!と
そうだった、食べてないものね。
冷凍庫の中にあった肉まんを蒸す。
ママが帰ってくると、安心したか、肉まんを
ハフー、ハフーと大事に食べる孫を見ていたら
胸がいっぱいに鳴りました。

救急車、ドクターヘリと普通ではない出来事でしたが、何かに守られていたのだなぁと
思いました。

安堵した気持。
この、ページを開きました。
安房直子さん、あるジュム屋の話
私も大好きな作品です。
若いころから、人づきあいのへたなわたしでしたの出だしもすき
なにをやっても自分はだめなんだなぁという思い
作品の文面に共感しながらも
最後は光があたる
温かい思いにつつまれます。

王子の入院の付き添いには私は他、いろいろあり
行けないのですが、王子の大好物の
虎屋さんの5本入りの羊羹を荷物の中に入れ
させました。
一緒に行きます!みたいな笑
虎屋さんの羊羹も蛍の絵柄にかわっていました。
光ありです。
長くなりました。みなさまもご自愛下さい。

投稿: ユリの木の花子 | 2026年6月11日 (木) 10時20分

この場をお借りします。
岡山のこんちゃんさま
ありがとう!ありがとうございます!

投稿: ユリの木の花子 | 2026年6月11日 (木) 10時23分

ふみこさま

うれしいはげましのお便りありがとうございました。

そうそう書き忘れてました。
「あらためて」。。
私が迷って悩んで始めた室内楽スタートしたのが
ちょうど10年前のいまごろなんです。
だからあらためてふみこさんやみなさんにも感謝の気持ち
で今週末の2重奏弾きたいこと思っております。

ふみこさんのお母さまが他界されたときにみんなでひいたバッハのドッペルコンチェルトをまた仲間でひこう
ということになり、今度は伴奏バイオリンでなく
ピアノ伴奏でソロ弾くことをなぜか引き受けてしまいました。弾くなら10周年記念の今という思いでした。

私を導いてくれたいろいろな方々への思い
そして今大変な思いを抱えている方へ何か前へ進む力
のような音を届けられたらと思っております。
私もこの数カ月色々思ってもみないような出来事の
中で私自身がこの曲にささえられた感じです。

ふみこさん。みなさん。いつもいつもありがとうございます。

投稿: 真砂 | 2026年6月11日 (木) 11時12分

ユリの木の花子 さん

いろいろなことが起こって、
どんなにお大変だったことでしょう。

でも。
読ませていただきながら、押し寄せるように
ひらめきました。
ユリの木の花子さんと、ご家族の皆さんが
大きく大きく動きはじめたなあ、と。

光に包まれているなあ、と。

投稿: ふみ虫。 | 2026年6月12日 (金) 07時39分

真砂 さん

そうでしたか、10年。

おめでとうございます。
ありがとうございます。

こちらこそいつも「音」を響かせてくださり……。
ありがたいことです。

いつか、じかに演奏に包まれる機会が
めぐってきますように。

投稿: ふみ虫。 | 2026年6月12日 (金) 07時42分

ふみこ様 こんにちは

ふみこさんの梅しごとの話を
あ・あ・・いい季節だなぁと
思いながら 聞きました。
来週の日曜日(6月21日)は夏至。
もう夏至です。

これから 少しずつ 少しずつ
日が短くなっていく・・・。
本格的な夏はこれからなのに
その先の季節のことを 思ってしまうのは
北国に住む者の さがでしょうか?

今朝森を歩いたら
エゾユキウサギを見ました。

広場の皆さんの
いろんなことが
すこしでも いい方向へ行きますように。

追伸・・10日に91歳になった母が
いろんなことをすぐ忘れるようになりました。

投稿: えぞももんが | 2026年6月14日 (日) 13時13分

えぞももんが さん

同じことを考えていました。
これからだんだん、日が短くなるなんて。

そんなことだから、
せわしない……と、
ブツブツ云ってしまいました。

お母さま、
つまらないことは忘れて、
愉快なこと、忘れたくないことだけを
記憶にとどめてくださいまし。

投稿: ふみ虫。 | 2026年6月14日 (日) 22時03分

ふんちゃん

 すっかり遅くなってしまいました……
 時間も遅くなって……💦

 梅コーラって?と気になったり、
 直売所に行きたいよ~というきもちが強くなっていたり……、
 いろんな気になることはあるけれど、
 やっぱり……、
 戦争の……気になってしまいました……。

 以前、これまたテレビでこころの時代を見ていたら、
 お父さんが戦争から帰ってきてから、
 家族が大変だった……、
 という方たちが、市民団体を立ち上げて活動している、
 というお話がありました。
 黒井さんという方が、代表となって、
 同じ思いをしているひととのつながりをもち、
 そういったことがあったのだということを国に認めてもらおうと、 
 今も活動を続けている……というお話でした。
 仕事で……、勉強をしなくてはならないと感じて読んでいた、
 トラウマというものに関する本で知ったことが、
 たくさん語られていて、テレビの画面にくぎ付けになりました。
 どれほどご本人が傷ついて、そしてそれを周囲のひとたちにばらまくことになり、
 ご本人もご家族も壊れていってしまうということがあるのだと、
 本からもこころの時代からも学びました。
 戦争は、そういうものなのだと、
 今一度、ひとりひとりが感じたり、考えたりしなければならないのだ……と、
 ふんちゃんが書いてくださったのを読んで、
 また……感じました。
 前回同様、なんか……こんなんですみません。
 また、ふんちゃんとちょっとシンクロしてる……とか思って、
 書いちゃいました。

 それでも、毎日の暮らしは続きます……ね。

 ふんちゃん、みなさま
 いろんなことが起こりますが、
 どうぞお元気でいてください!

 

投稿: 空色めがね | 2026年6月14日 (日) 22時30分

空色めがね さん

受けとめ方が、わたしのは浅く、行き届かず、
断片的であるにせよ、近づくことができたことには、
感謝しないと、と思っています。

どうして戦争や紛争の道を選んではいけないのか、
ということを、いろいろの角度から証明しなくては
ならないとも、感じています。
見えない苦しみが、長くひとを苦しめる、
苦しめつづけることを、
やっと学びはじめたところです。


投稿: ふみ虫。 | 2026年6月14日 (日) 23時01分

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